オッサンの究極の夢“美女と温泉ドライブ”を目指すにあたり、最近業績が絶好調なスバル、すなわち富士重工業のクルマは購入の価値があるだろうか。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が、スバル車の魅力について分析する。

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 スバルの業績が、最近絶好調である。2015年3月期の決算は売り上げ・営業利益とも過去最高。我々の周囲でスバル車のブームが起きているわけではないし、美女が「きゃーっ、スバル、カッコイイ!」と駆け寄ってくる気配もないが、なぜそんなに好調なのか?

 ひとえに北米市場である。いまやスバル車の3台に2台近くはアメリカで売れている。と言っても、アメリカに行ったらスバル車だらけなんてことはまるでなく、ニッチメーカーだけにシェアはせいぜい3%だが、それでも前年比2割増と伸びが凄い。アメリカ向けのクルマは作るそばから売れてうれしい悲鳴だという。我々も温泉でうれしい悲鳴を上げさせたいものである。

 なぜこれほどまでにスバルがアメリカで好調かというと、アメリカ人が好むクルマ作りを始めたから。ずばり、サイズをデカくした。その代表がレガシィ・アウトバック(313万円〜)だ。

 かつてレガシィ・ツーリングワゴンは5ナンバー車で、日本で大いに売れたが、現在はビッグで車高を高めたクロスオーバーSUV(スポーツ多目的車)になっている。それとともに日本での販売は急減。一方パイが3倍のアメリカ市場でバカ売れするようになり、みごと勝ち組になった。

 ところでスバル車には「スバリスト」という熱狂的マニアが多いが、いったい何がそんなにいいのだろう。

 正直なところ、私にはよくわからない。今のスバル車に乗っても、それほど武骨でもハードボイルドでもなく、ごく真っ当に快適に走るのみである。スバル伝統の4WD技術は確かに凄いが、雪道や悪路ならともかく、そこらをフツーに走っても特に違いは感じない。

 それより我々オッサンにありがたいのは、自動ブレーキの「アイサイト」だ。スバルは「ぶつからないクルマ」の先駆者。その技術は掛け値なしにすばらしい。アイサイトには全車速追従クルーズコントロール機能も付いているので、高速道路では前のクルマを感知して正確に車間距離を保ち、渋滞でもほぼ自動運転感覚。実にラクチンだ。もちろん、うっかりわき見の時は自動ブレーキが守ってくれる。さすが技術のスバル。オッサンの強い味方である。

 レガシィ・アウトバックは乗り味もインテリアも実にビッグでゆったりしていて、きっと美女も気に入るはず。美女は基本的にデカいクルマを好む。これは間違いない。

 あまりにもデカすぎて不安という方は、日本向けに小ぶりに作ったレヴォーグ(277万円〜)がおすすめだ。そしてレガシィ・アウトバックよりもヨンクっぽい形をしているのが、フォレスター(214万円〜)。見た目がいかにも頼もしそうで、サイズや値段もそこそこ手頃。美女は基本的に頼もしそうなクルマを好む。これも間違いない。

 結局美女の好みを追ってしまい、面目ない限りである。

■清水草一:編集者を経て、フリーライターに。「自動車を明るく楽しく論じる」がモットーの53歳。現在、フェラーリ・458イタリア、BMW・335iカブリオレ、トヨタ・アクアを所有。日本文藝家協会会員。

※週刊ポスト2015年6月26日号