W杯予選で日本と対戦!シンガポール代表のどこよりも詳しい分析

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いよいよ明日、2018年ワールドカップに向けた予選の初陣を戦う我らが日本代表。

初戦の相手はシンガポールである。

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Posted by サッカー日本代表 on 2015年4月30日

イラクとの強化試合に4-0と圧勝したとは言え、やはり国際大会の予選は特別なもの。今回からワールドカップ予選はアジアカップの予選も兼ねており、間違ってもこの段階で敗退することは許されない。

そのためにも、対戦相手について知ることは重要である。サッカーの話題をあまり聞かないシンガポールだが、一体どのようなチームなのだろうか?

今回は、Qolyのアジア担当である編集部Kがシンガポール代表を解説する。

【シンガポール代表の注目選手まとめはこちらから】


シンガポールにおけるサッカーとは?

東南アジアの先進国として知られるシンガポール。

マレー半島の南端に位置する小さな島々で構成されており、人口は500万人強と言ったところ。観光地としても人気が高く、上半身がライオンで下半身が魚の像「マーライオン」は有名である。

一方、サッカーではあまり国際的に活躍したことはない。ワールドカップの予選を突破したことはなく、アジアカップでも1984年以降出場できていない。現在のFIFAランキングは154位(日本は52位)。

東南アジア地域の例に漏れず、人気があるのはイングランド・プレミアリーグだ。今季はアーセナル、エヴァートン、ストーク・シティが7月にツアーを行い、シンガポール選抜と試合を行うことが決まっている。

また、シンガポールの1部リーグである「Sリーグ」は2013年からJリーグとパートナーシップ契約を締結しており、そのSリーグにはアルビレックス新潟の下部組織である「アルビレックス新潟シンガポール」というチームが在籍している。

さらに、U-18シンガポール代表監督には大宮アルディージャU-12コーチを務めていた井上卓也氏が2015年から就任しており、サッカーにおいては日本とのつながりが比較的強い国だと言える。

そんなシンガポールだが、Jリーグが昨年新たに導入したシステムをかなり昔から使っている「先駆者」でもあるのだ。それが何だかご存じだろうか?

代表チームの強化にリーグが貢献

Jリーグでは、2014シーズンから新設されたJ3に「U-22選抜」というチームが参戦している。ユース代表の選手を集めてクラブチームとして戦うことで強化を進めるというシステムである。

シンガポールには「ヤング・ライオンズ」というクラブがある。

Posted by Young Lions on 2014年10月25日

これは2002年に創設されたもので、シンガポールのリーグに参戦している。このチームはサッカー協会直属のもので、U-23年代の選手が集められてプレーしているのだ。

そして2011年には「シンガポール・ライオンズXII」というクラブが設立され、マレーシアリーグに参加することになった。もちろん、これは「シンガポール人しか入れないチーム」で、現在の代表メンバーのおよそ半数がここに所属している。

必ずしもメンバーが共通しているわけではないが、代表強化のために存在しているクラブが2つあるのだ。

「代表をクラブチームのように強化していく」。そう、シンガポールはそれを早い段階から取り入れて運営してきた国の一つである。

東南アジアでの立場は?

では、そのシンガポールというチームの実績、そして東南アジアでの立場というのはどのようになっているのだろうか?

この地域では比較的強豪の一つであり、現在ではスズキカップと呼ばれている東南アジアサッカー選手権では4度の優勝、SEAゲームス(東南アジア競技大会)でも準優勝3回と結果を残している。

直近での最も大きな栄光と言えるのが、2012年のスズキカップ優勝。グループリーグでインドネシアに敗れたものの、準決勝でフィリピン、決勝でタイを破って頂点に立っている。

Posted by Football Association of Singapore on 2015年6月14日

【14日はNACK5スタジアムで練習を行ったシンガポール代表】

しかし、2013年に就任したドイツ人監督ベルント・シュタンゲ氏の下ではまだ目立った結果を出すことが出来ていない。

2015年アジアカップ予選ではシリアにホームで勝利するも、アウェイで4失点を喫して大敗し、最終的には6試合で17失点を喫して最下位。

地元開催の2014年スズキカップでは初戦でミャンマーに勝利したがマレーシア、タイに連敗し、グループリーグ敗退に終わってしまった。この際には、メディアから代表チームに対して大きな批判が巻き起こっている。

先日11日に行われたワールドカップ予選の第1節、カンボジアとの試合ではアウェイで0-4と大勝したが、相手との力関係を考えれば勝利は当然である。セットプレーを蹴ればほとんど味方が触るくらいだったのだから、相手の守備の弱さに助けられた結果である。

このところのシンガポールは、東南アジアで成長著しいタイとベトナム、安定しているマレーシア、外国人選手の引き入れで強化を進めるフィリピンから一歩遅れている立場にある。

なお、カンボジア代表の監督は日本サッカー協会から派遣されている小原一典氏が務めているが、攻撃面やパスワークに魅力を出している反面、守備にはまだ手を付けられていないようだ。

チームの性格と選手達

シンガポール代表の前線にはアラム・シャーやインドラ・サフダン・ダウードなど名選手がいたが、その中でひと味違う存在がアレクサンドル・ジュリッチであった。

ユーゴスラヴィア出身の長身ストライカーで、42歳まで代表チームの一員であり、そして44歳まで現役を続けた。圧倒的な空中戦の強さとテクニックを兼ね備えた特別な選手だった。

彼がチームを去ったことは大きな影響を与えた。東南アジア諸国の例に漏れず、シンガポールも決して体格に優れる選手は多くない。軽やかなドリブルを持つアタッカーは多いものの、空中戦や競り合いに強いと言える存在が乏しい。

以前はオプションとして大きな選択肢の一つとなっていたハイボールからの展開は使えなくなり、良くも悪くも典型的な東南アジアのチームという形になっている。

スズキカップ時には4-4-2を使っていたものの、先日のカンボジア戦では4-3-3を使用するなどシフトチェンジは行っているが、やはり前線のスピードを生かすプレーが特徴である。

その中心的な存在と言えるのが最前線を務めることが多いFWハイルル・アムリ。そして主に右サイドで起用される10番のファズルル・ナワズであろう。また、2トップや4-1-4-1の場合は共にシャリル・イシャクが起用されることも多い。

彼ら3名はスピードとドリブルを得意としている選手であり、現在のシンガポールの攻撃では生命線とも言える存在だ。

中盤で注目されているのはボランチのハリス・ハルンであるが、さらにこのところは本来センターバックのサフワン・バハルディンが一列上がって起用されている。オーストラリアでも活躍を見せた万能DFは、現在攻撃面での評価を高めている最中だ。

最終ラインの中心はダニエル・ベネット(同国代表128試合出場の最多記録を保持するイングランド生まれの選手)で、その後を継いだのがバイハッキ・ハイザンであった。190cmの長身でスピードもあり、非常に気性が荒い選手であった。

ただ先日のカンボジア戦では彼が起用されず、若きマドゥ・モハナが使われており、もしかしたら守備陣の高さという点でも減少傾向にあると言えるかもしれない。

ぶっちゃけ日本は勝てるのか?

前線の空中戦に強さはなく、スピードとテクニック重視の東南アジアのチーム。決して日本代表にとって戦いにくい相手ではないし、むしろ以前よりも戦いやすくなっているとも考えられる。

また、サフワン・バハルディンはともかく、ハリス・ハルンやイズディン・シャフィク・ヤコブなどの中盤のビルドアップも決してレベルが高いとは言えない。

最終ラインで起用されると思われるマドゥ・モハナのロングスロー、鋭い左足を持つシャイフル・エサーのキックなどに注意すれば、劣勢になることもないはずだ。

ただ、11年前のことを忘れてはいけない。

2004年のW杯予選でシンガポールに乗り込んだ日本代表は、終盤に辛うじて藤田俊哉のゴールで勝ち越し九死に一生を得た。

力関係から言えば日本代表が負ける相手ではない。ましてやここはホームである。さらに彼らは5日前にカンボジアで「本番」を戦ったばかりだ。コンディションでも優位に立っている。

しかし、大きな油断をすれば足下をすくわれるかもしれない。シンガポールというチームは、その可能性を除外することが出来るほど脆弱な存在ではない。

2018年ワールドカップアジア2次予選の日本対シンガポールの試合は、日本時間16日(月)午後7時30分キックオフ予定。全国テレビ朝日系列およびNHK BS1にて生中継予定。