『星の王子さま』を初めて映画化した監督と日本人クリエーターが語る製作秘話
「大切なことは目に見えない」のフレーズで知られるサン=テグジュペリの名作『星の王子さま』。1943年に出版されてから70年以上経ったいまも、その魅力は衰えるどころか、逆に存在感を増しています。この名作に着想を得たアニメーション映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』が、11月の公開を待たずして、早くから注目を浴びており、初お披露目となった先月開催のカンヌ国際映画祭でも大きな話題を集めました。

 本作でメガホンを執ったマーク・オズボーン監督(『カンフー・パンダ』)と、CGキャラクター監修の四角英孝さんが来日。お話しを伺いました! 四角さんは『塔の上のラプンツェル』(2010)で、あの複雑な髪の動きを担当。『アナと雪の女王』(2013)のオファーを断って引き受けたのが本作です。

 物語は『星の王子さま』そのものを映画にするのではなく、大人のような心を持った女の子と、少年のような老人が出会ったことから動き出します。実はその老人は、かつて星の王子さまに出会った飛行士だったのです。

⇒【YouTube】映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』予告編(字幕版) http://youtu.be/CmNE7SZLRKw

◆本が人に与える影響とパワーを描きたかった(監督)

――『星の王子さま』はオズボーン監督と奥さまのキューピットとなった、個人的にも大変思い入れのある本だと聞きました。最初は監督を断られたそうですね。

⇒【画像】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=278236

監督:この本を映画にするのは不可能だと思ったんです。本を傷つける犯人にはなりたくなかったしね。

――それでもお引き受けになったのは?

監督:プロデューサーは映画化の権利を持っている。つまり僕が断っても、結局は誰かが作ることになる。ヒドイものを作られたら、それこそ頭に来てしまうからね(笑)。だったら自分が監督しようと。それに、本をただ映像化するのではなく、この本がどんなにパワフルで素晴らしいかを語るストーリーは作れるだろうと思ったんです。本を読むことがどんなにか人に影響を与え、世界を変えるほどの力があるのかってね。

◆CGアニメとストップモーションアニメの融合は危険だと思った(四角)

――本作では女の子や老人の現実の世界はCGアニメーションで描き、星の王子さまの世界はストップモーションアニメを用いています。四角さんは、この融合について聞かれたときいかがでした?

四角:すごく危険だと思いました(笑)。ふたつは全く違うメディアですから。ストップモーションアニメがCGアニメに切り替わったとき、観客の没入感が失われるようなことがあれば、映画が成立しない。なので、CGキャラクターに手作り感や、温かみを求めました。

――『星の王子さま』を軸に置くだけで大変なプロジェクトですが、さらにチャレンジングな作業だったんですね。

四角:そうですね。この作品はアクション映画でもなければギャグアニメでもない。原作と同様に淡々とストーリーが進んでいく。いわゆるアニメちっくな描写ではなく、CGキャラクターで日常を語るということは、大変なチャレンジでした。もちろん、やりがいも大きかったですけどね。

◆主人公の女の子に名前がない理由

――本作の主人公である女の子には名前がなく、ただ“女の子”(The Little Girl)とされています。その理由を教えてください。

監督:もともと原作の『星の王子さま』に名前がないからね。ビジネスマンはビジネスマンで、王様は王様。キツネはキツネ。名前を付けてしまったら、あの本の世界観から外れてしまう。“女の子”というのは、あらゆる少女、子どもの象徴、アイコンなんだ。国籍も分からないようにしているよ。宮崎(駿)アニメを観すぎたから、ちょっと日本人に似た雰囲気があるかもしれないけれど(笑)。

――なるほど。確かに名前があるほうが、違和感がありますね。では女の子と出会う老人“飛行士”(The Aviator)にモデルはいますか?

監督:ルックスはデザイナーが監督・俳優の故ジョン・ヒューストンをイメージした。ほかにも故アレック・ギネス(『戦場にかける橋』『スター・ウォーズ』シリーズ)とかね。温かい感じの老人を求めたんだよ。内面的な部分は『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』(1971)からの影響があるかな。すごく変わったおばあさんと少年の話で、本作とは全く違った内容だけれど、キャラクターがとてもよくてね。いい映画だから観てみるといいよ。実は、『ハロルドとモード』で少年を演じたバッド・コートに、本作で王様役をお願いしているんだ。

――女の子のお母さんについても気になりました。

監督:彼女は自分が子どもだったことを忘れている人。悪い人ではないんだけどね。お母さんと女の子の絆もとても重要です。でもまだ詳しくは語れないな(笑)。ただ、この映画はネガティブではない、いい泣き方ができる作品になっていると思うよ。

<PHOTO&TEXT/望月ふみ>

『リトルプリンス 星の王子さまと私』は11月公開予定
配給:ワーナー・ブラザース映画

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