ドリブルで敵陣を切り裂き、岡崎のゴールをお膳立てした32分のシーン。的確なコース取りと状況判断が光った。 写真:田中研治

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 堂々としていた――。
 
 A代表では自身初のスタメンでも、まるでそれが当たり前かのような存在感を醸し出し、序盤から質の高いプレーを見せていた。

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 最初の見せ場は7分。槙野智章からの鋭い縦パスを受けると、カットインからシュートを放つ。その6分後には相手ゴール前でこぼれ球を拾うと、迷いなく強烈なミドルを打ち込み、相手GKを慌てさせている。
 
 そして32分、中盤でボールを受けると、一気にギアを上げて力強いドリブルをスタート。相手DFを引き付けながら、フリーの岡崎慎司に正確なパスを通し、チーム3点目をアシストした。
 
「もうひとつグッと入って、GKと1対1になれるぐらいのところまでは行けたと思う。1対1になって岡ちゃんに出すか、あのタイミングで出すかは悩んだけど、どっちにしても、しっかりフィニッシュまで行けたし、ああいうプレーを見せられれば、武器になると思う」
 
 コンマ何秒の判断が求められる局面で、慌てずに状況を把握し、最適なプレーを選択して、ゴールへとつなげてみせた。そうした冷静さはもちろん、ボールを足もとに収めた時の縦への力強さは、この試合でも随所に見られた。
 
 その一方で、味方を活かすようなオフ・ザ・ボールの動き出しも効果的だったが、宇佐美自身がまず考えるのは、自らがパスを受けることだと言う。
 
「ここに走ったら、ここに(スペースが)空くかな、というよりは、まずは自分が受けるために動いて、あとは出し手に任せるという感じですね。(自分が)フェイクになるなら、それでも全然いい」
 
 いずれにせよ、背番号11の躍動感が、日本の攻撃に勢いと幅をもたらしていたのは間違いなかった。周囲とのコンビネーションに関しても、「ボールを引き出したりとか、良い連係も出せていたんじゃないかな」と手応えを語る。
 
 66分に途中交代するまで、その活躍ぶりは際立つものだった。本田圭佑や香川真司、岡崎慎司といった代表の常連組と比べても遜色ないパフォーマンスで完勝に大きく貢献した。
 
 また、攻撃だけに注力するのではなく、「守備からスタートするのは言われていましたし、自分のところでしっかりハメられるというか、足を引っ張らないように」と、守備面でもサボらず、精力的なプレーを見せていた。
 
 ワールドカップ・アジア2次予選のシンガポール戦に向けては、「今日はアシストができた。次は、まずは出番をもらえるように努力して、ゴールが取れれば」と意気込む。来るべき“本番”でゴールという結果を示せれば、A代表における自身の居場所はさらに盤石なものとなるだろう。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)