Q:雨の前には必ず頭痛が起こります。その予想は天気予報よりも正確で、家族や友人から人間天気予報と呼ばれています。しかし、食欲も低下するし、胃もたれもするし、そのうえ体もだるいし大変です。予防、対処法についてアドバイスをお願いします。(32歳・司法書士)

 A:ご質問の方は、体質的に水がたまりやすい傾向があると思われます。漢方では、このような症状は、体にたまった水分が頭部に上がり、頭痛を引き起こしていると考えられ、「痰飲」と呼んでいます。
 痰飲とは、体の異常な水分を指す言葉です。ご質問の方もそうですが、もともと胃弱体質の人が水分の消化能力の低下により引き起こします。
 雨のときは湿気が増します。一年の中で、もっとも湿気が多く、湿度が高いのは梅雨です。外気は私たちの体に影響します。外的要因である梅雨の湿気が影響して、体内の湿気(痰飲)が悪化し、頭痛が起きるのです。つまり、梅雨の湿気が湿毒として作用します。このような湿毒による頭痛に用いる漢方薬に「半夏白朮天麻湯」があります。

●漢方薬と入浴
 この漢方薬は、半夏と白朮、天麻の三つの生薬を配合しています。三つとも、湿気を取る作用があります。半夏は吐き気を止め、湿気を取り、白朮は胃を丈夫にするとともに湿気を取ります。
 天麻はめまいと湿気を取ります。つまり、「半夏白朮天麻湯」は、消化機能を高めるとともに、体の痰飲を取り除く作用があります。
 「半夏白朮天麻湯」は、湿の病として、嘔吐をもよおし、頭痛やめまいがする場合に用います。また、これらの症状が出るメニエール病によく使われます。
 梅雨から夏にかけての湿毒の解消には、毎日入浴して汗をかくとよいでしょう。5月5日の菖蒲の節句は菖蒲湯に入りますが、これはもともと旧暦5月5日の行事で、今の暦では6月中旬となり湿気が多い梅雨の季節です。
 菖蒲は体の湿気を取り除く作用があるから、菖蒲湯に使われたと考えられます。もちろん、1回だけの菖蒲湯で湿気が取れるはずはありません。これは象徴的な風習であり、湿気の季節だから注意して暮らそうと智恵を与えてくれる行事と言えるのです。
 また、入浴すると血の巡りがよくなり、湿気を取る作用があります。1日の終わりには、ゆっくりお湯に浸かるとよいでしょう。

三浦於菟氏(吉祥寺東方医院院長)
東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。東邦大学医学部東洋医学科教授を経て、同大学客員教授。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。