2015年シーズン、賞金女王は誰だ!?
女子プロゴルファー実力診断(1)

今季も、日本の若手、ベテラン、さらに外国人選手がしのぎを削って、白熱した戦いを見せている日本女子ツアー。試合ごとに勝者が異なるその熾烈な争いに、多くのファンが魅了されている。そんな、近年ますます注目度が増している女子ツアーだが、今、最も力がある選手は誰なのか。そして今季、賞金女王の座につく可能性のある選手は誰なのか。6月15日現在の賞金ランク10位以内の選手をはじめ、注目プレイヤーの実力を、選手の能力分析に長(た)けたゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏に検証・診断してもらった。まず今回は、賞金ランク1位〜5位までの選手を分析する。

※賞金ランク等、6月15日現在のもの。以下同。

■イ・ボミ(26歳)
賞金ランク1位(7755万6066円)
今季優勝1回:ほけんの窓口レディース(5月)

1988年8月21日生まれ。韓国出身。
ツアー通算9勝。身長158cm。血液型A
【過去3年の成績】
2014年 優勝3回/賞金ランク3位(1億1978万3686円)
2013年 優勝2回/賞金ランク7位(8083万7099円)
2012年 優勝3回/賞金ランク2位(1億867万9454円)

 今季も、アクサレディス(3月27日〜29日/宮崎県)から中京テレビ・ブリヂストンレディス(5月22日〜24日/愛知県)まで、出場8試合連続ベスト10フィニッシュを記録するなど、イ・ボミの最大の売りは安定感。好不調の波がなく、その点についてはツアー屈指の存在だ。

 ショットも安定していて、ショートゲームもうまい。まさに"オールラウンドプレイヤー"と言える。そのうえで、ゴルフ全体のトータルバランスが優れている。そこが、強さの秘密でもある。例えば、ひとつひとつのショットの精度が完璧でなくても、(その微妙なズレをそのあとのプレイで埋めることができて)、それらをうまくつないでいくゴルフできる。それが、相当うまい。

 そして、メンタル面の強さも際立っている。最後まで諦めないというか、常に優勝を狙う姿勢がある。だから、結果がついてくる。また、日本にすごく馴染んでいるのも大きい。多くのギャラリーを味方につけて、自分がプレイしやすい環境を作っている。今の勢いを考えても、賞金女王の最右翼のひとりであることは間違いない。

■テレサ・ルー(27歳)
賞金ランク2位(6006万6000円)
今季優勝2回:ダイキンオーキッドレディス(3月)、
リゾートトラストレディス(5月)

1987年10月13日生まれ。台湾出身。
ツアー通算6勝。身長164cm。血液型A
【過去3年の成績】
2014年 優勝3回/賞金ランク2位(1億2317万2186円)
2013年 優勝1回/賞金ランク3位(9479万3600円)
2012年 優勝0回/賞金ランク39位(2255万6688円)

 ツアーがまだ半分以上も残っているだけに断言はできないが、高いレベルで安定したプレイを披露し、さらに勢いと上昇度もあるテレサ・ルーが、最も賞金女王に近い存在ではないかと個人的には思っている。

 キャリアのある選手だが、数年前までは身体的な部分で課題があった。そのため、日本ツアーでもそれなりの結果は残せたものの、トーナメントで優勝するほどの力はなかった。それが、かつての世界女王アニカ・ソレンスタム(1990年代から2000年代に活躍。メジャー10勝。米ツアー賞金女王8回)と同じトレーニングを始めてから、一気に頭角を現した。

 トレーニングによって、最もしっかりしたのは、体幹。おかげで、急速にゴルフが進化した。飛距離が出るようになって、ショットの精度も高くなった。3日間、4日間のトーナメントを最後まで戦い抜く体力もついて、自ずと結果もついてきた。今季もはや2勝を挙げて、試合を"勝ち切る"力を持っているのも大きい。

■菊地絵理香(26歳)
賞金ランク3位(4743万8000円)
今季ツアー1勝:KKT杯バンテリンレディス(4月)

1988年7月12日生まれ。北海道出身。
ツアー通算1勝。身長157cm。血液型B。
【過去3年の成績】
2104年 優勝0回/賞金ランク23位(4078万2074円)
2013年 優勝0回/賞金ランク20位(4609万9811円)
2012年 優勝0回/賞金ランク43位(2094万9816円)

 KKT杯バンテリンレディス(4月17日〜19日/熊本県)で、悲願のツアー初優勝を遂げた菊地絵理香。飛距離のポイントは「3」としたが、「3.5」に近い。ツアーの中では、飛ぶほうの部類だ。その他、技術的にもバランスのとれた選手だと思う。

 ただし、菊地にはまだまだ課題がある。メンタル面と経験だ。これから上位争いをする機会をもっと増やして、その中で自滅しない力を身につけていくことが大切。そういう経験を乗り越えて、強靭なハートを築いていくことができれば、技術面の向上がさらに見込める。ショットの精度も、ショートゲームも格段によくなるのではないか。

 見習うべきは、イ・ボミ。彼女のように"つなぐゴルフ"ができるようになれば、もっと"強い選手"になれると思う。

■上田桃子(29歳)
賞金ランク4位(4453万666円)
今季ツアー未勝利

1986年6月15日生まれ。熊本県出身。
ツアー通算11勝(うち海外1勝)。身長161cm。血液型A。
【過去3年の成績】
2014年 優勝2回/賞金ランク10位(7431万5585円)
2013年 優勝0回/賞金ランク48位(1925万6000円)
2012年 優勝0回/賞金ランク80位(638万3200円)

 2007年に賞金女王となった上田桃子。2008年からは米女子ツアーを主戦場としてきたが、昨季からは再び日本ツアーに腰を据えて奮闘している。とはいえ、以前ほどの強さは感じられない。

 メンタルには「4」ポイントをつけたけれども、どちらかと言えば「3.5」に近くて、気持ちの面でもっと吹っ切れた感じが出てくれば、一段と強くなると思う。今は、ちょっとしたことで気分を害して、自分で自分のプレイをおかしくしてしまっている。ゲームの流れにしても、自ら壊してしまっていることが多い。その結果、ショットの精度も、ゲームマネジメントにしても、うまくいっていない。

 にわとりが先か、たまごが先か、という話になってしまうけど、再びショットの精度が上がってくれば、気持ちも前向きになってくる可能性はあるが、はたして......。

■成田美寿々(22歳)
賞金ランク5位(3996万6900円)
今季ツアー2勝:スタジオアリス女子(4月)、サントリーレディス(6月)

1992年10月8日生まれ。千葉県出身。
ツアー通算7勝。身長167cm。血液型O。
【過去3年の成績】
2014年 優勝3回/賞金ランク5位(9894万6893円)
2013年 優勝1回/賞金ランク21位(4596万2540円)
2012年 優勝1回/賞金ランク27位(3177万1558円)

 飛距離があって、スケールのデカさを感じる成田美寿々。賞金ランク10位の渡邉彩香(21歳)とともに、これから一層の飛躍を遂げてほしい選手だ。とりわけ、体ががっしりしている成田からは、"大化け"しそうな雰囲気が伝わってくる。

 そんなふうにひと皮むけるには、持ち前の飛距離をさらに生かせるプレイができるかどうか。今はまだショットの精度やショートゲームに課題があって、どうしても成績にムラがある。勝つときは凄まじい強さを見せるけれども、リズムをつかめないとズルズルと後退してしまう。好不調の波を小さくして、安定したプレイができるようになることが大切だ。

 それには、やはり経験が必要。それも、優勝争いとか、海外の試合に出場するとか、高いレベルでの経験だ。また、成田には高いモチベーションとなる目標を持ってほしい。もっと上に行くとか、海外メジャーで勝つとか、そういうハングリーさが出てくれば、ますます楽しみな存在になっていくと思う。

【プロフィール】
三田村昌鳳(みたむら・しょうほう)
1949年2月24日生まれ。週刊アサヒゴルフを経て、1977年に編集プロダクション(株)S&Aプランニングを設立。ゴルフジャーナリストとして活躍し、青木功やジャンボ尾崎ら日本のトッププロを長年見続けてきた。初のマスターズ取材は1974年。(社)日本プロゴルフ協会会員外理事。

三田村昌鳳●解説 analysis by Mitamura Shoho text by Sportiva