W杯予選が始まる高揚感を感じながら、冷静に振る舞う長友。アグレッシブに上下動しながらも、守備に重きを置くつもりだ。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 今年1月、アジアカップのUAE戦で右太腿を負傷した長友にとって、6月11日のイラク戦は日本代表での“復帰戦”だった。ハリルホジッチ監督の下でのデビュー戦ともなったその試合では、左SBとしてフル出場。相手の力量不足もあって守備での見せ場は少なく、攻撃参加もやや控えめだったが、隙のないプレーを披露していた。
 
 隙のないプレー。それは、長友の掲げる新たなテーマでもある。日本にとって足りないものを考え抜いた末に、SBとしての原点に立ち返ったと言ってもいい。
 
 日本はブラジル・ワールドカップで惨敗し、続くアジアカップでも早期敗退を喫した。では、なにが足りなかったのか。その答のひとつを、長友は次のように説明する。
 
「僕としては、まず堅い守備。どんな相手にもしっかり守って、隙がないなと思われるような。ワールドカップで戦ったコートジボワールもギリシャも、コロンビアもそうだけど、やっぱり相当堅い。まずはみんなで守備をしてから攻撃に移るという気迫が、すごく伝わって来たので。ワールドカップはそういう“堅い試合”になるなと改めて思った」
 
 まずは守備から――。そう何度も繰り返す長友は、2010年の南アフリカ大会でのプレーを思い起こしている。守備的な戦術を取るなかでタスクをこなし、献身的に上下動を繰り返した5年前。長友がイタリアへ移籍する直前の、ブレイクスルーを果たした大会でもある。
 
「2010年の時のように、チームのためにしっかり走って、まずは守備をして、そこから(試合に)入りたい。攻撃には本当に能力の高い選手がいるので、任せる部分は任せて、自分は守備をしようと思っています」
 
 それは例え、相手が格下と見られるシンガポールでも変わらない。「いよいよワールドカップ予選が始まる」という独特な高揚感を覚えると同時に、冷静にやるべきことを見つめている。
 
「簡単な試合はひとつもない。今、コパ・アメリカやユーロの予選も行なわれていますが、格下と思われる相手が強いチームに対して勝利を手にするケースもあるので。僕らも気を引き締めて、集中して、僕は守備から入りたいと思います」
 
 堅い試合をものにする、隙のない守備。長友の有言実行に期待だ。
 
取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)