右サイドでタメを作り、7本のシュートを放った本田だが、ゴールは遠かった。写真:サッカーダイジェスト

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 ワールドカップ・アジア2次予選でホームにシンガポールを迎えた日本代表は、まさかのスコアレスドローに終わった。予想どおりに相手が引いて守りを固めるなか、本田は右ウイングでプレー。身体を張って起点を作り、右SBの酒井宏やボランチ柴崎の攻撃参加を促したがゴールは遠かった。
 
 日本代表は少なくとも5つ以上の決定機を作っており、攻撃が機能していなかったわけではない。本田自身も、CKに合わせたヘッドや直接FKであわやという場面を作った。それでもゴールを決められなかったのは、なぜか。本田は、「ふたつの側面がある」と言う。
 
「自分たちも誰かが個人的に決めるとかしないといけなかったけど、簡単(に防げるよう)なシュートばかり打ったわけではなかった。それを向こうがしっかり抑えた。自分たちが悪かったのと、向こうの良かったのが重なった試合だったと思います」
 
 人数をかけて中央を固めるシンガポールの守備は集中力が高く、GKマフブトも当たっていた。試合終盤はカウンターの芽すら捨てて、10人で自陣ゴール前を固めている。勝点1を狙い、それを完遂したシンガポールを「祝福したい」(本田)というのも分かる話だ。
 
 ただ、引いた相手を崩し切れないのは、日本代表の積年の課題でもある。過去のワールドカップ予選でも、先日のアジアカップでも、ベタ引きの相手に常に苦労してきた。それは今回のシンガポール戦も同じだ。ハリルホジッチ監督の就任以降、縦に速いサッカーを志向していたが、シンガポールに裏のスペースを消されると、中央に人数が偏りがちな“いつもの日本”に戻っていた。
「相手も当然ながら対策を練ってきていたし、中央に人数をかけてセンタリングを上げさせても良いっていう戦術でした。実際にセンタリングは何本も上げたけど、結局そこで決められなかった。戦術自体は間違っていなかったと思いますけどね」
 
 本田はそう前置きしたうえで、打開策と課題についても言及した。
 
「相手はテンポを遅らせるために守備をしているので、テンポを早くはできない。そういう時は、あえてテンポを遅らせるとか、そういうタメが必要なんですけど、アップテンポのサッカーをしていた流れで、いきなりこういう状況に追い込まれたので臨機応変さが欠けていたのかなという反省はあります」
 
 確かに、本田自身は過去の3試合に比べると、相手を背負ってボールを持つ場面が多く、テンポを変えようとしている様子がうかがえた。問題は、そうした意識をチームとして共有できなかったことだろう。新体制発足からの3試合で、徹底的に縦に速い攻撃の意識を植えつけられた影響もあり、チームとしての「臨機応変」な対応が欠けていたのだ。
 
 新監督の就任からわずか3か月しか経っておらず、宇佐美や柴崎といった若手を加えたチームは、熟成度という意味で発展途上だ。とはいえ、今後のアジア予選でもシンガポールのような相手との対戦は増えるわけで、そこで求められるのは、やはり「臨機応変」さだろう。監督の要求に応えるだけでなく、ピッチの状況を判断して最適なプレーを選択する。シンガポール戦で示した本田のパフォーマンスは、チームにとってもヒントになるはずだ。