ドラマ『相棒』はなぜ劣化したのか?4つの違和感
 今秋にもシーズン14の放送が予定されている『相棒』(テレビ朝日系)。

「右京の新しい相棒は反町隆史か? 仲間由紀恵か? はたまた及川光博の再登板か?」といった記事を見かけることも多いかと思います。土曜ワイド劇場での単発回も含めると、15年ものあいだ続く人気ドラマになりました。

 ところが前シリーズのオチで「あれ?」と思った人も多いのでは。それまでコンビを組んで捜査にあたっていた甲斐亨(成宮寛貴)が、伏線らしい伏線もないまま、実は“ダークナイト”と呼ばれる必殺仕事人のような存在だったことが判明。あえなく逮捕されて終わるという、なんとも視聴者置いてけぼりのオチだったのです。

 しかし初回放送から『相棒』を見続けてきたファンにとっては、ここまでの無茶は想像できなかったにしても、新シーズンが始まるたびに質が落ち続けてきたことは薄々感じていたのではないでしょうか。

 長年にわたって視聴者を飽きさせないことはとても難しい。けれどもこと『相棒』に至っては、犯さなくてもよいミスを犯してきてしまったような気がします。

 そこで、ほぼ同じ時期にアメリカでスタートして、こちらも長寿を誇る人気ドラマ『NCIS ネイビー犯罪捜査班』(CBS、2003年〜。日本ではFOXチャンネルで放映中)と比較しつつ、一体『相棒』はどこでどうボタンを掛け違えたのか検証してみましょう。

◆(1)動かしてはいけないキャストを動かした

 これは言わずもがな。08年のシーズン7の途中で“卒業”した亀山薫(寺脇康文)、亀山美和子(鈴木砂羽)。さらに小野田官房長(岸部一徳)は劇場版2で殉職。そして右京が通う小料理屋の女将で、元妻の宮部たまきを演じていた益戸育江は、“Think Green”の掛け声もろとも、深海へダイヴ……。

 物語の根幹を成すキャストがごっそりと抜けたことで、『相棒』のコンセプトのみならず、時を経るごとに培われてきた芝居の躍動感までも失ってしまう結果に。

『NCIS』では、リロイ・ジェスロ・ギブス(マーク・ハーモン)、アンソニー・ディノッゾ(マイケル・ウェザリー)、ティモシー・マクギー(ショーン・マーレイ)の捜査官に加え、科学捜査分析官のアビー(ポーリー・ペレット)、検死官主任のダッキー(デイヴィッド・マッカラム)のキャスト陣はシリーズ開始から不変。最初期から比べると、彼らのセリフ回しが自然な日常会話の域にまで高められてきたことがよく分かります。

 そのためギブスのチームが実際に存在しているかのような感覚でドラマを楽しめるのです。

◆(2)主演のイメージを崩してしまった

 大切なブランドであるはずの杉下右京のイメージを、他ならぬ水谷豊が壊してしまったことが残念でなりません。まだ『相棒』が続いている段階から、喜多川歌麿に扮した2時間ドラマ『だましゑ歌麿』や、天才小説家・北白川右京(これは完全に禁じ手でしょう)を演じた映画『王妃の館』に取り掛かってしまっては元も子もない。

 もっとも、マーク・ハーモンも『NCIS』の開始当初、映画『チェイシング・リバティ』が公開されましたが、ヘアスタイルは変わらず衣装もスーツだったため影響はほとんどなかったと言えるでしょう。

⇒【後編】「右京のキャラやテーマ曲にも、少しずつ変化が…」に続く http://joshi-spa.jp/287563

<TEXT/沢渡風太>