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ここ数年のマラソン、そして自転車ブームの影響で、じわじわと競技人口が増えているという究極の持久系スポーツ、トライアスロン。これから挑戦してみようという初心者に向け、国内唯一のトライアスロン専門誌「Triathlon LUMINA」を編集する村山友宏さんが5つの心得を教えてくれた。

○その1:練習は「組み合わせ」が重要!

2003年、オリンピック・ディスタンス※でトライアスロンデビューしたという村山さん。日常的にジョギングをし、バイクも学生時代にツーリングをしていた彼にとって、最大の難関は水泳だった。

「水泳は一番練習しましたね。足もつかない海の中で1500mも泳ぐのって、想像するだけで怖いじゃないですか。その不安をなくすために、海で長距離を泳ぐことを前提としたプールでのトレーニングセッションに通いました。プールだけだと心配という人は、湘南や千葉の海でもオープンウォータースイムセッションをやっています」

精神的な壁を払拭するためには練習あるのみ。だが限られた時間の中で、3種目をまんべんなく練習するというのは、なかなか難しいところだ。

「全ての種目に対して最大限の練習はできないですが、そこがトライアスロンという複合スポーツの面白いところ。“練習をどう組み合わせるか”が大事なんですね。例えばランニングで心肺トレーニングをある程度して、水泳は技術を磨くのに時間をかけようとか。これはプロの選手含めていろんなアプローチの仕方を試行錯誤しており、戦略がものを言う―その奥深さこそがトライアスロンの魅力なんです」

○その2:装備には、レンタルをかしこく使え

地道な練習と効果的な組み合わせで精神的な壁を払拭した初心者を、さらなる壁が待ち受ける。それはズバリ、費用の問題。3つの種目があるということは、その分、必要なグッズや機材をそろえるのに3倍のお金がかかるということになるが……。

「一番お金がかかるのは、やっぱり自転車。今は10数万円出せばレースでも十分使えるロードバイクを買うことができます。とは言え、初心者がいきなり10数万円というのはなかなか厳しいものがありますし、その他の備品と合わせると20万円はいきますからね。でも自転車の場合は『トライアスロンを辞めたとしても、通勤・通学や趣味としても使う!』と割り切れば、多少ハードルが低く感じるかもしれません」

だが趣味として割り切れないのが、水泳用のウェットスーツだ。国内のトライアスロン大会では着用が義務となっていることが多いが、安いものでも2、3万円するという。

「挑戦してみたいけど、続くか心配な人にはウェットスーツのレンタルをオススメします。先ほど話したオープンウォータースイミングセッションでもスーツを貸してくれますし、我々のLUMINAのセミナーやイベントでも2〜3,000円でレンタルしています」

最後にランニングに必要なグッズについては、LUMINAでもトライアスロン専用のウェアを作っている。「トライウェアは1着で水泳、バイク、ランすべてに対応できるよう設計されています。ただ、デビューということであれば、普通のTシャツと短パンでも問題ありません。シューズも普段ジョギングで使っているようなランニングシューズで大丈夫だと思います」。

○その3:初心者向けの大会で感触をつかめ

練習も機材も準備万端!となったら、次はいよいよ大会へのエントリーだ。国内だけでも120を超えるトライアスロンの大会があるが、中でもビギナー向けということで村山さんが3つの大会をオススメしてくれた。

■ホノルルトライアスロン

ハワイのアラモアナビーチパークで毎年5月に開催される大会。オリンピック・ディスタンスはもちろん、初チャレンジの方向けのスプリント・ディスタンス※からコースが選べる。「トライアスロンが世界的に広がるきっかけとなった『アイアンマン』は、ハワイのオアフ島で海兵隊員らが始めたという逸話があるんです。気候的にも気持ちがいいですし、坂もなく、平坦なコースなので、初心者にぴったりです」

■木更津トライアスロン

海があり、都心からのアクセスもいい千葉県は、館山や九十九里、手賀沼など、トライアスロンの大会が多い。中でも村山さんがオススメするのが、LUMINA主催の木更津トライアスロンだ。 「会場は木更津市の陸上自衛隊木更津駐屯地で、普通はなかなか入れない滑走路を走ることができます。バイク、ランコースも完全に平坦で、高低差はたった2僉0汰敢罵ダ茲龍サ傘娠弔如▲咼ナーに安心していただけるようなオペレーションにしています」

■国営昭和記念公園トライアスロン大会

東京・立川の国営昭和記念公園内レインボープールと園内特設コースで行われるスプリント・ディスタンスの大会。初心者でも気軽に参加できるデビュー・レースの定番だ。「水泳は、流れるプールの流れを止めて行います。ウェットスーツも要らないですし、デビュー・レースの前に不安を解消しておきたい人や、トライアスロンの感触をつかみたい人にオススメの大会です」

○その4:補給食にも気を配るべし

トライアスロン初心者が意外と見落としがちなのが、トレーニングやレースでの補給食。そもそも“運動中に何かを食べる”という発想がなかった人もいるのでは? だが何も食べずに長時間運動していると、ハンガーノック状態※になり、非常に危険! ではどんな補給食を選べばいいのか。

「まずカロリーゼロの食べ物はダメです。エネルギーが切れてしまうと、走れないですから。チョコレートや菓子パンのようなものを食べる人もいますが、一瞬元気にはなるものの、またすぐお腹がすいてしまう。しっかりエネルギーを摂取できて、かつ体内にゆっくり吸収できる補給食がオススメです」

そんな村山さんが選んだのは井村屋の「スポーツようかん プラス」。「元々サイクリストの間では、コンビニで売られている普通の一口ようかんが人気でした。『スポーツようかん プラス』はそれをアスリート向けに改良したもの。パラチノースを使っているので急激に血糖値が上がらず、ゆっくり消化吸収できるのが最大のメリットで、トライアスロンのような持久力が大事なスポーツには最適です。量もちょうどいいですし、運動中にさっと片手で中身を取り出せるので、ビギナーはもちろん、ベテランも持っていて間違いないアイテムです」

○その5:旅先でも運動! レース以外の時間も有効に使おう

「ランニングだけだと飽きてしまうけど、その点、トライアスロンは3種目の魅力をそれぞれかじれるのが面白い」と語る村山さん。トライアスロンに触れたことで、それまでのライフスタイルにも変化が出てきたようだ。

「トライアスロンって、ライフスタイルスポーツの極みであり、自然との触れ合いとの入口でもあると思っていて。トライアスロンの練習で培った基礎体力をベースに、そこから派生してカヤックやトレイルランニングをやったりと、いろんな市民スポーツを楽しめるんですよね。1年間暇になることはないし、1年どころか、うまく付き合えば一生かけても楽しみが絶えることはないような気がします」

なるほど。トライアスロンの醍醐味は、余暇の選択肢が増えるということか。さらにトライアスロンにはこんな側面もあるようだ。

「今、経営者でトライアスロンを楽しまれている方が多いんです。というのも、先ほど話したように、練習は限られた時間の中での“組み合わせ”が大事。つまりタイムマネジメントなんですよね。だから彼らは忙しい中で、練習時間を含めた自分の生活をどうマネジメントするか?というゲームにも楽しみを見出している。そうやって頭を使うのが、経営に似通う部分もあるんでしょうね」

生活が健康的になるだけでなく、人生をも豊かにしてくれるトライアスロン。あなたも始めてみてはいかがだろうか?

※ オリンピック・ディスタンス……スイム1,500m、バイク40km、ラン10km
※ スプリント・ディスタンス……スイム750m、バイク20km、ラン5km
※ ハンガーノック……長時間にわたるスポーツ(マラソン、トライアスロン、登山、長距離サイクリングなど)をすることで、体内の糖の貯蓄が枯渇し、動けなくなること。燃料切れのガス欠状態

(平井万里子)