専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第8回

 ゴルフ場でラウンドしている途中、トイレに行きたくなることがありますよね。しかも、大のほうを。

 これまでも、この"トイレ問題"のコラムをさまざまな媒体で何度となく書いてきましたが、今回新たな"学説"が発表されたので、それをもとに"新理論"を展開したいと思います......って、ちょっと大げさですかね。

 新たな"学説"を発表したのは、なんとマラソン界の方です。あの、元オリンピック代表選手の瀬古利彦さん(DeNAランニングクラブ総監督)が、マラソン界の"トイレ問題"を、テレビで赤裸々に語っていました。「テレビには映っていないが、走りながら垂れ流している人を見た」と。

 これは、衝撃的でした。思い起こせば、1973年の毎日マラソン(現びわ湖毎日マラソン)で、フランク・ショーター選手(アメリカ)がレースの途中でトイレに駆け込みながらも優勝したのを、子ども心に覚えています。マラソン界でも、そんな"トイレ問題"が頻繁にあるんですね。

 瀬古さんの現役時代はどうだったのかっていうと、「とにかく(レース前に)無理やり出すしかない。出ないときは、指浣腸してでも出す」と言っていました。これまた、衝撃的というか、ショックでした。

 それにしても、超一流のアスリートが、わずか2時間そこそこの間のトイレ管理ができないものなのでしょうか? そんな疑問に対して、瀬古さんはこんなメカニズムを解説しておりました。

「要するに、マラソンは(体の)上下運動を2時間やるわけで、(体内で腸が)上から刺激されて、逆に出やすくなってしまうのではないか」と。この話には、大いに納得させられました。

 というわけで、ゴルフの話に戻りましょう。

 ゴルフとマラソンは、"トイレ問題"において、ことのほか状況が似ています。どちらも約2時間半、立って動き回るのが一緒。そりゃ、途中でトイレに行きたくもなりますよ。

 しかもアマチュアゴルファーの場合、前日に眠れないとか言って、お酒を飲んだりしますから、翌朝は寝不足なうえ、お腹もくだり気味。さらにそういう人に限って、ギリギリになってコースに到着し、なおかつ朝ごはんを食べてスタートしますから、2、3ホールこなしたあたりで(体内の臓器たちも活発に動き始めて)ちょうどトイレタイムとなるわけです。

 まあでも、ゴルフの場合は、ゴルフ場のクラブハウスの他、途中のお茶屋さん(休憩所)にトイレがあります。ですから、およそ1時間、我慢すれば何ら問題はないのです。が、トイレの発作が起きた人は、1時間なんて待っていられません。私など、発作が始まったら、1ホール持つかどうかです。ゴルフ場におけるトイレ人生は、常に綱渡りでした。

 同様のお悩みを抱えた方というか、同じような状況に陥った方は、決して少なくないのではないでしょうか。実はこの"トイレ問題"、対処法がないことはないんです。

 鶴舞カントリー倶楽部(以下、鶴舞CC。千葉県)の会員だった頃は、ゴルフ場内のトイレのある場所をすべて暗記していました。鶴舞CCは、お茶屋さん以外にもトイレが何箇所かあって、2ホールくらい我慢すれば、なんとかトイレにたどりつけて、非常に便利でした。

 名門で、お年寄りのお客さんが多いコースなどでは、トイレの数を増やしているようです。そんなトイレの数が多いコースを選ぶのも、安心ですから、ひとつの案と言えますね。

 ともあれ、基本的に大切なことは、体調管理ですよね。プレイ前日は、お酒などを飲まずにさっさと寝ることです。そして、コースにはスタート1時間半くらい前には到着し、朝ごはんをしっかり食べて、それから練習すれば、自ずとトイレに行きたくなります。そういうライフスタイルを確立するのが理想です。

 ちなみに、プロゴルフの世界でも"トイレ問題"はあるのか? そりゃ、ありますよ。朝のクラブハウスのトイレは"大渋滞"だと聞いています。選手たちも、出そうと必死なんですね。

 某選手は、試合中にトイレに駆け込みましたが、間一髪間に合わず、漏らしてしまったことがあるそうです。仕方がないから、その後は晴れているにもかかわらず、カッパを着てプレイしたという話です。

 今後、ゴルフ人口も高齢化が進んでいきます。ゴルフ場におけるトイレ需要はますます増していくことでしょう。いっそゴルフ場は、工事現場にあるような仮説トイレでもいいから、各ホールに設置してみてはどうですかね。もしかすると、それがいい宣伝になって、"トイレ好き"のゴルファーが大挙してやってくるかもしれませんよ。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa