No.1ヒット中!綾野剛×伊勢谷友介が“スワン”としての生き方を熱く語る
「役でいるのは『ヨーイ、スタート』から『カット』までの間だけです。僕は役に身体を貸している状態で、役は僕ではありません。“役落とし”(役者が演じたキャラクターから離れて本来の自分に戻る作業)という感覚は分からないです。今までやった役は、その後も全てが血肉となって自分の中に生きているので」と語る綾野剛さんと、「今回の役は難しかったです。キャラクターをどこに出していいのか分らなかったということもあって。でもそういう役が年齢を重ねるとともに、増えてきたんですよね。そういう世代の大人として頑張らなきゃと思って」と笑う伊勢谷友介さん。

 綾野さん主演、伊勢谷さん共演の『新宿スワン』が公開中。これが初共演となったおふたりに、作品の舞台である“新宿”について、また“スワン”という生き方について聞きました。

 同名人気コミックを鬼才・園子温が監督した本作。綾野さんは歌舞伎町のスカウトマンとして成り上がっていく白鳥龍彦を、伊勢谷さんは龍彦を仲間に引き入れる先輩スカウトマン・真虎(まこ)を演じています。

⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=275976

⇒【YouTube】映画『新宿スワン』本予告 http://youtu.be/5-s0XCvWU-s

◆街を、時代を切り取る映画という芸術

――今回、スカウトマンが一堂に会するシーンはミラノ座の屋上で撮影されましたが、いまミラノ座はありません。街や時代を切り取るという意味での映画の魅力をどう感じますか? また新宿の街に思うところは?

綾野:龍彦や真虎が所属している会社バーストが入っていたビルもなくなってるんですよね。この1年で新宿はかなり変わりました。新宿の街が持っていた防波堤を崩しつつあるので、代々木や原宿がおかしくなっちゃうんじゃないかと思うこともあります。

伊勢谷:そうなの? 代々木とか原宿とか、おかしくなっちゃうの?

綾野:新宿が持っている毒みたいなものが、新宿の中でちゃんと溜まるようになっていた。それが崩れていってるんです。そうするといろんなところに流れ込んでいく。

伊勢谷:面白い考えだね。

綾野:それを簡単に壊していいのかなとは思います。今回、ミラノ座に入っていたボーリング場も閉館だったので、『園さんだったら、どこまでも壊していいですよ』ってボーリング場の方も言ってくれたそうです。レーンの上に土足であがったり、アクションしたり、なかなかできないことをやらせてもらいました。それは園さんの存在が大きかったと思います。記録として映画に残っていくのは、いいことだと思います。

伊勢谷:僕はあまり昔のことに思いを抱くことはないし、新宿にも思い入れがないんですが(笑)、確かに新宿に限らず、日本にも昔は悪そうなところがたくさんあったけれど、それは海外に行かないとなくなってきていますよね。映像としておもしろい場所がなくなってきていて、そういう悲しさはありますね。でもしょうがないことでもありますしね。ただそれを映画として切り取っていけるってことは、確かに映画がやらなきゃいけない、できることのひとつなのかもしれないですね。

◆“スワン”のような生き方

――『新宿スワン』の“スワン”は、龍彦の名字でもありつつ、同時に水面下ではもがきながら生きている新宿の人々を指しているように感じました。俳優さんも、見えないところですごく努力されていると思います。

伊勢谷:セリフ覚えが、かなり辛かったですね(笑)。

綾野:真虎さん多かったですしね。

伊勢谷:それでも、この作品より吉田松陰先生(大河ドラマ「花燃ゆ」)とか、本当に大変でした。でも役者として年齢的にそういうポジションになってきてるんですよね。ストーリーを語る立場になってきている。そういう苦労はあります。

――スワンのような生き方をどう思いますか?

伊勢谷:そうあるべきだとは思いますよ。何かを成したいとき、大なり小なり努力する場所というのはそれぞれに必ずある。もがいたからこそ見えてくるものがある。でもね、不思議なことに努力をしなくても得ているものもあるんですよ。感覚的に理解して。僕は自分で会社(リバースプロジェクト)をやっていますが、経営の方法を知らないのにできているのは、何かしら自分の中にあるんですよ。こうしたほうがいい、ああしたほうがいいというものがね。

そうしたジャンルって、みなさんの中にもあると思うんです。算数が得意な人、国語のほうが得意な人。そしてそれぞれが、得意なことと努力をいつの間にか一緒にすることによって、目的に近づいていく。努力は常にあるべきですが、そうしたことをいつの間にかやれている人っていうのが一番強いなと思いますし、僕もそうありたいなと思います。

綾野:僕はスワンの水面上だけ見てもらえればいいです。

――役者として。

綾野:そうです。僕たちはこれだけ頑張りましたなんて言う必要はないと思います。でも努力を映画はちゃんと切り取ってくれるし、映してくれる。とはいえ、僕には結局出来上がったものを提示することしかできないので、美しいかどうかはさておき、結果として観客のみなさんに伝わる白鳥の水面上だけ見ていただければいいと思っています。

※ランキングは5月30・31日時点の興行成績より

<TEXT/望月ふみ>

●綾野剛
スタイリスト:Tetsuro Nagase/高橋事務所
ヘアメイク:Mayu Ishimura

●伊勢谷友介
スタイリスト:KASAI Nobuhiro/リバースプロジェクト
ヘアメイク:ShinYa/プライマル

『新宿スワン』は全国公開中
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント (C) 2015「新宿スワン」製作委員会
オフィシャルサイト http://shinjuku-swan.jp/