中国は国土も広いが、人口の多さも大変なもの。当然ながら競争心が強くなり、“品薄”“不足”といった言葉に敏感に反応してしまうという。湖北省のある都市で今、塩が深刻な在庫不足に陥っているもようだ。

中国のメディア『網易』が報じたところによれば、湖北省の西部にある宜昌市ではどの店でも塩が売り切れ状態で、ここ1週間というもの人々が半ばパニック状態に陥っているという。塩の価格が高騰して今に入手困難になるといった怪情報が出回ったことから人々が買い占めに走り、あっという間にどの店からも姿を消してしまったそうだ。

すでに塩が品切れとなってしまったある大手スーパーマーケットのスタッフは、「朝8時の開店と同時に高齢のお客さんが飛び込んで来て、塩をたくさん買って行くということが数日間続いていました」と語っている。一方で国の事業として塩の生産にあたっている中国塩業股フン有限公司(China National Salt Industry Co., Ltd)の湖北省支部は、「十分な在庫がある。新しく市場に高価な塩が出回り始め、そうしたデマが生まれたのではないか」と説明。また住民にこれ以上の不安を抱かせないようにとの思いから、いくつかのスーパーマーケットは「毎日、塩については定量販売にする」と発表した。

とはいえ、それで引き下がらないのが常に何でも取り合いの競争を強いられてきた中国の人々の群集心理である。いまだに戦々恐々とした表情で塩を買い求めにやってくる人がいることから、多くの店で品切れ状態が続いているそうだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)