前日練習の紅白戦で本田や香川らと同じチームでプレー。スタメン出場へ期待は高まる。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ハリルホジッチ監督の宇佐美に対する期待値はかなり高い。6月シリーズの全選手についてコメントしたメンバー発表会見に続き、イラク戦前日にも個人名を出して言及した。
 
「国内組でミニ合宿を張り、何人かの選手にプログラムを渡しました。宇佐美も(そのプログラムを)しっかり理解してくれて満足しています。彼は能力がありつつ、努力もした選手です」
 
 2回の会見で個人名を出されたのは、怪我人を除けば宇佐美だけ。それだけ彼のポテンシャルを高く買っているのだろう。
 
 実際に、イラク戦ではスタメンに抜擢されそうな気配だ。「ワールドカップは明日始まると思っている」(ハリルホジッチ監督)と真剣勝負を匂わせた前日の紅白戦では、本田や香川らとともにビブスなし組でプレー。紅白戦のメンバーがそのまま先発するわけではないものの、宇佐美本人も準備万端だと力強く語っている。
 
「明日はどうなるか分かりませんが、スタートから出られたら序盤から自分らしいプレーができるようにしたい。自分にしかできないプレーができれば間違いなく良いプレーはできると思うし、自分の良さを自分で消さないようにっていうところだけ気にしながらやりたいと思います」
 
 特長を出せれば、代表でもやっていける――。そう自信を持って言えるのは、前回の代表戦やJリーグで結果を出したからだろう。3月31日のウズベキスタン戦で代表初ゴールを挙げ、Jリーグでは10ゴールで得点ランクトップタイ。得点を奪うことに関しては、誰にも負けない自負がある。
 
「引き出す動きは大事ですけど、作りの部分にはあまり参加せずに良い意味で待っていればボールは出てくると思います。パス回しに参加する部分は意識したいけど、勝負できる場所でしっかり待つこと。良いパスのテンポが逆サイドでできたなかで、こっちで仕留めるイメージを持っています。

 まずは裏とは言われているので、そういう意識を常に持っていますが、裏があるから逆に表も活きたりすると思う。その使い分けは上手くしたいと思います」
 もちろん、守備面での貢献や「引き出す動き」も疎かにはできない。

 ただ、持ち味である得点力を活かすために、ある程度ビルドアップは後ろの選手に任せ、ゴールを狙える位置で勝負する。「出た時にインパクトを残せばスタメンにつながるし、代表に不可欠な存在になれると思っていた」という3月シリーズ同様、ゴールで存在感を示すつもりだ。
 
 そうしたこだわりとは無関係だが、宇佐美が選んだ背番号は「11」。長く日本代表を牽引した三浦知良(現・横浜FC)がつけていたナンバーだ。
 
「それしか空いてなかったんですよ。3がいいかなと思ったけど、それはやりすぎかなと。11はガンバでもつけたことがある番号なので愛着があったし、枠が決まっていなければ39とか33とかつけたいなと思ったんですけど、それもできないということで。余っているなかでは11かなと」
 
 本人は意識していないものの、観る側の感覚は違う。日本代表の「11」と言えば、間違いなくエースナンバー。宇佐美自身が大きなポテンシャルを秘めた素材なだけに、なおさら期待は高まる。
 
「やっぱり出番をもらったら結果を出さないと代表に呼ばれ続けることはできないと思いますし、出ればチームに得点をもたらすプレーを心がけてやりたい」
 
 Jリーグ、代表とあらゆる試合で結果を残す宇佐美が、満を持して挑む6月シリーズの2試合――。23歳の新鋭アタッカーが、日本代表での新たな11番像を作り上げる第一歩になるのかもしれない。

取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェスト編集部)