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梅雨入りした日本。例年、この季節になると「夜、耳もとで聞こえるプ〜ンという音で、なかなか寝付けなかった」「刺されてかゆくて、勉強に集中できなかった」といった声を聞くようになる。この“夏の吸血鬼”である蚊を、寄せつけないコツを教えてほしい! というわけで、世界で初めて蚊取り線香を開発したという大日本除虫菊(大阪市西区)の上山久史専務取締役に直撃した。

○赤々と燃える部分の8mm手前から

そもそも蚊をやっつけたり、寄せ付けたりしない商品には、スプレータイプやマット式、電気式などがある。この中で、厄介者である蚊をやっつけるために最も適した“兵器”について上山氏に聞くと、即「蚊取り線香です」という答えが返ってきた。

「蚊の殺虫剤のなかでは、迷わずいまも『蚊取り線香が世界で最も空中揮散能力がある』と考えています。たとえばマット式は、最初と最後で殺虫成分の濃度が違う。蚊取り線香は同じ濃度で揮散し、効き目が最後まで落ちない。100年前に開発されたものやけど、いまだに、最も蚊に強いものです」(上山氏)

日本脳炎やデング熱、黄熱病、マラリア、フィラリアなどの病気を媒介する蚊。その蚊に蚊取り線香の原料である「除虫菊」が効くとわかったのは明治時代だ。現在の渦巻き型蚊取り線香は、1885(明治18)年に同社創業者・上山英一郎がH・E・アモア氏(サンフランシスコで植物輸入会社を経営)と出会い、翌年にアモア氏から除虫菊の種子を手に入れたというエピソードがルーツだそう。

さらに上山氏は、蚊取り線香の殺虫成分にまつわる意外なトリビアについても教えてくれた。

「蚊取り線香が誕生した当初は、除虫菊のどの成分が蚊に効いているのか分かっていませんでした。近年になり、除虫菊の花に含まれるピレトリンに殺虫効果があるとわかり、そのピレトリンを化学的合成物『ピレスロイド』でつくれるようになったんです。当社の蚊取り線香には、このピレスロイドのひとつであるアレスリンが含まれています。実はこのアレスリンは、赤々と燃えている800度付近の部分からではなく、その8mmほど手前部分(約250度)から、ほわ〜んと出ているんです」(上山氏)

○スピンの必然性と大和魂

蚊を追いやる蚊取り線香のパワーはわかった。では、もっと基本的なことを聞きたい。なぜ蚊取り線香はグルグルとスピン状になっているのか。しかも2つの蚊取り線香がスキマなく組み合わさりひとつの平面(円盤)となって筒箱に入っている。どうして?

「蚊取り線香は1時間で10cmほど燃えるのですが、夜に活動する蚊に対しては、眠りに就いてから明け方まで燃える蚊取り線香が必要。であれば70cmは要ることになります。実は、蚊取り線香は直線にすると約75cmもあるんです。 ちなみに当初は職人の手によって2巻きずつ巻かれてたけど、現在は機械でダブルコイル状に打ち抜くわけです。このときの刃にも職人のこだわりがあって、手入れの行き届いた刃で折れにくくて分離させやすいという特徴を持たせています」(上山氏)

最新の蚊取り線香は、除虫菊の香りのするスタンダードなもの以外にもさまざまな種類が選べる。香りを「楽しむ」という選択肢も増えた。

上山氏は、「蚊取り線香の燃える匂いは、日本の職人の鼻で守られている。安全性の高いピレスロイド系の殺虫成分とその香りで、100年以上使い続けられている品質を感じてほしい」とも話していた。

微香性や無香といった殺虫剤を好むユーザーもいるが、「菊の花が燃える香り」を楽しむリラクゼーションのアイテムのひとつとして、国産の蚊取り線香を選ぶ人もいるのだとか。あなたも改めて、蚊対策としての蚊取り線香を見なおしてみてはどうだろうか?

(大野雅人)