「広瀬すずがこの作品に出会う瞬間に立ち会えた僕らは幸せ」是枝監督、『海街diary』を語る
『BANANA FISH』『YASHA-夜叉-』と聞いて、ピクっと反応する30歳以上の女性は多いと思います。これらの稀有な作品を生み出してきた漫画家、吉田秋生さんの現在連載中のコミックス『海街diary』が実写映画となって公開中。4姉妹を、綾瀬はるかさん、長澤まさみさん、夏帆さん、広瀬すずさんが演じているのも話題の本作を手掛ける、是枝裕和監督(『誰も知らない』『そして父になる』)に話を聞きました。

――あらすじ――

鎌倉で暮らす三姉妹、幸(綾瀬)、佳乃(長澤)、千佳(夏帆)のもとに、不倫の末に母と自分たちを置いて出て行った父が死去したという知らせが届く。葬式の場で、母親の違う妹・すず(広瀬)と対面した幸は、思わず「一緒に暮らす?」と声をかける。

⇒【YouTube】「海街diary予告篇」 http://youtu.be/klRrF-EMvk4

◆『鎌倉4姉妹物語』ではなく『海街diary』への挑戦

⇒【画像】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=289355

――監督はオリジナル作品が多いですが、本作は原作の1巻を読んだ瞬間に「撮りたい!」と思われたとか。

監督:厳密にいうと、他の人に映画にされたくないと思ったのね。絶対に誰かが映画にすると思ったから。山形に父親の葬式に行って、高台から町を見下ろす。するとすずが泣き叫んで4人のシルエットが重なる。バックには蝉しぐれが聞こえる。これは映画だ! と。

――確かにとても映画的です。しかし同時にイメージ通りの画を撮ることは難しいですよね。ロケーションはかなりされたのでしょうか。

監督:しました。でもなかなか原作通りのアングルで撮るなんてできない。だから途中でやめました。たとえば、ちゃぶ台で食事をしているシーンなんかもね、漫画では基本俯瞰で捉えているけれど、映画的には難しいと思ったから、イメージだけを引き継いで、映画として消化して出すことにしました。

――本作は監督がこだわられてきた家族の話でありつつ、姉妹、女性というところに新しさを感じます。監督自身、新たな領域に取り組んだという意識はありますか?

監督:うん。強い女たちの話だというのはあるよね。特に幸とすずに関しては、強くならざるをえなかった。でも、被害者意識はない。それから、この原作で僕が新たに挑戦したとするなら、これが「鎌倉4姉妹物語」ではなくて「海街diary」だということ。空間的にも時間的にも、もっと広がりがあるんだよね。

4人の物語ではあるんだけど、そこには家があって、その家には彼女たちが生まれる前からの時間の積み重ねがある。さらに周りには街があって、やっぱり時間が積み重なっている。そうした広い視野が原作にはあった。だから『海街diary』なんだろうなと。そこを描ければ、僕がこれまで撮ってきたファミリーストーリーより、大きな作品になるんじゃないかと。そこは挑戦したいと思いましたね。

⇒【後編】「いつまでも見ていたいと思う4姉妹だった」に続く http://joshi-spa.jp/289246

<PHOTO、TEXT/望月ふみ>

『海街diary』は全国公開中
配給:東宝/ギャガ
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