オランダはスピーディな展開を持ち味とする。スタメンは初戦のスイス戦の布陣が軸になるか。

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 グループリーグを3連勝で勝ち上がったなでしこジャパンは、6月24日午前11時(日本時間)に決勝トーナメント1回戦でオランダと対戦する。
 
 優勝まであと4勝。決勝トーナメントはグループリーグ以上に、判断の速さやパススピードのギアを一段上げて戦わなければならないだろう。確かに3連勝という事実だけを見れば見事な結果であり、ドイツ、アメリカ、フランスといった優勝候補が、日本とは決勝まで対戦しない『反対のヤマ』にいったこともラッキーだと言える。
 
 ただし、これまでの試合を振り返れば、その内容は決して高評価に値するというものではなかった。いずれも格下の相手と対戦したグループリーグだったが、現時点では優勝への視界が良好というわけではない。
 
 日本はカナダに入ってから、異例の連日非公開練習を行なっている。そのため先発予想は困難だが、初戦のスイス戦のメンバーが軸になると見る。グループリーグで攻撃的な長所を発揮したDF鮫島彩を、左SBか左SHで起用するのではないか。もしくは、MF宇津木瑠美を左SBに入れる形もあるだろう。
 
 GKのスタメン予想はさらに難しい。初戦でミスはあったものの、佐々木則夫監督の評価が高いGK山根恵里奈か、経験豊富なGK福元美穂か。これには日本メディアも頭を悩ましているため、オランダスタッフもそれは同じであるはず。
 
「オランダはあまりメンバーを変えない。だからメンバーはだいたい予想できる」と、佐々木監督は情報面では優位に立っている様子で、オランダのスピーディな展開を封じるような布陣で臨むだろう。
 日本が攻守両面で抱える課題が、このオランダ戦ではいかに克服されるのか、は大きな見どころだ。守備面では相手のキープレーヤーを確実に抑えきれないという課題は残されたままで、攻撃面の課題は鮫島の言葉を借りれば「単調になっているところが気になる」となる。
 
 佐々木監督が「CBに対しストレートに(ドリブルなどで仕掛けて)来ないようなサッカーをしないと厳しくなる」と警戒を強めているのは、スイスのFWラモナ・バッハマン、カメルーンのFWガエル・エンガナムットを抑えられなかった反省があるからだ。
 
 オランダ戦ではFWマノン・メリスの高速ドリブルに最大限の注意を払い、18歳のFWビビアンネ・ミーデマにフリーでゴール前へ侵入させることは回避したい。それを成功させるために、早い判断と確実なマークの受け渡しが重要で、綿密なコミュニケーションが必要になってくるだろう。
 
 FW大儀見優季とFW菅澤優衣香のコンビは徐々にスムーズになってきたとは言え、エクアドル戦での攻撃は芳しくなかった。66パーセントの高いボール保持率を活かせず、得点は1点のみ。逆にオランダは欧州予選で格下相手に何度も失点を許し、守備は決して強固とは言えなかったが、今大会では2失点のみで調子を上げてきている点は見逃せない。
 
「グループリーグでは攻撃面の展開が少なすぎた。1タッチ2タッチで、さらに正確な止める・蹴るの技術が必要」と、佐々木監督が話すことを忠実に実行できれば、オランダゴールは近くなるだろう。
 3つめのポイントは試合の終わらせ方、つまりクロージングだ。日本はグループCを1位通過したことで、バンクーバーとエドモントンの2都市だけで決勝まで戦う権利を得た。仮に2位通過なら、4都市で転戦しなければならなかったため、今回の1位通過は後々の疲労を軽減させる上で大きなアドバンテージだ。これを最大限に活かすためにも、日本はできるだけ90分で試合を終えたい。
 
 だが欧州の出場国にとって、今回のワールドカップは来年のリオ五輪の予選を兼ねた大会だ。ドイツ、フランスら実力国が『反対のヤマ』にいったことは、オランダにとって五輪出場ラインの欧州上位3位位内に入る可能性を高くし、モチベーションも一層高くなったと言える。
 
 そうした相手に対して90分で試合を終わらせるなら、先制逃げ切りの流れが理想的だが、佐々木監督は逃げ切るための策として5バックの採用も示唆。前線に大柄な選手を配置して押し込んでくるであろう終盤、5-4-1にして人数をかけて守り切ることができるか。
 
 仮に終盤リードを奪えていない状況ならば、FW岩渕真奈の投入も注目だ。エクアドル戦では80分から途中出場して前線を活性させた彼女の存在は、日本の光明とも言える。
 
 強豪のブラジルが早々に敗退したことを教訓に、日本は自らのサッカーを落ち着いて貫きたい。
 
文:馬見新拓郎(フリーライター)