「Thinkstock」より

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 本連載前回記事では、世界一保険料が高額で、かつ保険金不払いも多い日本の生命保険の実態を解説しましたが、こうした歪んだ体質は、契約条項にも及んでいます。

 医療特約を付けたところで「脳卒中で倒れた場合、医師の診断後60日以上、言語障害などの後遺症が続かなければ保険金の支払いは対象外」といった不払い条項が約款に並んでいますから、いざという時にも安心できません。

 近頃は「先進医療保障は絶対に必要」などと謳い特約を付けるように迫りますが、がんに罹患した人で先進医療が必要になる人は1000人単位で1人いるかどうかの割合で、健康保険に入っている人である限り「高額療養費制度」によって、一定額の負担に抑えられる仕組みがあるのです。

 重粒子線治療や陽子線治療をすると1000万円単位のお金が必要などと、平気で嘘をいう専門家もいますが、どんなに高額でも200〜300万円で済んでいるのが実情です。これなら、自分でお金を貯めておいたほうがマシでしょう。

 ちなみに人間は簡単には死にません。参考までに保険会社も活用している厚労省の「生命表」における男性の年齢別死亡率をみておきましょう。

・30歳時:1.2% 
・40歳時:2.1%
・50歳時:4.0%
・60歳時:8.7%
・70歳時:19.1%

 子供が成人したと思われる60歳時点でも、91.3%の人が生きているのです。無駄な生命保険に年間41万円もかけるのは、愚かなことでしょう。その分を貯蓄に回し、少しでも分散させて複利で運用したほうが、老後もはるかに安心です。

 そもそも、一家の大黒柱がケガや病気で生活に支障を来した時には、国民年金や厚生年金(共済年金含む)からその程度に応じて障害年金が支給され、18歳未満の子がいればその分も加算されます。また、万一死亡した場合でも、厚生年金加入者ならば65歳から支給される厚生年金分の75%が、残された妻に遺族年金として支払われ、18歳未満の子がいればその加算もあります(国民年金加入のみの自営業の人は、子が18歳未満の場合のみ遺族基礎年金あり)。

 会社が従業員保険をかけていたなら、死亡退職金の支給だってあるでしょう。また、住宅ローン返済中に世帯主が亡くなったなら、残債はチャラになるので、残された家族はマイホームもプラスの遺産として相続できます。そしてそれを売却すれば、多額の現金収入にもなります。

 世帯主だからといって、家族のために自分の万一に備え、バカ高い保険に入る必要などないわけです。

●無駄な保険をやめて「共済」に加入

 それでも、どうしても保険がないと心配という人は、営利を目的としない「共済」に入ることをおすすめします。全労済やJA共済などのほか、都道府県民共済も39地域に広がっています。これなら掛け金は格安で、保障のコストパフォーマンスも十分ということになるでしょう。

 例えば、県民の3人に1人が加入している「さいたま県民共済」なら、月掛金2000円のコースで、事故や病気による入院で1日目から8000円、最大120日支給されます。さらに手術は1〜5万円、重度障害は400〜1000万円、病気死亡は400万円、事故死亡は1000万円が支給されます。

 保険の純保険料に相当する給付金と配当金は96.4%、コストにあたる付加保険料に相当する事業費はたったの3.96%です。不払い条項オンパレードの生命保険と比べ、共済は支払い条件もシンプルで、給付金は原則即日払いのスピードなのです。

 無駄な保険を解約し、貯蓄に励むことこそが、人生の道筋を確かなものにするはずです。
(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)