トップ下で先発した香川。チャンスには絡んだが、ゴールはまたもお預けに。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ハリルホジッチ体制3試合目となるイラク戦も、トップ下には「背番号10」の姿があった。得点を挙げた本田圭佑や岡崎慎司、先制点を演出した柴崎岳の前では霞んでしまいがちだが、この日の香川の動きには、迷いがなかったように思う。

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 イラクは前半、香川に対してボランチの1枚をマンツーマンで付けてきた。そこで、「自分が動くことでスペースが空くので、そこ(スペースを作ること)は意識していた」と話す。
 
 左ウイングの宇佐美貴史が縦への突破から中央に切れ込むシーンが多く見られたが、宇佐美は「(香川)真司くんとは特になにも言わなくても、(パスを)欲しい場所、(パスを)出してくれる場所はだいたい分かるので、間違いなく合わせられると思っていた」と振り返れば、香川も「共通意識が高まっている」と手応えを語る。岡崎を含めた3トップ+トップ下の連係がさらに高まれば……との期待を抱かせるのに、十分なパフォーマンスだったのは間違いない。
 
「チーム全体、特に前線の3人に前への意識がすごくある。自分は(宇佐美や本田がボールを持っている時に)ゴール前に入っていく質であったり、バリエーションを増やしていきたい」
 
 9分には「練習してきた」というCKのキッカーを務め、チーム2点目となる槙野智章のゴールを演出。ほかにも、上下動を繰り返してスペースを作りながら、ボールを引き出しては前線の攻撃につなげた。精力的なチェイシングも相まって、前半の走行距離はチーム1位だった。
 
 ただし、自分がノーゴールに終わった点に話が及ぶと、「シュート数が(1本では)足りないし、ゴールを取れないことに関してはもちろん悔しい。ゴール前にもっと入って行くのが課題」と反省の弁が続いた。シュートは53分に放った1本のみで、それもGKの正面を突いたのだから無理はない。
 一方、ハリルホジッチ監督がベンチ入りしたFW陣全員を起用したなかで、途中出場でトップ下に入った原口元気がいきなりゴールを決めた。「元気も点を取りましたし、そういう選手がどんどん出て結果を残すことがチームにとっては大事」と話す香川だったが、心中穏やかではないことは容易に想像がつく。
 
「毎試合、点が取れないと悔しい。次(シンガポール戦)が本番なので、もう一度気を引き締めて臨みたい」
 
 香川はシンガポール戦に関して、前半で先制できれば試合はスムーズに進むはずと予想している。明言こそしなかったが、少なからずその得点は自分が、というイメージを膨らませているはずだ。アジアカップ・グループリーグのヨルダン戦以来のゴールを追い求めて、背番号10は自身3度目のワールドカップ予選に挑む。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)