日本の優位は揺らがないが、ハリルホジッチ監督は選手たちに100パーセントの準備を求めている。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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「皆さん、こんにちは。我々のワールドカップが明日から始まります。2次予選ですけども、大勢の日本国民が勝利を期待しているでしょう。そのほぼすべてが、我々のほうが強いという目で見ているでしょうし、勝利を逃せば大きな驚きになる。
 
 ただし、罠が仕掛けられているとも思っているんです。相手を過小評価してはいけません。この2日間、選手にたくさんのことを話しました。何人かの選手には『バカンスは考えるなよ』とか『最後まで集中して戦ってくれ』とも言っていますが、選手たちのことをとても信頼しているし、彼らは私のメッセージを完璧に理解してくれているはずです。
 
 だからこそ、イラク戦と同じように戦う意識と大きな野心を持って臨んでくれれば問題はないと信じています。多くのサポーターたちも一緒に戦ってくれるでしょうし、スペクタクルな良い試合にしたい。そして、日本の皆さんを喜ばせたいと思っています。
 
 しかし、まだ勝利は決まっていませんので、試合が始まるまで気を引き締めたい。私がチームのために考えたすべてのトレーニングを、選手たちは熱心に、丁寧にこなしてくれたので勝利を信じています」
 
――『罠が仕掛けられている』とはどういうことなのか。シンガポールは引いてくることも予想されますが、そのあたりを具体的に教えて下さい。
 
「罠というのは相手を過小評価してはいけないということです。つまり、集中力と一つひとつのプレーへのこだわりは欠かせません。相手との実力を考えれば、おそらくポゼッションで我々が上回って攻勢を仕掛けられるでしょうけど、守備も注意深く対応しなければならない。
 
 しかも、シンガポールは前線に足が速い選手が揃っています。カウンターアタックからチャンスを掴む可能性は十分考えられる。(11日に行なわれたワールドカップ・アジア2次予選で)彼らはカンボジアに4-0で勝ちました。(チームとして)ある程度クオリティがあるという証拠ですね。
 
 もしかしたら、我々のなかにバカンスのことを考えている選手がいるかもしれませんが、これはワールドカップ予選だということを忘れてはいけない。フィジカルもメンタルも100パーセントの準備がないといけないのです。そうでないと痛い目に遭うでしょう」
――選手とコミュニケーションを取りながら好印象を抱いているようですが、もっと自己判断、主張を出してほしいと感じることはありますか?
 
「皆さんがどう分析しているかは分かりませんが、ディフェンスやオフェンス面、さらにはフリーキックの場面でも多くの課題があります。イラク戦では開始5分のプレー内容が少し不満だったので、そういったスタートのところももう一度トレーニングしました。
 
 選手たちは私の言うことをしっかり目を見ながら非常によく聞いてくれます。私だけではなくてスタッフの話も。そして、丁寧に仕事をしてくれる。今のところ上手くいっていると思うので、このやり方を続けていきたい。
 
 さらにハイレベルになるには今後、細かいディテールを詰めていかなければならない。ここまで20回程度トレーニングをしてきました。テクニカルなミーティングや個人ミーティングも数えきれないほど行ない、個人的な意見交換もありましたし、11人、23人といったグループでのミーティングもありました。それをやりながらも、将来に関しては楽観的でいたいと思っています」
 
――イラク戦では縦に速いサッカーが体現できていた一方で、試合の途中で足が止まってしまう場面も多かったように思います。このサッカーで、高温多湿なアジア予選を戦い抜くつもりなのか、それとも別のオプションや試合のなかでもっと緩急をつけて戦うつもりでしょうか?