Engadget例大祭:『ワクワクする宇宙』レポート。ポエムを読む人工衛星、参加型宇宙開発の時代 #egfes

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5月30日に開催したガジェット好きのお祭り Engadget 例大祭より。Engadget 日本版編集長 鷹木の挨拶につづいてトークセッションエリアで行われた『ワクワクする宇宙』セッションの模様をお伝えします。

司会は書籍『宇宙女子』を出版し、宇宙へ行った女優第1号を目指しているという 黒田有彩 さん。登壇者はGoogle Lunar XPRIZE に日本から唯一参加している チーム ハクト の 袴田武史 氏、さらに衛星芸術プロジェクト「ARTSAT Project」を手がける多摩美術大学教授 久保田晃弘 氏です。 
まずは、3名が何をきっかけに宇宙に興味をもったかという黒田さんの質問から。袴田氏は小学生の時にテレビで見た映画『スター・ウォーズ』を見て、将来宇宙に関わる仕事をやりたいと思ったという、意外にベタな理由。久保田氏も幼少期にみた人工衛星やロケットがコンピューターを筆頭にあらゆる技術力を結集している様に興味をもったほか、映画『2001年宇宙の旅』といったSF映画やガンダムに代表されるロボットアニメからも影響を受けたと答えました。

そして黒田さんは、なんと幼稚園時代にテレビで見たアニメ『セーラームーン』がきっかけで宇宙女子への道を進むことになったのだとか。アニメの登場人物「セーラーマーキュリー」のマーキュリーの意味を母親にたずね、見せてもらった宇宙の図鑑に描かれた大きな星々に関心をもったのだそうです。
 

 
つづいては登壇者お二人の活動について。久保田氏は芸術衛星「ARTSAT」プロジェクトを紹介し「メディアとしての衛星」をテーマに話題を展開。コンセプトとして、「宇宙に打ち上げる人工衛星は通信であったり気象観測などが目的だったりするのに対し、芸術表現を目的とする衛星があってもいいのではないかと考えたとのこと。

久保田氏らが製作し、2014年2月28日に全球降水観測計画主衛星(GPM主衛星)を乗せた H-IIA ロケットに相乗りして打ち上げた「ARTSAT1: INVADER」は、そんな芸術衛星第1号となった機体です。会場では打ち上げの映像を映しだし、さらに INVADER から初めて届いた音声なども紹介。

打ち上げ前には H-IIA ロケットにINVADERを乗せるためのユーザーズマニュアルを渡され「こんなロケットにもユーザーズマニュアルがあるということに感銘を受けた」というエピソードも披露していました。
 

 
INVADER は芸術衛星と銘打つだけあって、地上との交信にもアートを盛り込んでいます。内蔵した Arduino 基板とプログラムで音声、音楽、写真データからポエムに至るまでを軌道上で生成したり、チャットボットプログラムで地上と会話するといったアートミッションを成功させました。

久保田氏は、今後はもっと宇宙開発と一般の敷居を下げ、究極には「パーソナル衛星」が可能となるような活動をしていきたいとし、Kickstarterなどのクラウドファンディングの台頭やNASAが一般向けのプロジェクトとしてスマートフォンをコンピューターとした人工衛星を打ち上げる PhoneSat などがすでにその一部を実現していると語りました。

なお、ARTSAT1: INVADER はオーストリアで開催されたメディアアートの祭典アルス・エレクトロニカ2015でハイブリッド・アート部門の優秀賞(準グランプリ)を獲得しています。
 

 
続いては袴田氏によるチームハクトの話。米国などで新しくはじまりつつある The New Space Industry(新しい宇宙産業)の動きを紹介。ロケットや衛星の開発だけでなく、その先にある宇宙旅行や宇宙資源の開発などにフォーカスした新産業が生まれる転換点に差し掛かっているとし、これまでの国家プロジェクトとしての宇宙開発が民間でもできる時代になりつつあると語ります。