​日本と戦うイラク代表はどれくらい本気?来日メンバーからその「本気度」を採点する

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ハリルホジッチ体制となって初めての「本番」に望む日本代表。監督は「明日からワールドカップが始まる」と大きな意欲を見せており、11日の試合は準備として非常に重要な機会となる。

その相手となるのは、アジアカップでも対戦したイラク代表チーム。2014年ワールドカップ予選でも同組になり、このところ非常に縁がある相手だ。

今回来日したイラク代表メンバーはどれだけ“本気"なのだろうか?

世界のサッカーを網羅するQoly編集部のアジア担当編集部Kが、来日メンバーの充実度を100点満点で採点する。

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編集部Kの採点

イラク代表の本気度はズバリ…「50点」です。

編集部Kのコメント

現在アジア各国のほとんどが6月中旬のワールドカップ予選に向けて準備をしているわけだが、その中で唯一例外になってしまったのがこのイラクである。

彼らが対戦するはずだったインドネシアは、ご存じの通り政府の介入が認められたためにFIFAから資格停止処分を受け、国際試合の開催が禁止された。

そのため、イラクは16日に予定されていた「本番」と言えるワールドカップ予選が延期になったわけである。

次の試合は今月末のシリアとの親善試合。本番は9月のチャイニーズタイペイ戦であり、今回は完全なるフレンドリーマッチウィークである。

メンバーについて

だからというわけではないのだろうが、現在イラク代表で最も注目されているタレントと言えるアリ・アドナン・カディーム・アル・タミーミーがメンバーから外れた。

彼は現在リゼスポルからイタリアのウディネーゼへ移籍手続きが進められており、アクラム・サルマン監督曰く「ここに来たくない、準備が出来ていないように見えた」とのことである。

その他にもいくらかのメンバーが抜けている。

FWではついにクラブチームに所属した2007年の英雄ユーニス・マフムード、有力なウイングとして知られるハンマディ・アハマド、若手最高のFWと呼ばれるムハンナド・アブドゥルラヒーム、そして怪我のアラー・アブドゥルザフラが帯同しない。

中盤でもアジアカップで圧倒的なスピードを見せて話題になった右サイドの仕掛け人アムジャード・カラーフ、オランダ育ちのプレーメーカーであるウサマ・ラシドが呼ばれなかった。

最終ラインではアリ・アドナンの他にも、センターバックのレギュラーであるアハマド・イブラヒムが選ばれておらず、軽い怪我があると言うことでワリード・サリムも外れた。右サイドについては実績あるサマル・サイードが呼ばれているので大きな問題にはならないだろうが。

ちなみにサマル・サイードはサメル・サイードと双子で、サマー・サイードの兄。名前がややこしい、しかし全員がイラク代表右サイドバックという分かりやすい一家である。

本気で勝ちに来たメンバーとはさすがになかなか言いがたいものはあり、本番のワールドカップ予選が入っていればここまでは……とは思える。

ただ、忘れてはいけないのは「イラクはアジアで最も若手が育っている国」であると言うことだ。平気で10代の選手をフル代表で使い、経験を積ませて成長させる。

決してレギュラーのメンバーが来ていなくても、招集回数ゼロの選手がたくさんいても、タレントが不足しているわけではない。

注目どころは?

今回の構成を見れば、イラクを知っている人なら「CBとFWが誰になるのか?」、知らない人なら「才能溢れる中盤」が注目どころではないかと思う。

CBには絶対的なレギュラーと言える選手がベテランのサラーム・シャーキルしかいない。その相棒がSB兼任のアリ・バハジャートになるのか、あるいは「ランボー」の異名を取るスウェーデン育ちの巨漢DFレビン・スラカになるのか? それとも…

FWはマフムードが抜けたため、これまでフル代表では全くと言って良いほど結果を残せていない(2人でわずか2ゴールである)アムジャード・ラーディとマルワン・フサインが争う。このチャンスをどちらが生かすかも注目だ。

逆に、イラクをあまり知らない方ならば、非常に面白いメンバーが揃っている中盤に注目してもらいたい。

「イラクのメッシ」ことフマーム・タリクはまだ19歳であるが、既にA代表27試合に出場している「神童」である。

まあ、メッシとは全くタイプが違い、激しいタックルと無尽蔵の運動量を生かした情熱系のセンターハーフである。似ているのは左利きであることくらい。顔はなかなかのイケメンであり、代表初キャップとなった試合ではオウンゴールを喫して号泣したピュアな少年である。

両ウイングにはアメリカ生まれのジャスティン・ミーラム、スウェーデンで活躍するアハマド・ヤシーンが揃って来日する。両者とも勢いのあるドリブルでの仕掛けが魅力だ。

そしてボランチには英国育ちの司令塔ヤースル・カーシムが入っている。トッテナムの下部組織出身で、的確なゲームコントロールを見せてくる選手である。

今回のイラクは、彼らに対する知識量によって注目すべきところが変わってくるチームだと言えよう。

最後に指揮官のことについて少し説明を……

アジアカップ時はラディ・シャナイシル監督がチームを率いていたのだが、彼はカタールSCとの兼任であったため既に退任しており、現在はアクラム・アハマド・サルマン氏がチームを率いている。

彼はイラクリーグで25歳にして指揮官を務めた(1970年のことであるが…)という経歴があり、中東の多くのクラブチームで指揮を取ってきた経験を持つ。就任からはわずかな時間しか経っていないが、協会子飼いのコーチであり全く体制には影響がない。

3月末と4月初頭に行われたコンゴ民主共和国代表との親善試合でも、特に今までのイラクと大きな違いは感じられなかった。継続路線で進められていると考えて良いだろう。

この選手に注意せよ!

MF:アハマド・ヤシーン


前頁で書いたとおり「イラクのクリスティアーノ・ロナウド」と呼ばれているアタッカーだ。髪型も混みのあだ名だと思われるが、がっちりした筋肉質の長身でありながら、スピード豊かなドリブルで仕掛けられ、フリーキックも得意なウイングという点に共通点がある。

日本との力関係を考えれば、イラクはカウンターを仕掛ける機会が多くなるに違いない。そこでキーとなるのは彼の仕掛けとなってくるだろう。

DF:ドゥルガーム・イスマイール


現在アリ・アドナンと並び大きな注目を集めているのがこのドゥルガーム・イスマイールである。10代から代表で出場機会を得ていたが、最終ラインでは守備に問題があり、前線では今ひとつ頼りないという使いにくさを感じる選手であった。

ところがこの1年ほどで、あのアリ・アドナンを抑えて左サイドバックのレギュラーを奪取するなど大きな成長を遂げた。巧みなドリブルから繰り出す正確なクロスでチャンスを作り出し、豊富な運動量で守備にも穴を空けない。欧州のクラブにも狙われていると言われる、次世代のタレントの一人だ。

キリンチャレンジカップ2015、日本対イラクの試合は11日(木)午後7時より日産スタジアムでキックオフ。全国テレビ朝日系列で生中継予定。