為替相場をめぐる最大のイシューはアメリカの利上げだろう。果たしていつになる可能性が高いのか。為替のスペシャリストで酒匂・エフエックス・アドバイザリー有限会社代表の酒匂隆雄氏が解説する。

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 米国では2015年1−3月期のGDP統計や、3月の雇用統計などの経済指標が事前の予想を下回り、米国の景気回復スピードの減速が鮮明となった。そのため、米連邦準備理事会(FRB)による利上げの時期が後にずれ、当面、日米金利差に大きな変化はないとの見方が為替市場に広がっている。
 
 従来、利上げの時期について、FRBは米連邦公開市場委員会(FOMC)などで、最短で「6月」と表明していた。この6月利上げシナリオを織り込む形で、3月に米ドル/円は1ドル=122円を付けたのだが、米国景気の減速が明らかになるにつれてドルの上値は重くなっていった。その後、前述のように重要指標が下振れた結果、6月利上げの可能性が急低下し、ドル高が一服した格好だ。

 5月の時点では、米利上げに関する為替市場のメインシナリオは「9月以降」だろう。これから発表される4−6月期および7−9月期の経済指標を確認してから、ということになるわけだが、予断は許されない。雇用関連指標は、多少の波はあるものの、雇用および所得の拡大基調を示している。問題はインフレ率だ。

 FRBのインフレ率の目標は「2%」。しかし、指標となる個人消費支出価格指数(食品・エネルギーを除くコア指数)は、ほぼ3年にわたって2%を下回っている。4月末に発表された3月分の数字は前年比1.3%と、3か月連続で低下した。

 デフレ・リスクに対して、依然として警戒心を持っているFRBとしては、2大政策目標の内の1つがこうした状況にあっては、おいそれと利上げに踏み切るわけにはいかないはず。1、2か月程度、2%を上回る月があったとしても、即座に利上げするとは考えにくい。利上げは「早くても9月」と想定しておく方が無難だろう。

※マネーポスト2015年夏号