香川(10)と岡崎は距離感が遠く、良好な関係を築けていなかった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 2018年のロシア・ワールドカップに向けた船出は、まさかの引き分けに終わった。引いて守りを固める相手から、1点が奪えずに痛恨のスコアレスドロー。格下を相手になぜゴールが奪えなかったのか。攻撃面の課題が噴出したシンガポール戦を、エリア別に検証していく。

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【エリア別検証/3トップ+トップ下】
 本田の7本をはじめ、前線の4人だけで18本のシュートを放ちながら、いずれもネットを揺らせなかった。GKのファインセーブがあったとはいえ、これだけチャンスを作りながら決めきれなかった攻撃陣は、断罪されてしかるべきだろう。引いた相手から点が取れずにドローに持ち込まれたブラジル・ワールドカップのギリシャ戦から進歩がないと言われても仕方がない。
 
 シンガポールが試合に入りきれていなかった立ち上がりは、まだ良かった。しかし、時間の経過とともに相手がより守備の色を強めてくると、日本の攻撃は徐々に精彩を欠いていった。とりわけ気になったのが、CFとトップ下の連係だ。最終ラインの背後を狙う岡崎とアンカーの脇でボールを受けようとする香川との距離感が遠く、仮に香川にボールが入っても、そこから先の崩しに岡崎がほとんど絡めていなかった。
 
 岡崎が放ったシュートは、宇佐美の横パスを受けたエリア内での左足、本田のクロスをニアで合わせた右足、太田のクロスからのヘッドの3本。一方の香川も、柴崎の縦パスを受けてからの反転ミドルと、ルーズボールを拾って自ら持ち込んだミドル、酒井宏の折り返しを合わせた右足の3本だ。ウイングの本田や宇佐美との連係でチャンスを作っていたとはいえ、中央に構えるふたりの関係が上手くいっていなかったのは、この結果からも分かるだろう。
 
 香川自身は、「4人くらいが中に入って距離感が良くパスが回った時はチャンスになっていたけど、もうちょっと一度サイドに開く時間帯があっても良かったと思う」と言うが、起点になっていたウイングを開かせるのであれば、なおさら中央の縦関係は重要だ。
 
 岡崎と香川はいずれも長く代表のレギュラーを務めてきた選手だが、CFとトップ下の関係で固定されたのは、ハリルホジッチ体制になってから。わずか3試合でコンビネーションを構築しろというのは酷なものの、シンガポールのように引いて来る相手が待ち構える今後のアジア予選に小さくない不安は残った。
【エリア別検証/ボランチ】
 もっとも、岡崎や香川ら前線が結果を残せなかったのは、ボランチにも問題があったからだろう。イラク戦同様、ほとんどノープレッシャーでボールを受けられた長谷部と柴崎は、この試合に限って言えば大胆さに欠けていた。
 
 象徴的なのが、後半の出来だ。ハーフタイムに「斜めのサイドチェンジを入れていけ」(ハリルホジッチ監督)と修正を受けた2ボランチは、確かにサイドを意識していたが、それが有効に機能していたかは疑問が残る。むしろ、縦パスをカットされることを恐れた消極的な選択肢として、サイドへ展開していた印象すらあるほどだ。ボールを引き出そうと盛んに動いていた香川のコメントからも、そうしたピッチの状況が窺い知れる。
 
「中央(の守備)は堅かったけど、片方のボランチはあまり守備が上手くなかったので、その裏でボールを受けたかった。そこに、もうちょっとボールが入れば展開が変わった感じもしました」
 
 レシーバーの香川が受けられる体制をとっていたにもかかわらず、パサーのふたりがその隙を見出せなかった。つまり、受ける側と出す側で温度差があったということだ。それは長谷部も認めている。