Doctors Me(ドクターズミー)- 【ハイヒール病&デスクワーク病コラム】Vol.2: ハイヒールで固定化される不良姿勢

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そもそもハイヒールを履く理由とは? 

それは、背が高く脚が長く見えるから。また筋肉が緊張することで、脚が引き締まって美しく見える作用があるからですよね。


ハイヒールによる不良姿勢からの健康被害を指摘する人たちがいる一方で、ハイヒールは女性らしいS字ラインを作り、骨盤底筋群を鍛えるのに最適だと主張する人たちもいます。

それは間違っていません。
理解すべきことは、そう指導する人達も、ハイヒールの履きっぱなしを薦めている訳ではない、という事です。

ハイヒールを履いて、美しい姿勢を保つ
『重心のかけ方』
『骨盤の位置とその上に置く上体の位置』
『足の運び方』
『筋肉の使い方』
などを解説しているだけです。

つまりは美しく見せるトレーニングの一種であり、1時間程度で終わらせるのが本来の内容になっています。決して1日中ハイヒールを履いている方が健康的で美しくなれると言っている訳ではないのです。

ここで、ハイヒールによって不自然な状態で固まった筋肉を解さずに放置しておくと、その不自然な状態で体型が固定化されたという、解剖学的な変化を2例紹介します。 

例1:

1つ目は2010年7月16日、医学誌「Journal of Experimental Biology(実験生物学)」のオンライン版にて。

マンチェスター・メトロポリタン大学(イギリス)のMarco Narici氏らの研究は、2インチ(約5cm)以上のハイヒールを2年間ほぼ毎日履いている20〜50歳の女性80人を対象に行われました。
その調査で以下3つの結果が出ています。

1. ふくらはぎの筋肉の違い
超音波検査で、ほぼ同じ身長でも、ヒールを履く女性は履かない女性に比べて、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)が13%短かいことが判明。

2. アキレス腱の違い
MRIで、かかとの骨とふくらはぎの筋肉をつなぐアキレス腱が硬く、太いことが判明。

3. 踵の低い靴での違和感
80人の内、11人が踵の低い靴を履くと不快感があると回答。

例2:

もう1つは2012年1月30日。オーストラリアの研究チームが「応用生理学ジャーナル(Journal of Applied Physiology)」に発表したものです。

調査は、
・最短でも過去2年間にわたって週40時間以上ハイヒールを履いていたという女性
・たまにしかハイヒールを履かない女性
を対象に行われました。

この調査では以下2つの結果が出ています。

1. ふくらはぎへの負荷
ハイヒール愛用者のほうが、歩幅が狭く、膝が曲がったままで太腿に力が入っており、いつも爪先立ちをしているような状態で歩行。この運動パターンは裸足になっても変化が無く、その結果、ふくらはぎの筋肉繊維が短くなっていることが判明。
ハイヒールを愛用していないグループよりも、ふくらはぎに大きな負荷がかかっている。

2. 怪我のリスク
ハイヒール愛用者は、フラットな靴を履いている人よりも足元が不安定で、使われる筋肉に制限がかかっている。その為、筋肉が疲れやすく、底の平らな靴を履いて運動をする時も、普段使ったことのないポジションに足を動かしたり、力が加わったりする事から、怪我のリスクが高まる。

ハイヒールを履くときのポイント

双方の研究者とも、ハイヒールを履く(選ぶ)ときのポイントとして以下を薦めています。

・ハイヒールを履く時間は、最小限の時間に留める
・体重の分散する幅の広いヒールを選ぶ
・足の大きくなる夕方に靴を買いに行くのがよい

逆に、機能より形を優先し、細いハイヒールに足を押し込める生活を続けると、キツイ締め付けやつま先への過剰重心のため、初期にはむくみやこむらがえりを起こしやすい状態になり、
更に酷くなれば、
・外反母趾
・指が曲がったまま戻らなくなるハンマートゥ
・足の中指と薬指の間の組織が肥厚して痛むモートン神経腫
など、足裏の変形病状のリスクを高める原因になる、と警笛を鳴らしています。

固定化される不良姿勢

これらの結果は、

身体に負担のかかる姿勢を強制的に続ける
→ 新陳代謝の過程で徐々に筋繊維や筋膜、靭帯や腱の組織そのものが変形
→ 不良姿勢が固定化されていく

事を示唆しています。

つまり、ふくらはぎの長さだけでなく、腰やお尻の筋肉、内臓や子宮を支えている筋繊維、筋膜、靭帯にも影響が及び、反り腰や内臓、子宮位置低下の固定化も起こりうるのです。

筋肉の過度な緊張や内臓位置の変化による血管や神経の圧迫は、そこに連動している組織の働きを鈍らし、思いもよらない健康被害を引き起こす原因となります。

〜パーソナルトレーナー:生西 聖治〜