作務衣姿で登場したスタジオジブリ・鈴木敏夫プロデューサー。足もとも「雪駄」(せった)でトータルコーディネート

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ジブリ×太鼓の達人」を実現したのは35年の“腐れ縁”


「僕みたいに長いことやってくるとどういう風に仕事をやるかというと、人との関係。こういう言葉があると思うんですよ、『腐れ縁』。縁があるかどうかなんです」(鈴木敏夫)

バンダイナムコエンターテインメントは、「太鼓の達人」シリーズ15周年を記念して、スタジオジブリ(以下、ジブリ)・鈴木敏夫氏プロデュースによるショートアニメを公開。“ゲーム嫌い”で知られるジブリとの異色のコラボはなぜ、実現したのか。6月25日に開催された発表会に作務衣姿の鈴木氏が登壇。アニメ制作を手がけた経緯を語った。

ジブリに今回のアニメ制作を依頼したのは、アニメコンソーシアムジャパン代表取締役/バンダイナムコホールディングス執行役員の鵜野澤晋氏。ふたりは鈴木氏が徳間書店アニメージュ編集部、鵜野澤氏がバンダイ在籍時以来、35年のつきあいになるという。鵜野澤氏は「太鼓の達人」に『となりのトトロ』の楽曲を収録する際、ジブリと掛け合い、実現にこぎつけた立役者でもあるとか。

「(ゲーム嫌いだと言われるジブリでも)自分なら門前払いはないだろう」と考えた鵜野澤氏がジブリに交渉。「ジブリの中にひとりね、最近土地と家を買ってお金が欲しいなあって奴がいたもんですから……(笑)」(鈴木氏)と、ショートアニメ企画がスタートした。

構成・作画担当は『崖の上のポニョ』作画監督の近藤勝也氏


15周年ショートアニメは「太鼓の達人」シリーズ公式サイトで見られるほか、アーケード版や家庭用ゲーム、スマホアプリなどにも収録される予定。

太鼓の達人15周年記念アニメーション

構成・作画を担当したのは、『魔女の宅急便』や『崖の上のポニョ』の作画監督、『コクリコ坂から』のキャラクターデザインなど多くのジブリ作品を手がけてきた近藤勝也氏。「絵はものすごく上手なんです。でも、腕に覚えがあるやつはとかくそうなんですが、協調性がない(笑)。彼をトップに据えるとスタッフのやる気がなくなっちゃう……。腕はたしかなのにもったいなくてね」と、またもや“鈴木節”が炸裂。言いたい放題である。
「以前、別の会社のCM制作を手がけたときに“筆でやってみないか”と彼に提案したんですよ。筆でキャラクターを描いて動かすのは非常に難しい。さすがの彼も怯えたのか、30秒の作品に4ヵ月もかかった。でも、結果としてホントにいいものができました。彼自身も“筆”にとりつかれてしまって、次のチャンスを求めていたんですね。鵜野澤さんから今回の相談をいただいたのはちょうど、その頃ですよ。さっきはヘンなこと言っちゃいましたけど(笑)」(鈴木氏)

ジブリはゲームとのコラボを解禁するのか


「ジブリはゲームが嫌いだって言われるんだけど、正確に言うと、よくわかってないんです」という鈴木氏。すかさず鵜野澤氏が「じゃあ、ゲームやらしてくれるんですか?」とたたみかけると、「いやいやいや」と苦笑い。「僕と宮崎駿で将棋を指したりはするけど、デジタルゲームは何が面白いのか、さっぱりわからない」と語った。

最後に鈴木氏は「15周年、20周年、30周年とがんばっていただきたい。(「太鼓の達人」プロデューサー・中館氏に)若いからまだ大丈夫ですよね」とコメント。これを受けて、鵜野澤氏が「20周年、30周年はもっと派手なもので……劇場版みたいなジブリ作品も見てみたい(笑)。ぜひ、鈴木さんにもがんばっていただいて。ワッハッハ」と踏み込んだ。鈴木氏は明確に言及するのを避けたが、鵜野澤氏とのやりとりを見る限り、難航不落というわけでもなさそうだ。
(島影真奈美)