先制するまでは良いリズムで試合を運べた日本。その後はスイスの攻撃陣に手を焼いた。(C) Getty Images

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 女子ワールドカップ連覇を目指すなでしこジャパンは、グループリーグ初戦でスイスを1-0で下し、白星スタートを切った。グループCのなかで最も警戒していた相手に勝てた点は大きい。しかし、結果は残せたものの守備面において多くの課題が残った。
 
 金色のチャンピオンエンブレムを身に付け初戦に臨んだ日本は、序盤、慎重に相手の出方を窺った。それでも「スタートは思いのほかスイスのプレッシングがなかった」(佐々木監督)と相手の静かな立ち上がりを見ると、試合前に水を撒いたピッチにも徐々に慣れ、速く細かいパスワークを披露。
 
 そして29分には大儀見の浮き球のパスに安藤が反応し、相手GKタールマンと交錯。安藤は負傷交代となるが、このプレーでPKを得ると、宮間が冷静に決めて先制に成功した。
 
 だが、先制後は元ドイツ女子代表のフォステクレンブルク監督率いるスイスの攻撃陣に手を焼いた。ドイツの強豪クラブなどでプレーするスイスの選手たちに果敢に1対1を仕掛けられると、その対応に苦慮。CBの岩清水や左SBに入った宇津木らは、最後まで相手の10番バッハマンを抑えることができず、ピンチを迎えた。
 
 初戦で快勝した優勝候補のドイツや、同日に他会場で試合を行なったスウェーデンを始め、最終ラインでミスをするチームが多いなか、日本もまた満足のいく守備を披露することはできなかった。ドリブルで仕掛けてくる相手への対応など修正すべき点は多い。
 
 また、試合後に大儀見が「リードしているなか、ボールを保持して相手を動かすのか、全員の意思が合っていなかった。スイスを一旦、相手陣内に押し込まないとボールを奪われた後、すぐにカウンターを受けてしまう」と話したように、リードした際の試合の運び方も改善ポイントとなる。
 それでも、結果以外に収穫はあった。それが国際Aマッチ200試合出場を達成した澤の存在だ。
 
 直前の強化試合、ニュージーランド戦、イタリア戦に続きこの日も先発した澤は試合後、祝福の花束を手にミックスゾーンに現われた。
 
「どんな大会も初戦が大事。それでしっかり勝利を収めたことで、チームの勢いにつながると思う。スピードがあって個人の能力が高いスイスからの失点は避けたかった。身体を張りながらよく守った」と、白い歯を見せてホッとした表情を浮かべた。
 
 前述の強化試合と同様に、ワールドカップ本番となったこの試合でも力の限りピッチを走り、最後まで足を伸ばしてボールを奪いに行き、粘り強い守備を見せた。
 
「同じ節目の試合(宮間が国際Aマッチ150試合出場を達成)を迎えて、さらに得点を決める(宮間)あやは流石。こんな大きな舞台でふたり揃って試合に出場できた。今日の勝利はサッカー人生の中でもすごく嬉しい出来事のひとつ」と、記録や数字にはこだわらない主義の澤がこの日は笑顔を絶やさなかった。
 
「試合後の選手たちの疲れた感じを見ると、やっぱり人工芝で重さみたいなものを感じていたと思う。少しずつ慣れていくと同時に、次の試合もタフなものになるからしっかり休養して食事もしっかりとって、良い状態にして臨みたい。もちろん得点に絡めればいいけど、チームの結果が最優先。これからもチームのために一生懸命プレーしたいと思う」
 
 最後のワールドカップと決めている今大会でもその存在感は増している。幾度もチームを窮地から救ってきた背番号10が力強くプレーできているのは、今後の戦いに向けて大きなプラスだ。
 
取材・文:馬見新拓郎(フリーライター)