なぜアップルは世界で最も愛されたフォントを捨てたのか

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20年以上の歴史のなかで、アップルが初めて開発したオリジナルフォント「San Francisco」。もともとはApple Watch用にデザインされたこの新たなフォントが、iOS9以降のアップルのスタンダードとなる。

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2/5San FranciscoはApple Watch用にデザインされたものだ。

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3/5Helvetica Neueよりも太いが、読みやすい。

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4/5スクリーンの大きさによって、フォントも変わるようになっている。

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5/5太さもさまざま。

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iOS9から、Helvetica Neueに代わってSan Franciscoが用いられる。

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San FranciscoはApple Watch用にデザインされたものだ。

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Helvetica Neueよりも太いが、読みやすい。

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スクリーンの大きさによって、フォントも変わるようになっている。

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太さもさまざま。

世界で最も愛されたタイプフェイスがお払い箱になった。

今秋、2年間に及ぶフォントについての試行錯誤を経て、Apple製品(OS X El CapitanとiOS9)の既定フォントとして、現在使われている「Helvetica Neue」がオリジナルフォント「San Francisco」に取って代わられることとなった。

San Franciscoはこの20年以上の間に、クパチーノでデザインされた初の社内タイプフェイスだ。この小綺麗でコンパクトな形状と繊細な丸み、ゆったりとした文字間隔をもつタイプフェイスは、Apple Watchで最も読みやすいようにデザインされたものである。

しかし、アップルが今年のWWDCで新しいOSや音楽配信サーヴィスについて告げるなか、彼らはもうひとつの新事実をこっそりともち込んだ。その事実とは、San Franciscoが時計の小さい画面だけでなく、携帯電話やデスクトップに適するようにもデザインされていたということだ。

アップルがこのことについて明言することはなかったが、手がかりはいたるところにあった。参加者に配られたジャケットには白いSan Franciscoの文字で「WWDC2015」と刺繍されていた。聴衆の前の巨大な画面に浮かび上がったスクリーンには、新しいOSに実装されたSan Franciscoが表示されていた。Twitter上では、熱狂的なアップルユーザーたちがSan FranciscoかHelvetica Neueか、その賛否を論じていた。

「タイポグラフィーに関してアップルは、本当に、本当に遅れている」とドイツ人書体デザイナー、エリック・スピーカーマンは言う。グーグルは独自フォント「Roboto」を2011年に発表し、スピーカーマンも数年前にMozilla用に「Fira Sans」を開発している。

また書体デザイナーでプログラマーのタル・レミングも、San Franciscoは完璧ではないと言う。彼はSan Franciscoの数字のいくつかに難癖をつけており、例えば「6」の上部は垂れ下がり過ぎているため「8」と見間違う可能性があるという。しかしこういったことは大目に見てもいい、と彼は続ける。アップルはあまりにも多くの領域を手がけているため、このような些細なことはいちいち気にしないのだ。「一般的にデザインということになれば」とレミングは言う。「アップルには独自の宇宙があります」

わずかな変化の大きな挑戦

アップルはこれまで、既製フォントに依存してきた。同社は2000年から2004年のOSXで「Lucida Grande」を使用。2年前にiOS7を始める際、アップルはタイプフェイスを「Helvetica Neue Light」に更新すると発表したが、その選択は世界中のデザイナーから酷評された。それは小さな低解像度のモバイル画面には細過ぎ、小さ過ぎたからだ。アップルは最終的に内容の充実した「Helvetica Neue」を選んでNeue Lightを捨てた。それから2年後のいま、アップルはフォントを再度更新しようとしているのだ。

HelveticaとSan Franciscoの違いは、専門家から見てもわずかであるが、あるにはある。まずSan Franciscoは、Helvetica Neueより太字で親しみがある。ドイツ語タイプフェイスDINを基に作られたSan Franciscoには、文字に十分なスペースがあり比較的小さなモバイル画面でも読みやすくなる。縦に長く細いSan Franciscoは、グーグルのオリジナルフォントRobotoと同じく空間効率がいい。

狭い画面用にタイプフェイスをデザインすることは、簡単ではない。どれくらい大文字の「I」(アイ)と小文字の「l」(エル)を見間違えやすいかを考えてみるといい。アップルのヒューマン・インターフェースリーダーのアラン・ダイへのインタビューで、タイプフェイスがいかにして時計の小さな画面に最適化されたかについて説明があった。

「タイプフェイスは少し角ばっていながら、なだらかに湾曲した角をもつという結果になりました」とダイは語る。「同時にとても凝縮しています。また長い縦軸をもち、これによって小文字が縦長になり読みやすくなりました」。そしてタイプフェイスは動的に、つまり画面サイズに応じて対応するように設計されている。

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San Franciscoを使うことは、デザイン主導の企業にとっては決して大胆な選択とはいえないかもしれない。しかし小さな画面用のフォントを作成する際には、多様性は明瞭性より後回しになるものだ。結局フォントというのは、ユーザーインターフェイスそのものだ。書体デザイナーのトビアス・フレア=ジョーンズが説明するように、タイピングは単純にOKかキャンセルかといった選択から個人情報を入力するまで、さまざまなインタラクションの場面に浸透しているのである。

そのため、フォントを変えるということは安易に考えられるべきではない。「変わったフォントを目にすることは、動揺を生み、方向感覚を失わせます。まるで家に帰ってきたら壁の色が変わってるようなものです」とフレア=ジョーンズは語る。「なので、アップルがHelvetica導入後、これほどすぐにまたタイプフェイスを変えることは残念です」

しかし彼は、アップルが常に新しい可能性を探って腰を落ち着けないでいることを評価するとも語る。「アップルがHelveticaを完全に置き換えて、かつ優れたインターフェイスを保つことができたらわたしは称賛します。デザインは、タイプフェイスだけでは決まらないのですから」

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