小野賢章がストイックに歌と向き合う理由「カッコ悪い自分は誰にも見せたくない」
役者、声優、そして歌手として、多方面で活躍している小野賢章。2014年の夏に行われたファーストライブの模様がこのたび映像化! ボルテージ最高潮のライブ映像と、プライベートに迫ったドキュメンタリーDVDの見どころを伺ううちに、ストイックながらも少年のようなあどけない一面を持つ素顔が見えてきた。

撮影/藤沢大祐 ヘア&メーク/大坪真人 
取材・文/渡邉千智(スタジオ・ハードデラックス)


自分の人生を振り返るライブにしたかった



――DVDの映像はご覧になりましたか?

ドキュメンタリー映像のほうは見ました。ライブのリハーサルや、MV撮影の密着映像などが収録されているんですが、僕自身の記憶がこうして記録に残るのはすごく嬉しいです。見るたびに思い出がよみがえってきますね。

――ライブ映像のほうはご覧になってないんですか?

はい、恥ずかしくて(笑)。ライブってテンションがすごく高まっているじゃないですか。そんな自分の姿を、普段の僕のテンションで見る勇気はなくて…。

――確かに、舞台上で「ヤバイ!」「楽しい!」を連呼してました(笑)。

ですよね(笑)。6月20日と25日に完成披露上映会があるんですけど、そのときにファンの方と一緒に見ようと思っています。ファンの方には僕の新鮮な反応が楽しんでもらえると思います(笑)。

――ライブはおよそ1年前に行われたものですね。

正直、あまり覚えていないんです。もちろん楽しかったんですが、初めてのワンマンライブだったので緊張していて。練習したことだけは鮮明に覚えてるんですけど。

――DVDにも、入念に練習を重ねる姿が映っていました。

いろいろお仕事をさせていただいていますけど、僕の中で一番不安なのが歌なんです。経験がまだ少ないので、練習をたくさんしてから本番に臨まないとっていう。

――なるほど。曲のセットリストは小野さんが決めたんですか?

スタッフと相談して一緒に決めました。起承転結をつけたライブにしたいなと思っていたので、曲と曲のつながりは意識しました。始まりで盛り上がって、ちょっと落ち着いて…というようにメリハリを持たせたりとか。

――しっとり聴かせるところもあれば、ガンガン盛り上がるところもあるという。

そうですね。あと、僕が今まで歩んできた人生がちょっとでも垣間見えるようなライブにしたいなという思いもありました。

――小野さんの人生が垣間見える、とは?

高校生の頃、軽音部でバンドを組んでいて、僕はボーカル&ギターを担当していて。高校時代にやっていたことが今につながっていることを表現したかったから、当時バンドで演奏していた曲を、実際にギターを弾きながら歌ったんです。



――そうだったんですね! 個人的には、楽しげなMCも印象的でした。

MCに台本はなかったんですけど、ある程度話すことは決めていました。あっ、でも声優の小野友樹さんにMCをダメ出しされたんですよ(笑)。

――なんて言われたんですか?

「ちょっと言ってることがよくわからなかった」って(笑)。僕がMCで、「こうやってライブできたのは、過去に頑張った自分のおかげです!」みたいなことを言っていたらしくて。自分では、応援してくれるファンのみなさんのおかげですって言ってるつもりだったんですが…。

――なぜか、その部分をすっ飛ばしてしまったと。

はい、「僕のおかげだ!」って宣言するかたちに(笑)。確かに、そのときファンのみなさんの顔が一瞬「ん?」ってなったので、どうしたのかなとは思っていたんですが、(小野)友樹さんに言われるまで気付きませんでした。

――かなり緊張されていたんですね(笑)。

ファンの方の応援があって自分が支えられているんだなと、いつも感じていますし、本当に感謝の気持ちでいっぱいなんです。だから今回のことは反省しています。

――でも、そういうお客さんのリアルな反応をダイレクトに感じられるのはライブならではですよね。

そうですね。反省点もありますが、一番に楽しかったです。だって、僕が「水」って言っただけでみなさん笑ってくれるんですよ!(笑)

――ライブ中に、小野さんの名前を叫ぶ男性の野太い声も聞こえてましたが…。

それは僕も驚きました(笑)。でも、男性の方にも僕の歌を聞いてもらえるのは嬉しいですね。

――またライブやりたいですか?

絶対やりたいです! でも、ちょっと期間が空きすぎちゃったので、また練習するところから始めようと思います。