2015年シーズン、賞金女王は誰だ!?
◆女子プロゴルファー実力診断(3)

ゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏が女子プロゴルファーの実力を診断する特集の第3回。今回は、賞金ランクでは10位以下ながら、今後の躍進が期待される注目選手をピックアップして分析した。

※賞金ランク等、6月15日現在のもの。以下同。

■大山志保(38歳)
賞金ランク12位(2783万6136円)
今季ツアー1勝:ヨネックスレディス(6月)

1977年5月25日生まれ。宮崎県出身。
ツアー通算16勝。身長168cm。血液型B。
【過去3年の成績】
2014年 優勝2回/賞金ランク7位(8829万1648円)
2013年 優勝1回/賞金ランク9位(7185万9084円)
2012年 優勝0回/賞金ランク63位(1009万6600円)

 2006年に賞金女王を獲得した大山志保。数年前は故障などで苦しいシーズンを送ることもあったが、彼女が頭角を現してきた当時は、本当にすごかった。身長168cmと恵まれた体格で、身体能力にも優れていた。そのうえで、スイングも素晴らしかったから、「こりゃ、すごい大物が出てきたな」と思った。

 とにかく、大山は体幹がしっかりしていた。その分、スイングは男子並みで、飛距離もあった。今でも、ドライバーの飛距離は平均250ヤード強を記録。それでいて、ショットの精度も高いから、40歳を目前にしてもツアー優勝を飾れるのだと思う。今の調子なら、まだまだ優勝を積み重ねることができるだろう。

 とはいえ、再び賞金女王になれるか、というと疑問。1シーズンというのは、相当な長丁場だからだ。それを乗り切るだけの体力と気力があるかどうか。もちろんチャンスはあるが、勢いのある日本の若手や実力のある外国勢はかなり強敵である。

■森田理香子(25歳)
賞金ランク20位(1733万8000円)
今季ツアー未勝利

1990年1月8日生まれ。京都府出身。
ツアー通算7勝。身長164cm。血液型AB。
【過去3年の成績】
2014年 優勝1回/賞金ランク16位(5696万6739円)
2013年 優勝4回/賞金ランク1位(1億2667万5049円)
2012年 優勝1回/賞金ランク7位(7635万4957円)

 森田理香子には、成田美寿々(22歳)や渡邉彩香(21歳)以上の期待を抱いていた。飛距離があって、技術も高く、賞金女王にもなって、豊富な経験を積んできたからだ。本来であれば、今頃世界のトップレベルで戦っていてもおかしくない存在だと思う。

 それが昨季、急に失速。問題は明らかにメンタルにある。ゴルフに対する気持ちが乗ってきていない。ゆえに、ショットも、ショートゲームも、いいときに比べて精彩を欠いている。決して技術が落ちているわけではないが、打ったボールに気持ちが乗っていないから、狙いどころから少しズレたり、ちょっと曲がったりしてしまう。それで、結果が出ない。才能があるのに、本当にもったいない。

 成田や渡邉に比べて経験がある分、できれば、森田には復活してほしい。そのためには、成田と同様、しっかりとした目標を定めることが大事。それは、やはり"世界"だと思う。世界のメジャーで勝つとか、米ツアーで賞金女王になるとか、それぐらい高い目標を持って、気持ちを前向きにしていってもらいたい。師匠の岡本綾子プロには、もっと森田のケツを叩いてほしいところ。

■原江里菜(27歳)
賞金ランク24位(1361万7000円)
今季ツアー未勝利

1987年11月7日生まれ。愛知県出身。
ツアー通算1勝。身長164cm。血液型B。
【過去3年の成績】
2014年 優勝0回/賞金ランク9位(7654万9619円)
2013年 優勝0回/賞金ランク32位(3359万4734円)
2012年 優勝0回/賞金ランク38位(2367万63円)

 名門・東北高校出身で、同級生の有村智恵(27歳)とともに、プロ入り後、すぐに結果を出した原江里菜。その実力の高さは誰もが認めるところだろう。ツアー経験も豊富で、男子プロと一緒にトレーニングするなど、身体能力の高さも女子プロの中ではピカイチの存在だ。

 だが、あと一歩突き抜けられない。日本人の有力選手の多くがそうであるように、彼女もまた、メンタル面に大きな問題を抱えている。そのため、ここ数年はいいところまでは行くけれども、優勝には手が届かない。

 彼女の場合は、いろいろなことを考え過ぎてしまっているように思う。あれもこれもやろうとし過ぎるというか、あらゆる面において完璧なことを求め過ぎている。それを打破するためには、繊細さばかりでなく、大胆さも備えなければいけない。あまり物事を突き詰めないで、無駄な情報をどんどん捨てていくことが大切だ。ちなみに、そういうのは、松山英樹がうまい。だから、世界でも結果を出せるのだ。

■アン・ソンジュ(27歳)
賞金ランク25位(1347万1833円)
今季ツアー未勝利

1987年8月31日生まれ。韓国出身。
ツアー通算18勝。身長160cm。血液型B。
【過去3年の成績】
2014年 優勝5回/賞金ランク1位(1億5307万5741円)
2013年 優勝2回/賞金ランク4位(9110万9680円)
2012年 優勝3回/賞金ランク4位(1億120万6438円)

 アン・ソンジュは「うまい」のひと言。技術的には申し分ない。日本ツアーで戦っている選手の中では、申ジエ(賞金ランク6位)と双璧だ。それほど高いレベルのプレイができるのは、やはり体幹がしっかりしているからこそ。おかげで、ほとんどブレることのないスイングが実現できている。

 2010年に日本ツアーに参戦してから、2010年、2011年、2014年と3度賞金女王にも輝いて、経験もある。そして、メンタルも強いが、ここ数年は負傷を抱えていて、存分にプレイができていない。

 今季もここまで、サントリーレディス(6月11日〜14日/兵庫県)を含めて、7試合に出場したのみ(うち1試合は途中棄権)。それでも、賞金ランク25位というのは立派。万全の状態であれば、間違いなく賞金女王の有力候補となるだろう。

■香妻琴乃(23歳)
賞金ランク65位(445万5333円)
今季ツアー未勝利

1992年4月17日生まれ。鹿児島県出身。
ツアー通算0勝。身長157cm。血液型A。
【過去3年の成績】
2014年 優勝0回/賞金ランク19位(4751万9825円)
2013年 優勝0回/賞金ランク112位(156万8000円)
2012年 優勝0回/賞金ランク62位(1038万833円)

 昨季、一躍ブレイクした香妻琴乃。正直、彼女がこれほどの活躍を見せるとは思わなかった。技術面はもちろんのこと、プロ意識という面においても、物足りなさを感じていたからだ。

 それでも昨季は、意識が少なからず向上したことがうかがえる。それが、結果につながったのかもしれないが、まだまだ足りない面は多い。ショットにしても、ショートゲームにしても、ケアレスミスが多い。メンタルにしても、ちょっとしたこと崩れてしまう弱さがある。

 全体的に厳しい採点になってしまったが、彼女はそれだけ、超えなければいけない"壁"がある。言い換えるならば、プレイヤーとして、もう一段階上の"ゾーン"に上がってこなければいけない。それができなければ、優勝もできないし、安定した結果を残すこともできないだろう。しかし、秘めたポテンシャルは高い。早々に"壁"を打ち破って、ツアーの中心選手として奮闘してくれることを期待したい。

【プロフィール】
三田村昌鳳(みたむら・しょうほう)
1949年2月24日生まれ。週刊アサヒゴルフを経て、1977年に編集プロダクション(株)S&Aプランニングを設立。ゴルフジャーナリストとして活躍し、青木功やジャンボ尾崎ら日本のトッププロを長年見続けてきた。初のマスターズ取材は1974年。(社)日本プロゴルフ協会会員外理事。

三田村昌鳳●解説 analysis by Mitamura Shoho text by Sportiva