阪神大震災当時の様子

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 最近、日本あちらこちらで火山が活動的になっており、改めて日本は火山大国だと感じている方も多いのではないでしょうか。さらに地震も頻繁ですが、震度3程度ではまわりの日本人は『あ、揺れてるね』といったぐらいのリアクションですが地震の少ない国から来た人たちは、あたふたとされることも……。“地震大国ニッポン”で暮らす我々は建物の耐震も進んで多少の揺れには慣れてしまったのでしょうか?

 それはさておき、「地震や火山噴火で為替市場に影響があるのか?」といいますと、中心的な金融都市に直接的な影響が及ぶ場合は、大いに影響はあるといえるでしょう。東京であれば、首都直下型地震や富士山が大規模な噴火をした場合には、当然金融パニックになる可能性は大きいと言えます。そう考えると、ロンドンが世界の金融都市として安定しているのは地震や火山などの自然災害の可能性が低いことも一因かもしれません。

 1995年の阪神淡路大震災のときのことですが、東京にいる筆者にシンガポールから問い合わせがあり、開口一番「被害はないのか?」と。現地(神戸)は大変な事態ということを伝えると「東京は大丈夫なのか?」と改めて確認されました。シンガポールから見ると「東京も近いから……。」ということで心配してくれたようですが、「何万分の地図をみているのだろうね?」と東京で苦笑い。確かに日本は小さい国ですが……。

 そうはいってもその後、為替市場には影響が出ました。1996年以降の展開では円安でしたが、震災直後は一旦円高に。災害や政情不安時には、よりリスクの低い投資に切り替える「リスクオフ」という言葉が良く聞かれますが、この影響で当時は恒常的な外貨買い円売り需要という市場の需給のバランスが崩れ、さらに対外投資分の日本回帰も手伝って円の買い戻し需要の方が上回ることになったようです。それに加え、震災の影響で日本の株式市場が下落すれば、株価指数連動で動いている海外勢もヘッジを外すという行為でさらに円の買い戻しが発生し、瞬間風速の円買いが加速し円高となりました。

 1995年の円高は、その年の4月に瞬間風速で1米ドル=79.75円の安値をつけましたが、東日本大震災のあった2011年−2012年の円高局面は約1年半と長く続きました。福島第一原発の事故という問題もあったため、災害当初は海外から来日するビジネスマンは関東地方でさえも避けるといった事態に。こうした環境下で海外勢投資家は日本投資ポジションを縮小。さらに国内でも海外への投資は手控えられ、資金は災害復興などに。大災害を経験したためその後も投資マインドは冷え込み、長期的な円高となったのです。

 通貨相場はその国の経済力を反映するはずなのに、経済活動が一時的に停滞する大災害時に円高となったのには、このような理由があったのです。こうして見ると、大災害時の「円高」というのは、今後も起こりえると言えるでしょう。(FXストラテジスト 宗人)