<strong>岡三オンライン証券<br>伊藤嘉洋</strong>さん(71)<br>東京都出身。1962年に岡三証券に入社し、株式の売買注文を仲介する“場立ち”から始める。90年に株式部長に就任し、講演会講師や相場解説も務める。その後、岡三投資顧問、岡三アセットマネジメントを経て、2010年に岡三オンライン証券チーフストラテジストに就任。鋭い分析に定評のある兜町のカリスマ的存在(撮影/写真部・堀内慶太郎)

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 日経平均株価は2000年4月のITバブル期につけた高値突破が射程圏内となった。だが、上昇するスピードが急で、バブル再来を懸念する声も囁かれ始めた。そこで、過去の相場を“体感”してきた業界最古参のベテラン証券マンの座談会を開催。岡三オンライン証券の伊藤嘉洋さん(71)、ちばぎん証券の安藤富士男さん(66)、SMBC日興証券の西廣市さん(64)はこの先をどう読むか。

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――今後もしばらく強い相場が続くと考えてますか。

西:5月7日から1200円以上もほぼノンストップで上昇してきたので、スピード違反気味であることは否めません。しかし、個人消費の回復や円安効果などで企業業績は引き続き好調。一方で、金融緩和に伴って世界的にカネ余りが続いており、株式市場に流れ込みやすい状態。年末に向け、再び上昇すると思います。

伊藤:私も6月に高値をつけた後に、いったん小休止すると考えています。でも、今の相場がそのまま休み続けるとは考えにくく、00年4月のITバブルでつけた2万833円をあっさり抜いて、さらに2万1千円ぐらいまで突き進む可能性も十分に考えられる。

安藤:企業側が発表する業績予想は保守的で、実績がそれを下回ったのはリーマンショックが起きた年ぐらい。毎回、事前予想をかなり上回る結果となりがち。そこで、証券会社のアナリストが試算した今年度の業績見込みに照らし合わせると、2万3千円まで上昇しても不思議ではない。

西:芸術の世界では、最も均整のとれた比率「黄金比(1対1.618)」がよく意識されます。実は相場の世界でも同様で、株価は高値や安値から「黄金比の割合(61.8%)」に相当する水準をめざして推移する傾向があります。その点に着目しても、やはり2万3千円という水準が視野に入ってきますね。

伊藤:今秋には日本郵便株の新規上場が予定され、それを買うために他の銘柄が売られて需給が乱れることから、相場にはマイナスに作用するとの見方が一般的。けれど、NISA(少額投資非課税制度)口座に入っている資金のうち、実に12兆円がまだ実際には投資に回っておらず、潜在的な買い手は残っている。87年に政府が初めてNTT株を市場に放出した際、119万7千円の売り出し価格に対して最初の取引で成立した値段は160万円に達するという人気ぶりでした。似たような現象が起こる可能性も考えられます。

安藤:日本郵便株の上場が相場をさらに盛り上げるきっかけとなれば、年内に2万5千円に達することだって考えられなくはない。

西:TPP(環太平洋経済連携協定)が合意する可能性もあり、それが現実となると株式市場にとってかなりの好材料。今後数年というスパンで考えれば、2万6千円の水準を抜けていくことも見込まれます。

伊藤:バブル崩壊のショックを知らない人が大半を占めてきているという意味でも、無意識のうちに“いつか来た道”を再び歩む可能性がある。20年の東京オリンピックに向けて、30年に一度の大相場がやってくるわけです。「一山6年」というのが相場の世界の経験則で、13年を起点とすれば、19年に2万8千円をつけることもありうる。「倍になったら、次は3倍になる」のも相場の経験則です。

安藤:私はそこまで強気ではなく、消費税の再引き上げが予定されている17年には上昇が途絶えるのではないかと考えています。日本は今後も人口が減って経済規模が縮小していくわけですし、外国人労働者の活用などに積極的に取り組まないと経済成長は難しい。

週刊朝日  2015年6月19日号より抜粋