第1戦のスイス戦に続いてフル出場した有吉。攻守に躍動した。(C) Getty Images

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 女子ワールドカップのグループリーグ第3戦、なでしこジャパンはエクアドルに1-0で勝利し、グループC1位通過を決めた。前半終了時で72パーセント、試合終了時で66パーセントと、高いポゼッション率を誇り、得点こそ5分の大儀見優季の今大会初ゴールのみに終わったが、無傷の3連勝となった。

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 このエクアドル戦で、右SBとして初戦のスイス戦に続きフル出場した有吉佐織は、獅子奮迅の活躍を見せた。
 
 16分、右サイドでボールを持った有吉は、得意のドリブルで相手3人を抜き去り、右足でフワリとした浮き球のクロスを送る。ゴール前に走り込んだ宮間あやが頭で合わせたシュートは、エクアドルGKベルスの好セーブで追加点とはならなかったが、有吉は後半も相手の隙を見計らってシュートを放つなど、エクアドル守備陣の脅威となり続けた。
 
「グループ最終戦で勝点3を取れて本当に良かった。ラインコントロールはもちろんだけど、誰がファーストディフェンスに行くのかをはっきりさせるよう気をつけた。今日の審判は少しボディコンタクトに厳しかったので、GKの福元美穂さんを含めた守備の5人でしっかり声をかけ合って確認しながら試合を進められた」
 
 晴れやかな表情で、自身二度目となるワールドカップの試合を振り返った。
 
 有吉は女子サッカーの名門で知られる、神村学園高や日体大ではトップ下など攻撃的なポジションで活躍し、大学時代からなでしこジャパン候補に選出されてきた。
 
 4年前のワールドカップはバックアップメンバーとして、なでしこジャパンがドイツに向けて出国する直前の愛媛合宿まで帯同。しかし、約1か月後に優勝を成し遂げるチームを見送るしかなかった。
 
 3年前のロンドン五輪ではチームに帯同したものの、参加したのはまたも練習まで。本大会の登録メンバーからは外れ、スタンドから日本の銀メダル獲得を見守るしかなかった。
 
「やっぱりバックアップメンバーで合宿まで参加することと、本大会で試合に出場することはまったく意味合いが違う」
 
 それは、ある種の屈辱を味わった有吉にしか分からない感情なのかもしれない。
 2010年に日体大から加入したベレーザでは、不動の左SBとして活躍し、なでしこジャパンでは左右どちらのポジションも起用にこなせる能力を見せてきた。そして、14年にはアジアカップ(ベトナム)の優勝に貢献するなど、ロンドン五輪後の3年間で右の近賀、左の鮫島と確固たるレギュラーの間に割って入り、代表のSBに新風を吹き込んできた。
 
「相手のCBを引き出すようなプレーをすれば、自ずと相手のゴール前は薄くなるはず。積極的に2対1の形を作って、相手のブロックを崩そうというイメージでプレーした」と振り返ったエクアドル戦でも、攻撃的なスタイルを存分に発揮した。
 
 だが、他グループより比較的楽なグループに入ったと見られている日本としては、次の決勝トーナメント1回戦からが、本当の戦いとなる。ここから決勝戦までの4試合で主力として出場し続ける選手こそが、本当の日本の戦力となり得る選手だ。
 
「次の決勝トーナメントからは本当に結果がすべてになってくる。グループリーグの3試合で出た課題をきちんと修正して、時間帯を考えながら良い判断を伴ったプレーをしたい」
 
 存在感を一気に高めてきた有吉のさらなる活躍が待たれる。
 
取材・文:馬見新拓郎(フリーライター)