佐々木蔵之介&永作博美、“ガンで逝った妻と暮らす夫”のラブストーリーを語る
 数年前、「がんフーフー日記」というブログが話題になったのをご存知でしょうか。実在の夫婦の闘病記録が綴られたブログです。書籍化されたその闘病記からヒントを得て作られたのが、佐々木蔵之介さんと永作博美さん主演による『夫婦フーフー日記』。現在公開中の本作で、17年の友達期間を経て結婚したダンナとヨメに扮したおふたりに話を聞きました。

 ずっと友達だったダンナとヨメは、ヨメに見合い話が持ち上がったことをきっかけに交際期間をすっ飛ばして結婚。妊娠が発覚し喜びもつかの間、ヨメの身体に悪性腫瘍が見つかります。愛息ぺ〜の誕生後、ほどなくヨメは他界。落胆するダンナの前に現れたのは、死んだはずのヨメで……。映画はヨメの死後、ダンナと死んだはずのヨメが共に、ふたりの歩みを振り返るファンタジー要素を加えた作品です。

◆(闘病の)ブログもラブレター(佐々木)

――ダンナとヨメは17年間の回り道を要しましたが、本作は家族のドラマであり、ラブストーリーでもあるかと。おふたりはラブストーリーだと思って演じられていましたか?

佐々木:原作者の清水さんが書かれていた闘病ブログもラブレターのようなものかもしれません。ヨメに対して書いていたわけですし。もちろんぺ〜に向けても書いていたと思うんですけど。

永作:撮影しているときはラブストーリーだという意識は持っていなかったですね。でも今思えば、確かにラブストーリーだと思います。

――おふたりの掛け合いが夫婦漫才のようでした。

永作:「夫婦漫才みたいにしたいんです」って最初から言われていたら、こうはならなかったかもしれません。前田(弘二)監督も原作者の清水さんも、細かいことは何もおっしゃらなかったんです。みんなが客観的に見守ってくれていたこともよかったし、私が何をやっても佐々木さんが受け止めてくれると分かっていたので、安心して投げていました。

――現在のふたりが過去を見ているシーン(画面上では過去と現在のダンナとヨメが一緒に映る)はどのように撮影したのですか?

佐々木:たとえば病室でヨメとダンナが話しているところを、現在の僕たちが見ている。そうしたシーンは、過去の部分を先に撮影して、現在の部分はグリーンバックで撮影して合成していったんです。過去のシーンをまとめて撮って、それからグリーンバックの部分を撮影することが多かったので、過去を客観的に捉えることができました。

◆ヨメの生きるエネルギーをお客さんにパスできれば(永作)

――実在のご夫婦がモデルです。永作さんは、実在し、いまは亡くなっている女性を演じる上でどんなことを意識されましたか?

永作:その方に誠実にという思いはあります。ただ、実際にいた方を演じるからといって、本人に近づけようとはあまりしません。私はあなたにはなれないので、私なりのあなたを作らせてもらいますという感じですね。私の思う、自由でステキなヨメに。とにかく原作や脚本で感じた彼女の生きるエネルギーを拾って、お客さんにパスできればという思いでした。

――撮影中、原作者の清水さんにお会いにはなりましたか?

佐々木:(会うことは)なかったですね。結婚式のシーンを見にいらしていたとは聞いていたんですが、どこにいるのかも分らなくて。試写のときに初めてお話ししました。トイレに行ったら、隣にいらして。「あっ、清水さんですか!? どうでしたか?」みたいな感じでした(笑)。

――出来上がった作品をご覧になった感想を教えてください。

佐々木:普段、自分が出ている作品についてあまりいろいろ思わないんですけど、今回は素直にいいなと感じました。こんな風に作ってもらえたんだと。ただ笑えるとか悲しいとかでは割り切れない感じが最後まで続いていくのがよかったと思います。上映時間も長すぎず、短すぎず丁度よいですし(上映時間97分)。自分でいうのもなんですが、いい映画になったと思っています。

永作:おもしろかったです。顔は笑ってるんだけど泣いてるみたいな、不思議な感覚がありました。どうしてもゆっくり丁寧に描きがちな題材を、リアルな時間感覚で描いたというのも大きな魅力だと思います。

<PHOTO,TEXT/望月ふみ>

『夫婦フーフー日記』は新宿ピカデリーほかにて全国公開中
配給:ショウゲート (C)2015 川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
オフィシャルサイト http://fu-fu-nikki.com/