Engadget 例大祭: パックマンのIoTガジェットが作れる? バンナム×ユカイ工学セッション前編 #egfes

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5月30日に開催した「Engadget例大祭」から、バンダイナムコxユカイ工学 トークセッションのレポート記事をお届けします。

出演はバンダイナムコスタジオでET開発本部未来開発部課長を務める堤康一郎さんと、ロボティクスベンチャーであるユカイ工学代表の青木俊介さん。進行はアイティメディアの「ねとらぼ」を担当する太田智美さんとEngadget編集者のIttousai。テーマは「パックマン x IoTガジェット x オープンイノベーション」。詳しくは続きをどうぞ。
これだけでは何のことか分からない方のために説明すると、バンダイナムコは現在「カタログIPオープン化プロジェクト」という企画を進めています。ナムコの名作17作品についてIP(知財)を「オープン化」し、簡単な手続きと審査だけで二次利用ができる企画です。

通常であれば二次利用には複雑な権利交渉や作品の監修なども入ってきますが、このプロジェクトでは小難しい話はなし。しかも、対象は法人だけでなく個人のクリエイターも含みます(法人・個人での利用範囲については公式HPをご確認ください)。「パックマン」や「ギャラガ」「ドラゴンバスター」や「ディグダグ」、それに最近人気の「妖怪」を扱った名作「妖怪道中記」、「ワルキューレの冒険」など、昔懐かしの作品が粒ぞろい。これらの作品のキャラクターやストーリー、設定、音楽などを自由に使って公認の二次創作ができます。

ただし二次創作作品の対象は原則としてデジタルコンテンツのみ。要するにスマートフォン向けアプリやゲーム、ブラウザゲームやWebサービス、それに動画など。「デジタル」な作品を対象としています。

しかしバンダイナムコとEngadget電子工作部とのコラボで、カタログIPオープン化対象タイトルのIoTガジェットを作ってしまおう、という企画も進んでいます。今回のトークセッションではその辺りの話が中心になっているので、まとめてご紹介します。

登壇者はバンナム堤さん、ユカイ工学青木さん


登壇者について、もう少し詳しく紹介しておきましょう。

▲左から太田さん、Ittousai、青木さん、堤さん

進行は太田さんとIttouasiで、ゲストは堤さんと青木さんです。

堤さんは前述したようにバンダイナムコスタジオのET開発本部未来開発部で、先端技術の調査・研究、各部署における技術的な支援、新技術の紹介など、技術支援全般を担当しています。元々は合併前のナムコにグラフィックチップを作りたくて入社したとのことですが、技術的な部署を渡り歩くうちに、現在の仕事に携わるようになったそうです。

一方の青木さんは、ユカイ工学の代表を務め、主にロボットを作られている方です。

最近では子供を見守ることができるロボット「BOCCO(ボッコ)」を開発・販売したり、Engadget電子工作部でも活用されている「konashi」という開発キットも手掛けています。konashiは、Bluetoothを使ってスマホと連携するガジェットが簡単に作れてしまう、という便利な開発キットです。

太田さんは「ねとらぼ」担当の方ですが、「Pepper」を自腹で購入して一緒に出社したり、壁ドンしてもらったり、歌やダンスを踊ったりと、最近は幸せな毎日を過ごしているようです。Engadget編集部からは編集者のIttousaiが進行を補佐します。

▲良いシチュエーションです。いずれロボットに恋をする、という未来が訪れることを予感させます。

ロボットブーム、ユカイ工学のBOCCO


メインテーマに入る前に盛り上がったのは何と言ってもロボットの話題。

「ロボット」や「ドローン」といった言葉を聞く機会が増えましたが、堤さんによれば、ナムコはロボットブームが訪れるよりもずっと昔の30年前に、受付ロボットの「受付小町」を作り、実際に設置していたそうです。「今、受付小町をレストアして復活しましたが、当時はあまり売れなかったそうです。時代の最先端を行きすぎていたのか、結局30年間地下に眠っていました」とのこと。

最近のロボットブームや、いろいろなセンサーなどのパーツが売られているのを見ると、今さらながらにやってみた方がいいかな、と思うそうです。

実際にロボットを作っている青木さんも、ようやくロボット普及の時代に入ってきたと感じています。

「昔から何回かロボットブームがあり、バンダイさんやタカラトミーさん、それにソニーさんのアイボなど、各社チャレンジを繰り返してきましたよね。でも、広く普及するというレベルまでには到達しなかった。しかし、今が昔と違うのは、インターネットが速くなったり、小さなデバイスでもWi-Fiに繋ぐことが簡単になったということだと思います」

そのため、ロボットの純粋な動きだけに囚われず、ネットにつながることで生まれる新しい魅力があります。例えば、ダンスのデータをネット経由で更新し、新しい踊りをできるようにするとか、今流れている音楽に合わせて自動的に踊るなんてこともCPUパワーもあって可能になっていて、実際にやっている会社さんもある。この辺りの進化を踏まえると、今回は定着するんじゃないかな、とのことです。

そして、話はユカイ工学のBOCCOへ。

BOCCOは子供の見守りロボットで、5月末に発売。太田さんも感心していましたが、たった2つのボタンだけ、というシンプルな操作系が魅力で、家族間でネットを介したメッセージのやり取りができます。スマホからのメッセージをBOCCOで再生して聞いたり、その逆もできます。また、家庭内に設置した各種センサーの情報をスマートフォンに通知することもできるので、例えば帰宅時に親のスマートフォンに通知もできます。

ちなみに、2つのボタンとは、お腹にあるメッセージの再生ボタンと録音ボタン。実は鼻を摘まんで回すとボリュームを調整できるようにもなっています。

青木さんはBOCCOについて、次のように話していました。

「ターゲットは、共働きをしていて、鍵っ子がいるという環境です。大人の世代はスマホが出てきて生活が便利になったと思うんです。もうこれ以上便利になりようがない、というくらい便利になっていますよね。でも、お年寄りや子供の層はまだスマホがカバーしきれていない。そういう人たちがインターネットと何かしら繋がることで、安心だったり、楽しい経験ができるんじゃないか、という気がして、僕達の会社では、子供をターゲットにBOCCOを作ったんです。子供が帰ってきた時間にスマホに通知を送ったり、ボイスメールをやり取りしたり、スマホからテキストメッセージを送るとBOCCOが読み上げてくれたりもします」

また、今後の市場について、「インターネットの黎明期に『ポストペット』というサービスがあって、結構流行っていたと思うんですが、ああいう立ち位置の製品がこれから出てくるのではないかと思っています」とのこと。ポストペット的な何かが出てくるのでは? と予感しているそうです。

モノ作り環境の充実化


「オープンイノベーション」の広がりを語るにあたり、外せないのが環境です。今ではさまざまな場所でハッカソンが開かれていますし、いろいろな企画やモノがネット上を飛び交っています。Engadgetでも電子工作部をやっていますし、実は累計で十回以上を実施しています。

堤さんはEngadet電子工作部について「やっぱりハードウェア好きの方、パーツ好きの方が集まるんですか?」と聞かれましたが、Ittousaiによれば、「メーカーの技術者で、自社で出したいけど出せない、という方や、企画を考えることが好きな方、手芸が得意な人など様々です」とのこと。技術を持っていなくてもアイデアはあるぞ! という方など、参加者は本当にバラエティに富んでいるようです。

そして近年、アイデア商品が世に出やすくなったのも、モノ作りの環境が充実してきたからです。

3Dプリンターはその最たる例ですね。そして、お金。モノを作るためにはお金が必要ですが、今は「クラウドファンディング」があります。昔ならあちこち周ってお金を集めて来なければならなかったのに、今は良いアイデアがあって、それを欲する方がいれば、クラウドファンディングで調達することができてしまいます。

今回の例大祭に関連したところでもクラウドファンディングでの資金募集があったようです。「先ほど隣のブースでウェアラブル・ファッションショーが行われていましたが、そこでもクラウドファンディングで資金を募るという方がいましたね」と太田さんが指摘したように、今ではクラウドファンディングは資金調達の手段として定着してきたことが分かります。

そんなこんなでロボットやモノ作り環境の話から、メインテーマの「カタログIPオープン化プロジェクト」へと移っていきます。

後編に続く。