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目の潤いが失われることで起きる"ドライアイ"。空気が乾燥する冬の時期に起こりやすい疾患だが、実は夏こそ注意が必要だ。というのも、夏も空調が効いた室内は空気が乾燥しているからだ。しかも、冬のようにわざわざ加湿器を稼動させるということはなく、乾燥に対する意識が低くなりがちだからこそ危険なのだ。そこで今回は、夏のドライアイについて、交通会館有楽町眼科医院長の松田智子先生に注意事項や対策方法などを伺った。

○ドライアイとは

まずは基本事項だが、ドライアイとは乾燥や眼精疲労、血行不良、生活習慣などにより、涙の分泌量が減少したり、涙の質が低下したりすることで、目の表面の潤いが失われてしまった状態。 自覚症状としては、目の乾きの他にゴロゴロするような違和感、視力低下、目の疲れといったものが挙げられる。眼科に訪れ、初めてドライアイが原因と診断されるパターンが多いそうだ。 松田先生のところにも平均して1日10人ほどがドライアイに起因した診察に訪れているそうだ。

「目の充血を治したいとおっしゃられて受診される患者さんのうち、検査をするとドライアイが原因であるという方が多いんです」と松田先生。

「ドライアイとは気付かずに、充血用の市販の薬を使用して一時的には治るんですが、血管収縮剤なので症状を緩和する対処療法にすぎないんです。根本的な治療にはなっておらず、完治しないんです。市販薬をしばらく使用しても効果が見られない場合は、ぜひ眼科に来てほしい」と話す。

というのも、市販薬によってはドライアイを悪化させてしまう別の危険性もあるからだ。

「防腐剤が入った市販薬は、使い続けると目を傷つけてしまうこともあります。しかもドライアイの場合は、涙の分泌量が少ないため、防腐剤の成分が濃縮されて悪循環になってしまうことがあります。市販薬であれば防腐剤が無添加の人工涙液などを。眼科で処方する点眼薬も防腐剤が入っているものもありますが、医師が症状に合わせてお出しするものなのでリスクは少ないです。さらに、傷付いた角膜を治す効果のあるヒアルロン酸や涙の分泌を促進する成分が含まれていたりもするため、効果が高いです」とその違いを説明してくれた。

○夏のドライアイ

一方、夏のドライアイの原因として、エアコンによる空気の乾き以外に注意したいのが“日焼け止め”だそうだ。女性の場合は年中化粧品による同じリスクがあるが、日焼け止めが誤って目の中に入ると、目の脂の分泌腺を塞いでしまい、ドライアイを引き起こす原因になるという。

「夏は汗もかくので、汗で化粧品が流れて目の中に入ってしまいやすいです」と注意を促す。

そこで思い浮かぶのが目を洗浄するための"洗眼薬"だが、松田先生は「使い過ぎは禁物」と警告する。「洗顔と同じで、あまり洗い過ぎても、目の表面に必要な脂などの潤い成分が失われてしまい、ドライアイを悪化させてしまうのでほどほどに」とのこと。

また、夏のドライアイのいちばんの原因であるエアコンによる乾燥対策としてオススメなのは、"温罨法(おんあんぽう)"。漢方医学の治療法のひとつで、患部を温めることで新陳代謝を活性化させる効果があるとされるものだが、これを目にも行うといいそうだ。

「ホットタオルを瞼の上に乗せて温めます。血行がよくなることで脂の分泌が促進され、涙の蒸発を防ぐ効果があります」と松田先生。

○ドライアイを防ぐには

その他、エアコンと並んでドライアイの三大要因とされるのが、コンタクトレンズとパソコンの使用。ドライアイを防ぐための松田先生からのアドバイスは次のとおりだ。

「コンタクトレンズはできるだけメガネを使用するようにして装用時間を短く。最近では保湿機能付きのメガネもありますので、そうしたものを利用するのもひとつです。パソコンは画面が目線よりも上になると目を見開くことになるため、乾燥しやすくなります。画面は目線より下方向になるように。スマホにも同じことが言えますが、さらに動画やゲームを集中して見ていたりすると瞬きの回数が少なくなってしまい、ドライアイになりやすいので注意が必要です」

ちなみに、ドライアイが点眼薬で改善されないほどの重症の場合には、"涙点プラグ"という器具を目の中の涙点に装着して治療が行われるという。 肉眼ではほとんどわからない程度の大きさの器具だが、涙点を堰き止めることで涙が目元から鼻に抜けていく涙の量を抑えて、目の表面の涙の量を増やすことで、症状を改善させるとのことだ。

松田先生によると、ドライアイは男性よりも女性のほうがなりやすく、加齢や食生活、ストレス、睡眠といった生活習慣も多いに関係するという。

「ドライアイの要因が多く当てはまる人は夏場は特に注意が必要です。ドライアイが直接的な原因となるわけではありませんが、目が乾いてバリア機能が失われると細菌に感染したりして極度な視力の低下や失明に至る可能性もあるので、決して侮らず、専門家である眼科を訪れてください」と松田先生。

夏本番となり、どこへ行っても空調が効いた乾燥状態に晒されるこれからの季節。冬に比べて乾燥への対策意識が低くなりがちだからこそドライアイに注意が必要だ。

photograph = Yui Kanai

(神野恵美)