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今回は「睡眠コンサルティング」を事業として行っている、ビオスピクシス株式会社におじゃまします。

睡眠を数値によって分析することで、健康維持のための基準として役立てることができるそうです。なんだか興味深いですね。

-今回、お話を聞くのは、ビオスピクシス株式会社代表取締役の仙波修さんです。本日はよろしくお願いいたします。

仙波さん:よろしくお願いいたします。

-さっそくですが、御社の睡眠の分析事業について、くわしく伺ってもよろしいですか?

はい。ビオスピクシスは2009年に設立されました。ビオスピクシスのコンセプトは、より健康的な生活を送れる指標を、多くの人の役に立つ形で提供するというものです。

-具体的にはどんな事業なのでしょうか?

仙波さん:企業の社員の睡眠状況のリサーチや分析、それに基づいたコンサルティングなどを行っています。ほかにも、睡眠改善セミナーを実施したり、睡眠を記録・管理するアプリケーションなどを開発しています。

-なるほど。睡眠状況の分析が求められる企業って、どのような企業なんでしょう?

需要が多いのは交通関係の企業ですね。たとえばタクシー会社や運送会社、バス会社など従業員が自動車を使用する企業が分かりやすいでしょう。運転中の眠気は事故に直結しますからね。企業として従業員の睡眠状況の把握と改善は死活問題です。

-確かにそうですね。

仙波さん:もちろん、交通関係の企業だけでなく、企業の姿勢として社員に質の良い睡眠をとってもらうことは本当に重要です。良い睡眠をとれているということは、健康のパラメーターとしてもっとも重要だと思っています。

-睡眠が足りないだけで、業務の質って落ちてしまいますよね。

仙波さん:睡眠は近年「新うつ」などの患者が増加しているメンタルヘルスにも深く関わってきますからね。

-良い睡眠をどのように分析するのでしょうか。

当社では睡眠計というもので、対象者の睡眠状態を計ります。

-睡眠計なんてあるんですか!

仙波さん:はい。ベッドの下に敷いて身体の動き・心拍数・呼吸などを計測して、眠りの深さや周期などを計ります。睡眠において大切なのは睡眠時間ではなく、睡眠の質なんです。質の良い睡眠がとれているかということが重要になってきます。

-睡眠は、深い眠りと浅い眠りを繰り返すと言いますよね。

仙波さん:その時間にも個人差や年齢差があるので、それぞれ個人の状態を計るうえでも、睡眠計での計測は重要です。たとえば、曜日によって眠りの深さが違う人もいるんです。翌日に仕事がある平日は眠りが浅いけれど、金曜日や土曜日の夜はぐっすり眠れている人とか。明らかに仕事への緊張感が睡眠に影響を及ぼしている例です。

-睡眠にも個人差があるんですね!

仙波さん:ヒアリングも重要です。過去に眠りが浅いのでコーヒーを飲むことをやめたという人がいましたが、コーヒーの変わりにウーロン茶を飲んでいました。ウーロン茶にもカフェインが入っているので、これではカフェインを抜いたことにはなりませんよね。お酒を飲むと眠りが浅くなりますし、日々の生活パターンも併せて分析しておくといいわけです。

-そして、集めた分析結果を相手に提示するときに数字を使うのですね?

仙波さん:そのとおりです。数字というのは、採集したデータを、相手に伝えたい情報として提示するときにとても役に立ちます。眠れなくて悩んでいる人は、なぜ眠れないのかわからなくて不安です。その不安を取り除くためには、なぜ眠れないのかの「なぜ」の部分を数字で解き明かしてあげなくてはなりません。

-いろいろな原因があるんですよね。

仙波さん:そうですね。高級マットレスを使ってよく眠れるようになる人も確かにいますが、眠れない理由がベッドの環境ではない場合も多くあります。パソコンやスマートフォンのブルーライトはスムーズな入眠を妨げますし、深部体温が高いと身体が入眠の状態になりにくいので、寝る直前の熱いお風呂なども好ましくありません。

-そうなんですか!

仙波さん:個人のストレス耐性に起因する場合もあります。会社でストレスを受けても、ストレス耐性の高い人なら処理できるし、逆の場合はストレスが蓄積して不眠につながったりします。また、よく知られているように睡眠は浅い眠りと深い眠りの周期が大切です。浅い眠りと深い眠りを繰り返すことで、質の良い眠りになるわけです。眠れないからといって睡眠薬を日常的に使ってしまうと記憶の取捨や定着に大きな役割を果たすREM睡眠が少なくなり、忘れっぽくなることもあります。

-さまざまな原因が考えられるんですね。

仙波さん:はい。数字とグラフを使って睡眠の現状を知ることで、さまざまな原因を分析することができます。そうすることで、眠れない要因を取り除いていくという解決に向かうことができます。また、小さな変化も数字にすることできちんと見えてきますよね。自分の身体のことを漠然と感じるよりも、数字で示された方が皆さん納得されるわけです。

-身体の具合は個人の感覚で語られがちですが、きちんと数字にすることで健康維持がしやすくなるんですね。ところで、仙波さんは数学はお好きだったのでしょうか。

仙波さん:はい。とくに微分積分や数列などが好きでしたよ。昔から、数学は冷たいものではないと思っていました。数学はものごとのいろいろなプロセスを示すことができますよね。それって、自分の考え方を数字という記号に置き換えて、共有できるようにしているということじゃないですか。数学がもっている、とても温かい機能だと思います。

-仙波さんのような考え方を、もっと一般の人に広めていきたいですね。

仙波さん:日本人の5人に1人が、睡眠に関して何らかの問題を自分自身で感じています。インターネットなどでは、睡眠のためにやるべきことなどがまとまっていたりしますが、まずはそれぞれ個人のもつ睡眠傾向を分析して、改善していくという基本が大切です。

-それを示すための数学というわけですね。

仙波さん:僕は幸せな国の指標とは、良い睡眠がとれる国だと思っています。数字の力で良い睡眠ができるお手伝いができればいいですね。

-仙波さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

人が生きていくうえで必ず必要となる睡眠ですが、睡眠の満足度はなかなか自分ではわかりません。しかし、数字による指標で、より的確な睡眠改善を提案できるようになるわけですね。

良い眠りは幸せの指標という仙波さんの言葉が心に残りました。1人でも多くの人に良い眠りをとどける、そのために数学が役に立ってくれるとうれしいです。

○今回のインタビュイー

仙波修(せんばおさむ)
ビオスピクシス株式会社代表取締役
1961年栃木県出身
明治大学法学部法律学科卒業後、パイオニア株式会社入社。宣伝部、マーケティング部などを経てブランドマネージャーを務める。2009年パイオニアを退社、同年10月にビオスピクシスを創業
心理カウンセラー、睡眠改善インストラクター

ビオスピクシス株式会社

このテキストは、(公財)日本数学検定協会の運営する数学検定ファンサイトの「数学探偵が行く!」のコンテンツを再編集したものです。

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