超肥満〜やや肥満で中年期を過ごすと、認知症リスクが低下する可能性がある、という研究結果が英国から報告された。

 認知症の発症予防は世界的なテーマ。各国で原因遺伝子の探索から「認知症になりにくい生活習慣」の模索まで、あらゆる方法論が検討されている。

 先日、英国から過体重や肥満の人は、適正な体重の人より15年後の認知症発症率が29%低いという追跡調査の結果が報告された。

 調査は40歳以上の英国の成人(平均年齢55歳)、約200万人について、過去20年分の医療記録をさかのぼって解析した。

 体重と認知症発症との関連を調べたところ、BMI(体格指数)20未満の「痩せ」の人は、適正体重の人より認知症発症率が34%も高いことが判明した。

 逆に、中高年時のBMIが高くなるにつれて認知症リスクが減り、BMI40以上の「超肥満」の人ですら、認知症発症率が29%低かったのだ。この傾向は、体重以外の認知症発症リスクを除いて解析しても変わらなかった。

 研究者は「予想外の結果」と驚きながらも、「肥満と認知症予防との関連で生物学的な説明がつけば、新しい治療法へ結びつく」としている。解析対象の人数が多いだけに軽視することはできず、専門家の間でも議論中だ。

 日本人はどうだろう。もともと肥満には弱い民族だ。極度の肥満は逆に認知症リスクの2型糖尿病につながりかねない。やはりBMI22〜25の「標準〜やや太め」近辺が安全ではある。

 肥満の恩恵のかわりといっては何だが、手足と頭脳を同時に動かし、他者との交流を楽しむと、認知症予防になるとの報告もある。

 米メイヨークリニックの調査では、中高年期からアートなどの趣味を楽しんでいる人は、軽度認知障害の発症リスクが73%低下。同じく日曜大工や模型作りをしたり、社会活動に参加していた人は、リスクが半減したという。

 極度の肥満は論外だが、中高年以降は活動的で社交的な「やや太め」を目指すと、認知機能をあまり損なうことなく健康寿命を延ばせそうである。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)