父の日に読みたい、父と娘の関係を描いた本をブックコンシェルジュがセレクト

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6月の第三日曜日、今月21日は父の日。でも母の日に比べてついついおざなりになりがちな人も多いみたい。今年は“父と娘”をテーマにした本を読んで、改めてお父さんのことを考えてみては? そこで、書籍と文具を取り揃えた「MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店」の文芸担当・岩渕さんに、父と娘をテーマにした本を教えてもらった。心温まるエピソード満載の本を読んだ後は、お父さんに連絡したくなるかも。◆父親のことを考えたくなる、往復書簡


梨園の親子であり、舞台人でもある松本幸四郎と松たか子。幼少期の思い出や仕事に対する思い、連載中に迎えた娘の結婚を巡る言葉…。2年間、交わした手紙の中で、父は若き日を語り、娘は両親への思いや疑問をぶつける。素直な胸の内を綴った24通の手紙のやりとりをまとめた1冊。

「幸四郎さんの手紙からは、娘に対する父親の愛情が伝わってきますし、松さんの手紙からは、歌舞伎役者として、また舞台人としての仕事を全うする父親を尊敬している様子が手紙を通じてよく伝わってきて、身につまされる思いがします。こんな父と娘の関係って素敵ですよね。特に親元から離れているなら、父親のことを考えたくなると思います」

『父と娘の往復書簡』松本幸四郎・松たか子著/文春文庫/596円

◆娘に対する男親の本音を知りたいなら!


文豪・獅子文六が作家としても人間としても激動の時間を過ごした昭和初期から戦後、愛娘の成長とともに、自身の半生を描いた自伝小説。

「前妻であるフランス人の奥さんとの間に出来た子供・麻里が結婚するまでの赤裸々な気持ちを綴った私小説です。ご自身でも述べていますが、利己主義ゆえに他人の気持ちがまったくわからないお父さんなんです。もちろん娘の気持ちなんてもってのほか。理不尽な父親だと感じたりもしますが、我が子を思いやる気持ちは伝わってきます。不器用に生きる父親を理解できるようになるかも知れません」

『娘と私』獅子文六著/ちくま文庫/1512円

◆父親に感謝したくなるエッセイ集


宴会帰りの父の赤い顔、母に威張り散らす父の高声、朝の食卓で父が広げた新聞…。明治生まれの父を中心に繰り広げられる古き良き昭和の中流家庭の姿を、ユーモアを交えて鮮やかに綴った、全24篇のエッセイ。

「家では威張っているけど、外に出れば、周りに気を遣ってへりくだっている父の姿。そうやって私たちを育ててくれたんだと著者が涙するシーンは、誰もが共感するのではないでしょうか? 自分たちが大きくなれたのは、父親のおかげだと感じられるはず。素晴らしい描写のせいか、まるで自分ことを言い当てられたような気分にもなれる。父が娘に宛てたお詫び状の話もほろりとさせられます」

『父の詫び状』向田邦子著/文春文庫/572円