「Thinkstock」より

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 スマートフォン(スマホ)やPCのブルーライトが目に有害であることは広く知られるようになりました。ブルーライトを軽減するPC用眼鏡が一時期爆発的なヒットを記録したので、職場でかけている人も多いでしょう。

 ブルーライトは極めて強い光で、目の奥の網膜にまで届きます。目に見えないレーザー光線といってもいいでしょう。緑内障、白内障、網膜はく離等の要因になるとして、注意喚起する報道もよく見かけます。

 2013年に開催された「第1回国際ブルーライトシンポジウム」では、「ブルーライトを長時間目に浴び続けると、メラトニンの生成が抑制される」との報告があり、大きな話題となりました。

 メラトニンとは、眠りを促す脳内ホルモンです。人間の体内時計は目の奥にあることがわかっており、日光を浴びるとリセットされます。そこで体が活動期に入り、メラトニンの生成が抑制されます。それから14〜16時間後にメラトニンが分泌され、眠気を生じるようになっています。したがって、朝目覚めてから5分以内に日光を浴びると、睡眠と覚醒のリズムが作られます。不眠解消には、睡眠前の行動以上に、起きぬけの5分が重要といわれているほどです。

 ところが、夜ブルーライトを浴びると、メラトニンの分泌が抑制されることがわかってきました。脳がまだ昼間であると判断してしまうのです。そのため正常な睡眠リズムが刻めなくなり、このような状況が続けば睡眠障害に陥る危険があります。

●スマホが老眼を促進する

 人間の目がモノを見る時は、毛様体という筋肉で水晶体の厚さを調整してピントを合わせています。このピント調整の役目を果たす毛様体筋が加齢によって衰えてくると、近くのモノが見づらくなるなど、いわゆる老眼(老視)になります。

 一般的に、30代後半からこの衰えは始まり、40歳を過ぎた頃から老眼の症状が現れる人が増えてきます。もともと視野が至近距離に限定されている近視の人は、この症状を自覚するのが遅いため、「近視の人は老眼になるのが遅い」と誤解されていますが、多くの人はほぼ同じように衰えてきます。

 しかし、昨今はスマホやPCを見ている時間が長く、目を酷使する傾向にあります。また、テレビ画面を一定の距離で長時間見続けていると、毛様体筋が衰えます。そのため、30代前半から老眼と同様の症状が現れる人が増えています。加齢が原因ではないため厳密には老眼とはいわないようですが、“ほぼ老眼”です。スマホを使う時は、こまめに画面から目を離して遠くを見るなど、目の周りの筋肉を動かすことを意識したほうがいいでしょう。

 また、首や肩の血行不良によっても毛様体筋は衰えます。長時間同じ姿勢で作業をしたり至近距離でスマホを見続けることで首や肩が固まって血行不良が生じ、ひいては老眼の進行を早める結果となりかねません。

 さらに、スマホの小さな画面でゲームをしたり動画を見ると、まばたきの回数が極端に減り、眼精疲労やドライアイを招きます。

 このように、スマホは目にとって負担の大きいものといえます。ブルーライト対策としてPC用眼鏡を持っている人は増えていますが、仕事などで長時間PCを使う時だけしか使用していないのではないでしょうか。実は、PCよりもスマホのほうがブルーライトを多く出しています。通勤・通学の電車の中や自宅で、ネット検索、動画閲覧、SNSやメールなど、スマホを見ている時間は一日のうち平均して数時間、長い人では10時間にも及ぶといわれています。

 PC用眼鏡はスマホ使用時にもかけるようにし、かつ極力ブルーライトを浴びる時間を減らすように心がけましょう。
(文=村上純一/医療ジャーナリスト)