噛まれたらヤクザ化!バカ話から生まれた“ありえない映画”を三池監督が激白
「あってもなくてもいいんだけど、どちらかというとないほうがいいような映画を作りたいなと(笑)。なんで生まれたの? これ、誰に観せようとしているの? ってね(笑)」。なんとも大胆な発言をするのは、毎年、数多くの作品を世に送り出し続ける、現在54歳にして超パワフルな三池崇史監督。

 今回、監督が放つのは噛まれたら最後、みんなヤクザになってしまうというトンデモアイデア炸裂の本格アクション『極道大戦争』です。正直、好き嫌いはあるかもしれませんが、筆者にはどストライク。監督が嬉々として撮っている姿が見えるような作品に仕上がっております。そんなわけで、監督を直撃しました!

⇒【YouTube】映画『極道大戦争』予告篇 http://youtu.be/5YXPObqkgew

◆馬鹿話で終わると思ったら、プロデューサーの目がマジだった

――そもそも本作が生まれた経緯は?

⇒【画像】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=283262

監督:たまにロボットレストランに行くんですよ。あの意味のない熱狂みたいなものが好きでね。年末にも行って、その後の飲みの席で「なんかやろうよ」って話になった。「噛まれるとヤクザになったりしたら大変だよね」って言い出した人がいて。そりゃ、大変だって(笑)。でも大変ってことは、何か話になるのかもなと。それで、その場にいた僕の助監督を何作もやってくれた山口義高(『猫侍』の監督)が、「じゃ、書いてきます」って、正月明けにプロットを作ってきたんです(笑)。

――お酒の席で生まれたと。

監督:その中に日活のプロデューサーもいてね。てっきり馬鹿話として終わるものだと思ってたら、プロデューサーの目がどうも本気なんですよ。こっちは、マジか!? って(笑)。イマドキありえない生まれ方をしてるから、出来上がった映画もイマドキありえない作品になった(笑)。いまはプロとして映画を作る幅が狭められてるからね。それをちょっと広げたかったというのはあるね。キャストもそれに乗ってくれる人が集まってくれた。

――ヤクザヴァンパイア道を主人公に託す組長の、リリー・フランキーさんの暴れっぷりに、冒頭からビックリしました。

監督:暴れるどころか、「俺、作品の中で走ったことない」って言ってましたよ(笑)。

◆この映画は市原隼人のあの表情のためにあると言ってもいい

――主演の市原隼人さんのキレッキレのアクションにも驚きました。

監督:市原隼人はもともと動けるんですよ。今回は『ザ・レイド』の狂犬として知られるインドネシアのヤヤン・ルヒアンが敵。あの野獣のような動きに付いていけるのは、若手の中で市原隼人くらいだと思いますよ。

――本作の市原さんは、本当にステキでした。

監督:かっこいいですよね。まっすぐな感じで。でも本人もああいうヤツですよ。

――そのまっすぐさゆえに、笑えるところもかなりあるという。

監督:そうそう。そういうヤツです(笑)。それにしても最後の殴り合いの市原隼人の表情はいい。理屈では片づけられない、悲しみと喜びに満ちている。あの表情を撮るために、台本も、この映画も存在していると言ってしまってもいいくらい。

――市原さんとアクションを繰り広げるヤヤン・ルヒアンさんですが、オタクファッションで登場します。監督のアイデアだとか。

監督:黙ってるとそれっぽいでしょ(笑)。だから、シャツは中に入れましょうとか、紙袋を持って、リュックを背負ってって(笑)。オリジナル脚本だから、キャラクターのひとりひとりを明確に作っていく必要がある。だから絵コンテマンと一緒にキャラクターをビジュアル化していったんです。KAERUくんのビフォア、アフターとかね(笑)。そういう作業の中で、ヤヤンのキャラクターも生まれたんです。

――本当にキャラクターが濃い作品なので、ついキャストについて聞きたくなってしまうのですが、高島礼子さんが脚本の段階では男性だったという若頭を演じています。高島さんも、これまでにない表情を見せていて衝撃でした。

監督:売れている人になればなるほど、ずっとみんなの思っている自分を演じなければならないのだろうかという葛藤があるわけです。そんな中で、誰かに破壊されたい、もしくは自分で破壊したくなるときがある。売れるってことは不自由なんですよ。一生懸命やればやるほど、狭まっていく。それを、だってこういう役なんだから仕方ないよねといって、高島さんが呆けた表情で耳から変な液体をピューっと出す。自由度があっていいでしょ。また彼女がこういう役をやるかどうかは分からないけどね(笑)。

――ところで、話は変わりますが、監督は以前ひこにゃんがお好きだとおっしゃっていました。

監督:うん。握手したことあるよ。

――本作のKAERUくんもお気に入りですか?

監督:もちろん! チープな感じもいいでしょ(笑)。彼が最強の殺し屋ですからね。そんな映画がTOHOシネマズ新宿でかかっちゃう。もはや事件ですよ(笑)。

<PHOTO,TEXT/望月ふみ>

『極道大戦争』は6月20日(土)よりTOHOシネマズ新宿ほかにて全国公開
配給:日活(C)2015「極道大戦争」製作委員会
オフィシャルサイト http://www.gokudo-movie.com/