「うっかり転んでしまって膝小僧や手足に擦り傷や切り傷ができて血が出てきた」「包丁で指を切ってしまった」そんなときに傷の処置はどんな風にしますか? これまでの常識では、水で洗って消毒液で除菌、薬を塗って絆創膏やガーゼを貼るのが普通でした。ところが最近の治療法では消毒や絆創膏は使わない「湿潤療法」が行われています。けがをしたときの処置について説明します。

消毒液や絆創膏はなぜ傷口によくないの?

消毒液は傷口の汚れに含まれる雑菌を消毒して取り除くので、一見良いように思われます。しかし最近は消毒をしないほうがよいと言われます。なぜかというと皮膚にマイナスに働く菌を除去するばかりでなく、皮膚を治癒する菌までも排除してしまうからです。また、皮膚には雑菌が1兆個も存在するので少しばかり菌を取り除いても意味がないと言われています。傷口についた土などの汚れは水道水で洗い流すだけで十分です。

傷はどうやって治るの?

傷口から出血すると血を止めるためにまず血液中の血小板が働き始めます。次に白血球が傷によって死んでしまった組織や細菌を取り除き、繊維芽細胞(コラーゲンを作り出す細胞)が裂傷をくっつけます。そして最後に表皮細胞が傷口を塞ぐのです。傷口から透明の液が出てきますが、この液が傷口を覆って保湿しながら傷を治していきます。絆創膏やガーゼを貼るとこの液が吸い取られて傷口が乾き、せっかくできかけた皮膚(かさぶた)がくっついて剥がれてしまいます。そこでかさぶたを作らない状態で皮膚を再生させる「湿潤療法」が最近では推奨されるようになりました。

薬局やドラッグストアにはこの治療法ができる絆創膏が販売されているので、切り傷ができたときには使うとよいでしょう。ただし、ちょっと高めなので、もっと安く手軽に済ませるには傷口にワセリンを塗ってラップを巻いておくという方法も可能です。一方、刺し傷や裂傷、やけどなどは皮膚の奥に雑菌が入り込むことがありますので、適切な処置を病院で受けるのが良いでしょう。


writer:松尾真佐代