投資信託の純資産総額ランキングの上位は、ETF(上場投資信託)を除けば毎月分配型投資信託が独占しています。その投資対象は海外REIT(不動産投資信託)、ハイ・イールド債券(高利回り社債)、高配当株など多種多様です。

 毎月分配型投資信託では、投資対象の資産から得られる収益だけで1万口当たり200円や250円などの高額の分配金を賄うことは難しいため、プラスアルファの戦略を行うことで分配金を支払ってきたのが実情です。現在ではポピュラーになってきた「通貨選択型」や「カバードコール戦略」などがそれに当たります。まず最初に、簡単に通貨選択型、カバードコール戦略について触れておきましょう。

 「通貨選択型」とは、株式や債券などへの投資に加えて、為替取引の対象となる円以外の通貨を選択できるように設計された投資信託です。通貨選択型にすることにより、(1)投資対象資産の配当収入や値上がり益、(2)為替取引による金利差相当分の利益、(3)円と取引対象通貨の差益という3つが利益の源泉となることで、高い分配金を実現しています。3つの利益の源泉(メリット)があるということは、裏を返せば投資対象資産の値下がり、為替取引による金利差相当分の支払い、円と取引対象通貨の差損という3つの損失(デメリット)の源泉もあることになります。

 「カバードコール戦略」とは、ある特定の資産を保有して、その資産のコール・オプション(買う権利)の売りを行う戦略です。この戦略を行うことで原資産の値上がり益は限定されるものの、原資産の配当収入に加えてオプションのプレミアム収入が期待でき、高分配を実現しています。ただし、コール・オプションの売りを行っていることから、原資産価格が大きく上昇し権利を行使された場合は、権利行使を履行する義務を負うことになります。つまり、大きな値上がり益は得られなくなるのです。このように通貨選択型よりも仕組みが複雑なため、運用される投資信託の数は通貨選択型ほど増えていないようです。

毎月の分配金が200円以上の投資信託の中身とは?

 次表は2014年12月時点で純資産総額上位100本の中から、2015年5月決算期に1万口当たり200円以上の高い分配金を支払っていた投資信託です。高分配=○○円という定義があるわけではありませんが、200円以上の分配金を支払っている投資信託は少ないことから、200円で線引しています。ちなみに図中の投資信託は1本をのぞいてすべてプラスアルファの戦略をからめた投資信託です。

◆毎月の分配金が200円以上の主な高分配の毎月分配型投資信託
ファンド名 (運用会社) 毎月の分配金
1 野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(通貨選択型)
米ドルコース(毎月分配型)(野村アセットマネジメント)
250円
2 日本厳選株ファンド・ブラジルレアルコース
(大和住銀投信投資顧問)
250円
3 野村グローバル高配当株プレミアム(通貨選択型)
通貨セレクトコース(毎月分配型)(野村アセットマネジメント)
200円
4 三菱UFJ欧州ハイイールド債券ファンドユーロ円プレミアム
(毎月分配型)(三菱UFJ投信)
200円
5 アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド
(豪ドルコース)(アムンディ・ジャパン)
200円
6 アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド
(トルコリラコース)(アムンディ・ジャパン)
200円
7 野村テンプルトン・トータル・リターンDコース
野村アセットマネジメント
200円
※2014年12月末現在、純資産総額上位100本の中から1万口当たり200円以上の商品

 まず、1万口あたり250円の分配金を支払っているファンドは2本。

 1つが「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投資信託(通貨選択型)米ドルコース(毎月分配型)」(野村アセットマネジメント)です。世界各国のインフラ関連企業に投資されるのに加え、5つの通貨選択コースがあります。組入銘柄の平均配当利回りはたかくないため、分配金の原資は為替差益や値上がり益が中心のようです。投資資金の流入が急増したことから、昨年12月下旬より販売停止となっています。

 もう1つが「日本株厳選ファンド・ブラジルレアルコース」(大和住銀投資信託投資顧問)です。割安と判断される魅力的な銘柄に厳選して投資されるファンドですが、分配金の原資は株式の値上がり益、為替取引による金利差、為替差益が中心となっています。同ファンドは、昨年6月、10月に分配金を引き上げていることから、日本株を投資対象とするファンドの中では純資金流入額がトップクラスです。

 以下はすべて1万口あたり200円の分配金を支払っているファンドです。

 「野村グローバル高配当株プレミアム(通貨選択型)通貨セレクトコース」(野村アセットマネジメント)は、カバードコール戦略と通貨選択を併用したファンドです。世界の高配当株を投資対象としていますが、世界の高配当株のカバードコール戦略を行い、かつ通貨選択型としています。通貨セレクトコースは、メキシコペソ、ブラジルレアル、トルコリラ、南アフリカランド、豪ドルをミックスしてものですから、一般の投資家が内容を理解しているのか心配になります。同ファンドは、2015年4月に分配金を40円減額しています。

 「三菱UFJ欧州ハイイールド債券ファンド ユーロ円プレミアム(毎月分配型)」(三菱UFJ投資信託)は、欧州のハイイールド債券(高利回り社債)を投資対象とし、円に対するユーロのカバード・コール戦略を行い高い分配金を実現しています。

 「アムンディ・欧州ハイ・イールド債券(豪ドルコース)、(トルコリラコース)」(アムンディ・ジャパン)は、欧州のハイイールド債券を投資対象とし、為替取引で豪ドル、ブラジルレアルの取引を行っています。2015年3月に豪ドルコースは30円、トルコリラコースは50円分配金が減額されています。

 「野村テンプルトン・トータル・リターンDコース」(野村アセットマネジメント)は、唯一のプレーンタイプの投資信託。新興国を含む世界各国の国債や社債などを投資対象としています。

*用語説明【プレーンタイプ】
投資対象からの収益のみで分配金を支払額を賄っている毎月分配型投資信託のこと。高い分配金を支払う毎月分配型投資信託は、純然たる投資以外に為替やオプションなどを絡めて分配金の支払いを捻出しているが、その分商品内容が複雑になるため、投資家にはわかりにくい。

これから注目のプレーンタイプ高分配型投資信託

 また、投資対象資産だけ(プレーンタイプ)で1万口当たり200円の分配金を支払っている投資信託をもう1本ご紹介しておきましょう。「DIAMオーストラリアリートオープン」(DIAMアセットマネジメント)がそれです。

 純資産総額は600億円強と1000億円に手が届いていませんが、個人投資家が好きな豪ドルで、分配金は右肩上がりで増額が行われ、昨年12月時点の分配金は180円だったものの(そのため上記の表には入っていません)、2015年2月からは1万口当たり200円が支払われています。

 投資対象のREITからの配当収入と売却益が分配金の中心原資となっていますが、他の高分配型ファンドと比較する仕組みが簡素でわかりやすいことが投資家の支持を受けそうです。野村テンプルトン・トータル・リターンDコース共々、高分配のプレーンタイプが通貨選択型やカバードコール戦略型に迫るのか注目したいところです。

*編集部注……「DIAMオーストラリアリートオープン」はSBI証券で購入することができます。

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