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東京工業大学(東工大)は6月5日、センチメートル(cm)クラスの面積で、局所的に構成分子の配向や配列が揃っている領域(ドメイン)が隣り合う部分「ドメイン境界」がない有機薄膜を形成することに成功したと発表した。

同成果の詳細は、東工大 資源化学研究所の福島孝典教授らの研究グループと、科学技術振興機構ERATO「染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクト」の染谷隆夫研究総括(東京大学 教授)、理化学研究所放射光科学総合研究センターの高田昌樹主任研究員(現 東北大学 多元物質科学研究所 教授)、引間孝明研究員らによるもの。詳細は米科学誌「Science」に掲載された。

従来、有機薄膜の形成過程では、生成した結晶核から構造成長が起きてしまうため、ドメイン境界が生成されていた。ドメイン境界は、膜強度や半導体膜であれば電導度など、膜の機能を低下させる要因として知られており、次世代の高性能半導体の実現に向けて、ドメイン境界がない大面積の有機薄膜の作製手法の開発が求められていた。

今回、研究グループは、構造規則性の長距離伝搬を可能にする分子・分子集積体の空間充填デザインを考案することで、ドメイン境界のない有機薄膜の形成が可能であることを示したほか、実際に、設計した分子をサファイア基板ではさみ、加熱溶液状態から冷却することで、均一な薄膜がcm規模で形成できることを確認したという。また、この薄膜の構造を調べたところ、構造が膜全体にわたって完全にそろった、単結晶のような構造規則性を有していることが分かったという。

さらに研究グループはこの薄膜は、加熱溶融状態からの冷却以外にも、スピンコートや真空蒸着法でも完全に配向した均一な膜形成が可能であることも確認したとする。特に真空蒸着法では、ガラスやプラスチックなど、基材を選ばずに高秩序な薄膜を形成できることも確認したとのことで、この結果について研究グループは、分子集積膜の応用可能性を広げるものであると説明している。

なお、今回の成果について研究グループでは、、基材を選ばずに大面積分子集積膜を形成できることから、表面改質の汎用的な手段として多方面への応用が期待されるとコメントしているほか、既存の成膜方法と組み合わせることで、超高精細分子膜を用いたフレキシブルデバイスの創出など、新しい応用展開が期待されると、次世代の半導体デバイスの実現への期待を語っている。