全長380mでガラス床、世界遺産に架ける橋

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中国湖南省で10月にオープン予定の「張家界玻璃橋」は、全長380mと、世界でいちばん長いガラスの歩行者専用橋になる。地上約400mの高さに浮かんだその橋は、ほとんど雲の一部のようだ。

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中国湖南省の「長家界国家森林公園」にある、全長約370mの峡谷にかける橋を設計してほしいと依頼されたとき、イスラエルの建築家ハイム・ドウタンは、即答できっぱりと断わった。

ドウタンには、橋をつくる気などなかった。長家界国家森林公園は、険しい峰が連なるカルスト地形と豊かな植生で有名な場所で、世界遺産でもある。まるで映画『アバター』のワンシーンのような風景だが、それもそのはず、湖南省の北西に位置するこのエリアは、『アバター』に出てくる「ハレルヤ・マウンテン」のモデルとなった場所なのだ。ドウタンは、そうした風景に橋をかけるのは冒涜だと考えていた。

しかし、開発業者のねばりに根負けしたドウタンはついに折れた。「そのときにこう言ったのです。『橋をつくることは引き受けるが、ひとつだけ条件がある。わたしは橋を消したいんだ』ってね」と彼は振り返る。

7月に完成、10月に正式オープン予定のこの「張家界玻璃橋」(Zhangjiajie Grand Canyon Glass Bridge)は、全長380mと、世界でいちばん長いガラスの歩行者専用橋となる。地上約400mの高さに浮かんでいるように見え、ほとんど雲の一部のようだ。

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橋の幅は約6m。開発グループが企画している橋上のファッションショーを行うのにも十分な広さだ。中央のデッキでは、障害物に遮られない眺めを楽しめるだけでなく、スリルを求める人たちのためにバンジー・ジャンプ用のスペースも用意されるという。

厚さ5cmの強化ガラスの真下にある白い支持梁は、もともとは幅約3mだったが、ドウタンはそれに満足しなかった。その幅では橋を「消す」ことにならないからだ。そこで橋を建設したエンジニアたちは、3年以上におよぶ苦労の末に、その梁の幅を約0.6mにまで縮小。見た目こそ優美だが、風速45m以上の突風にも耐えられる、とドウタンは言う。

「彼らはこの橋のことを、翼のように薄く、ツバメのように軽いと言っていましたよ」と彼は笑う。「エンジニアが橋をそんなふうに表現するなんて、想像できなかったでしょう」


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