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誰しも、幼いころに一度は親から「歯をちゃんと磨きなさい」と怒られたことだろう。ところがこの歯磨き、正しい磨き方が明確化されているわけではないため、人によって磨き方は異なるのが実情だ。また、仮に小中学校で正しい磨き方を学んでいたとしても、その方法通りに今も磨いている人は少数だろう。

ならば、きちんとした歯磨きはと一体どのようなやり方なのか。歯周病や口臭など、歯が招くトラブルの深刻さが理解できる大人になった今だからこそ、歯磨きを学びなおす必要があるのではないだろうか。

今回は「歯科医師がお勧めする正しい歯の磨き方」というテーマで、M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長の今村美穂先生に話を伺った。

○自分の歯に合った歯磨き粉を選ぼう

まず、歯磨きをするうえで重要な歯磨き粉の選び方をしっかりと理解することが大切だ。歯磨き粉を選ぶ際、「一番安いから」「ずっとこの製品(シリーズ)を使用しているから」などの理由で購入している人も少なくないだろう。

ただ、市販されている歯磨き粉の多くには薬用成分が配合されており、その成分の効能はそれぞれ異なる。すなわち、「自分の歯に見合った1本」を知ることが、健康な歯へとつながるというわけだ。具体例をまとめたので、参考にしてほしい。

■虫歯を予防したい場合……フッ化物や消炎成分配合製品がお勧め

■歯肉炎・歯周炎を予防したい場合……殺菌成分や消炎成分配合製品がお勧め

■歯がしみる場合……知覚過敏抑制成分配合製品がお勧め

○うがいはできるだけしない!

そして、歯磨き粉をより効果的に使う方法として、今村先生は「うがい」をあげた。歯磨き粉を使用して歯を磨き終えた後、口の中に残っている歯磨き粉を吐き出すことなく、約10〜15mlの水を含んで数十秒間のうがいをする。それ以外にうがいはせず、その後2時間ほどは飲食を控えることが、歯の健康に良いという。

「市販されている歯磨き粉の9割以上にはフッ素が入っているなど、歯磨き粉の中には多くの成分が含まれています。それをうがいで出してしまっては意味がないんですね。アメリカでは、歯磨き時に『うがいをするな』と言われているぐらいです。日本人の習慣には合わないかもしれませんが、さまざまな有効成分を口の中に停滞させずに出してしまうのはもったいないです」。

この「歯磨き粉を吐き出さず、不必要なうがいは避ける」という概念を意外に感じる人や、「口の中に歯磨き粉が残ったままでは気持ち悪い気がする」と感じる人も多いことだろう。

ただ、いざ実践してみるとそこまで思ったほどの違和感は覚えない。そして、確かに言われてみれば有効成分が入った歯磨き粉を、わずか数分の歯磨きで"処分"してしまうのは無駄があるように思える。気になった人は一度試してみよう。

○健康な歯でいるための5つのポイント

自分に最適な歯磨き粉を手に入れたら、いよいよ肝心の歯磨きだ。今村先生は、健康な歯をキープするためには、5つの大切なポイントがあると話す。

歯ブラシは鉛筆を持つときと同じ握り方にする

グリップをギュっと握るような、いわゆる「グリップ握り」は、全体をざっくりとブラッシングする際は便利だが、歯肉を痛める恐れも出てくる。「鉛筆握り」にすることでそのリスクを避けられるし、細かなブラッシングもしやすくなるメリットも生まれる。

歯の表面は歯ブラシを直角に当てる

歯ブラシは歯に軽く圧力をかけるように押し当て、左右に1〜2ミリ細かく振動させて磨く。1本につき20回以上が目標。また、利き腕によって重点的に磨ける場所とそうでない場所も発生するため、要注意だ。「例えば右利きの人は、自分の左側の歯を磨く際は磨きやすいですが、右側を磨く際は手のひらが上側を向く『返し手』状態となります。すると、右側のやや前よりの位置、いわゆる犬歯がある付近があまり磨けなくなりますので、注意しましょう」(今村先生)。

歯周ポケットは45度の角度で磨く

歯と歯肉の境目が歯周ポケット。その歯周ポケットに歯ブラシの毛先を当てて、細かく圧迫振動させながら汚れをかきだすとよい。「ブラシの毛先は常に意識して磨くようにしましょう。ただ、せっかくそのように磨いていても、毛先が広がってしまっていては汚れを落とせないので意味がありません」。

毎食後、3分以上磨く

食べたら、その都度歯を磨くのが本当は好ましい。ただ、それが無理なようならば毎日1回でもいいので、必ず夜に約5分間磨くようにしよう。口の中が乾燥しやすい睡眠中は、口腔内に細菌が繁殖しやすいからだ。「たまった歯垢は、一日でいきなり虫歯や歯周病になることはありません。例え磨くのが1回でも、汚れをしっかりと落として翌日に持ち越さなければ疾病にはつながりませんよ」(今村先生)。あまり時間をかけられないときにささっと3回磨くよりも、丁寧に夜に1回磨く方がいいと覚えておこう。

歯ブラシは、毛が密で平らなものを選ぶ

歯と歯の間の細かい部分までブラッシングできるように、毛の硬さが普通もしくは柔らかめのタイプを使用するとよい。「特に歯並びの悪い方は、大きく固い歯ブラシでざっと磨くより小さくやわらかめの歯ブラシで丁寧に磨く方が良いですよね」(今村先生)。
これらのポイントは、どれも特別な技術を必要とせず、歯磨き時のちょっとした意識や心がけで対応が可能となるものばかりだ。誰しもがおいしい物を食べれば幸せを感じるだろうが、それも丈夫な歯があってこそ。歯は一生涯、自分と付き合うことになるだけに、毎日の積み重ねが大切だということを覚えておこう。

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○記事監修: 今村美穂(いまむら みほ)

M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長、MIHO歯科予防研究所 代表。日本歯科大学卒業、日本大学矯正科研修、DMACC大学(米アイオワ州)にて予防歯科プログラム作成のため渡米、研究を行う。1996年にDMACC大学卒業。日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医・専門医。研究内容は歯科予防・口腔機能と形態 及び顎関節を含む口腔顔面の機能障害。MOSセミナー(歯科矯正セミナー、MFT口腔筋機能療法セミナー)主宰。

(栗田智久)