リズムを掴んだ前半は、柴崎(写真)、長谷部ともに好プレーを披露。しかし、ブロックを作って守った後半は、「取りどころをなかなか上手く定められなかった」(長谷部)。 写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 4-0で大勝したイラク戦は、相手との力の差や日本でのホームゲームだったことを差し引かなければ正しい評価はできない。アジアカップ後に監督交代したイラクは組織が未完成で、特に守備の局面でチームの意思統一が図れていなかった。あの状況であれば、日本の持ち味であるパスワークは出せて当然。そうした点を踏まえつつ、ここではイラク戦で見えた収穫と課題をエリア別に検証していく。
 
【エリア別検証/ボランチ】
 イラク戦でなにより印象的だったのが、2ボランチのバランスだ。主に柴崎が高い位置で攻撃に絡み、その後方に長谷部が控えていた。このふたりの位置関係が良く、CBも含めたビルドアップは至ってスムーズで、柴崎や長谷部がフリーで前を向く機会が多かった。
 
 なかでも、「(香川)真司くんとも良い距離感でやれた」と言う柴崎は、トップ下の香川や前線の3枚と上手く連係しながら攻撃に厚みを加えていた。開始5分の本田の先制点だけでなく、前半だけで3つの決定機に絡んだこのボランチは、「攻撃のスイッチを入れるパスは重要ですし、前半は序盤のほうで流れが良いうちにそういった部分は出せたかなと思います」と手応えを得た様子だ。
 
 もっとも、流れが良かったのは「相手のプレッシャーが甘く、こう言うとあれだが楽にプレーできた」(長谷部)という前半で、後半の出来にはやや不満も残る。
 
「試合を通して言えばすごくポジティブなゲームでしたが、突き詰めていけば課題も多く出たかなと思います。特にブロックを作るところで取りどころをなかなか上手く定められなかったかなと。相手がロングボールを蹴ってきたのもありますが、もう少し相手をサイドに追いやって取れれば良かったかと思います」(長谷部)
 
 柴崎の運動量が落ちてきた後半に存在感を増した長谷部は、ブロックを作った際の守備が課題だと語り、さらに続けた。
 
「ボールを取ってからワンタッチ、ツータッチで、考えすぎずにとにかく裏を狙ってというのは監督がしつこく言っている。それをみんながやろうとしているし、逆にそれを意識しすぎて(展開が)早くなりすぎているところもあるので、試合のなかで落ち着かせるところも大事かなと思います」
 
 立ち上がりから精力的にプレスをかけ、攻守の切り替えも早かった日本は、後半になると全体の運動量が落ちた。6人交代の親善試合だったために次々と選手を投入して破綻を防いでいたが、3人交代のワールドカップ予選で同じことはできない。長谷部も言うとおり、スタミナの消耗を抑えながら、試合をコントロールする戦い方もレパートリーに加えるべきだろう。
【エリア別検証/3トップ+トップ下】
 これもイラクの守備が緩慢だった点は差し引くべきだが、前線の4枚のコンビネーションは上手く機能していた。ボランチから「スイッチの縦パス」(柴崎)が入ると香川や本田がワンタッチでパスを交換し、狭いスペースを抜けていく。岡崎のポストワークも安定感があり、自らターンしてチャンスを拡大するシーンもあった。また、宇佐美のドリブル突破から岡崎がゴールを上げるなど、個々のイマジネーションによる即興が、高いレベルで融合していた。
 
 唯一、気になったのが香川のプレー内容だ。岡崎、本田がゴールを挙げ、宇佐美がキレのあるドリブル突破でアシストするなか、このトップ下が放ったシュートは1本のみ。本人も自分の出来には満足していなかった。
 
「(相手の)ボランチがマンマークで付いていたので、自分が動くことでスペースが空きますし、そういうことは意識しました。そこ(宇佐美がボールを持っている時にゴール前に入っていく)の質であったり、バリエーションを増やしていきたい。ただ、もうちょっと回す時間があってもいい。(自分自身の)シュート数も足りないし、ゴール前にもっと入っていくのが自分の課題」