「簡単な試合は一つもない」守備重視を強調する長友…その心は

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 いよいよ始まるロシアW杯アジア2次予選。左サイドバックとして先発濃厚なDF長友佑都(インテル)は「W杯予選が始まるんだなという気持ち。これまでもW杯予選は経験してきたが、簡単な試合はなかった。難しい試合が始まるんだという思いでいる」と表情を引き締めた。

「みんなで守備をして、攻撃でもスピード感あふれる攻撃ができれば負けることはない。だから、僕としてはまずは守備。どんな相手にでも、みんなでしっかり守って、隙がないと思われるように、守備からしっかり入りたい」

 “守備の人”に徹することを繰り返すのは、現在行われているコパ・アメリカやEURO2016予選で番狂わせが相次いでいるからだ。

 コパ・アメリカではグループリーグでコロンビアがベネズエラに0-1で敗れ、アルゼンチンはパラグアイ戦で2点をリードしながら終了間際に追いつかれ、勝ち点2を失った。EURO2016予選でも強豪国が相次いで苦戦を強いられている。

「簡単な試合は一つもない。コパ・アメリカやEUROの予選でも格下と思われるチームが強豪に良い試合をしたり、勝利を手にしたりというのがある。僕は守備に集中して試合に入りたいと思う」

 今まさに起きている“ジャイキリ”。しかし、格下のシンガポールに対してここまで慎重な姿勢を貫こうとする理由はそれだけではない。ブラジルW杯で味わった惨敗の記憶が強く残っているからだ。

「ブラジルではみんなが死の物狂いで勝利を目指していた。コートジボワールとの試合もそうだし、ギリシャ、コロンビアの試合も相当堅かった。まずはみんなで守備をしてから攻撃に移るという気迫を感じて、W杯はそういう試合になるんだなとあらためて思った」

 守備への意識に重きを置けるのは攻撃陣に対しての信頼があるからでもある。「攻撃の選手は能力のある選手がたくさんいるので、任せる部分は任せてしっかり守備をしようという気持ち」と強調し、縦関係にあるFW宇佐美貴史については「宇佐美が勝手に全員抜いていくと思う」と笑顔を浮かべて言った。守備のリスクを負ってまで攻撃に参加する理由はないと考えているのだ。

 アギーレ前体制下で行われた1月のアジア杯。長友は「チームのためにどれだけ犠牲になって走れるか」という課題を自分に投げかけたものの、チームはベスト8で敗退し、不完全燃焼に終わった。アギーレ体制以上に守備に重きを置くハリルホジッチ監督に代わった今、ブラジルW杯以降、自問していることへの答えを見つけることが先決ということだろう。シンガポール戦で完璧な守備を披露する長友の姿に期待したい。

(取材・文 矢内由美子)


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