これまで数回にわたり、社会保障審議会企業年金部会での議論についてお話ししてきました。経済協力開発機構(OECD)が後押ししているライフサイクル型の投資信託(ターゲット・イヤー・ファンド)を、日本の確定拠出年金(以下、DC)でも活用する方向で、現在国で検討されています。この背景には、公的年金からの給付額は、公的年金の被保険者数の減少などの分だけ削減されることになっており、特に若くなればなるほど給与対比の公的年金水準が低くなっていくことがあります。

 つまり、公的年金の減少分を自助努力であるDCでカバーしてほしいというのが国のメッセージなのです。今までは公的年金で国民の老後を支えるという方針でしたから、これは政策の大転換といっても過言ではありません。一方、DCではまだまだ運用をせずに元本確保型商品(預金や保険商品)に預けている人が多く、このままでは将来、DCが公的年金の代替としての機能を十分に果たせなくなるのではないか、と国が懸念しています。だからこそ、このようなDC加入者に資産運用を誘導し、資産形成を促す改革を進めようとしているのです。具体的には、国はDC加入者が運用する商品を選ばなかった場合に自動的にお金を振り向ける先である「デフォルト商品」を、元本確保型商品からターゲット・イヤー・ファンドをはじめとする長期分散投資を実践する投資信託に変えるということを目指しています。

 この改革は現役世代の資産運用を改善するものですが、実は国が問題視しているのはこれだけではなく、退職後の資産運用についても懸念しています。というのも、現在、定年退職時にDC加入者の8割弱の人が一時金で受領しているからです。先ほども述べたように、国はDCを公的年金の代替として活用することを望んでいるため、当然、年金での受け取りを望んでいます。DC資産を年金化する方法には、終身年金商品を購入する方法とDC口座において老後も投資信託で運用しながら引き出す方法がありますが、インフレのリスクに晒される可能性を考慮すれば、今後は運用しながら引き出すことも必要になってきていると言えます。

 そこで今回は、老後に運用しながら引き出す際の留意点についてお話ししたいと思います。

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