専門誌では読めない雑学コラム
【木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第6回】

 アマチュアゴルファーは、ボールの飛距離をかなり気にしますよね。「誰々よりも飛んでいた」とか言って。

 とりわけ執着しているのは、ドライバーのティーショット。一緒にラウンドする面々がみんな見ていますからね。もし飛べば、優越感に浸れますし、それらのメンバーにもプレッシャーをかけることができます。

 ナイスショットで、すごく飛んだとき、小走りにボールの落下点まで行って、そこから後方のメンバーたちをドヤ顔で眺める、なんてことしていませんか? そういう人、たまにいますよ。

 確かに、ゴルフ雑誌のタイトルも飛距離関連を売りにするコピーが多いですし、クラブやボールなどのテレビCMになると、「飛距離が伸びる!」のオンパレードです。おかげで、本来大事なのはスコアメイクですが、発展途上のうちにゴルフ雑誌を読んだり、CMにつられて新しいギアを買ったりする層は、地道な"技術"より、即戦力になる"モノ"に頼りがちです。

 実際のところ、誰もがスコアを縮めるのは、簡単ではないと知っているんですけどね。でも、新しいドライバーを買って、飛距離が10ヤード伸びたとしたら、他のやつらに自慢できるし、セカンドショットもすごく楽になるのではないか!? こんな手っ取り早いゴルフ上達法はない! なんて思えてしまうんですよね。

 私も何度か新しいドライバーを買いました。そして、いろいろな面で勉強にもなりました。流行のドライバーを買ったけど、自分には合わなかったとかね。ヘッドは好きだけど、シャフトが合わないとか。その結果、あとからリシャフト(※)したとか......。
※ゴルフクラブの柄の部分を、自分に合ったシャフトに代えること。

「ドライバー道」を突き詰めると、結構やっかいな迷宮に入り込みます。飛距離は確かに伸びましたが、スコアは不思議と伸びないものです。それに気づき、愕然としたものです。

 何はともあれ、今回は、技術を教わったり、ギアを買ったりしないで済む、すこぶる簡単な飛距離アップ方法を提示させていただきます。それで、「飛距離とは何か?」を考えてみるのも、一計かと思います。

 その方法とは、ズバリ「高原でゴルフをする」ことです。気圧の関係で、1000m標高が高くなると、ゴルフボールは約1割距離が伸びる、と言われています。

 長野県の軽井沢で標高900m、山梨県や静岡県の富士山周辺で標高1200m前後です。そこら辺のゴルフ場に行って、アイアンなんか打つと、グリーンの奥にボールがこぼれることもしばしば。

 私は以前、標高1500mぐらいの八ヶ岳高原CC(長野県)でプレイしたことがあるのですが、ここでは恐ろしくボールが飛んだ記憶があります。計算上は、1.5割の飛距離アップですが、夏場はボール自体がよく飛ぶし、山のわりにはフェアウェーは平らでしたから、ボールが転がったりすると、感覚的には2割アップぐらいで飛んでいた印象でした。普段、ドライバーの飛距離が200ヤードくらいの人で240ヤード、250ヤードくらいの人なら300ヤードといった感じですから、相当なものです。

 では、さぞかしスコアはよかったんでしょう、と思うかもしれませんが、突然2割アップでボールが飛んだりすると、逆に頭の中を切り替えるのが難しく、なかなかグリーンに乗らないんです。成績は日頃と変わりませんでしたね。

 それでも、ドライバーはすごく飛んで気分がいいです。まあ、一緒にラウンドする人たちも飛ぶので、自分が『ドラコン賞』を獲ることはありませんでしたが......。

 みんなが飛ぶと「差が出ない」という考えは、実はニュー・ドライバーにも当てはまります。その飛ぶドライバーをみんなが持つと、差がつかないですからね。

 じゃあ、買うのをやめるのか? 買わないならもっと飛ばないぞ、と思うとそういうわけにはいきません。なんか、米ソの冷戦構造に似ていませんか。相手に負けまいとする心理で、結局ドライバーを買ってしまうわけです。

 私はどうかって? 私は、飛距離なんて、どうでもいいんです。生涯レギュラーティーでラウンドしていれば、ドライバーの飛距離210ヤードぐらいで、ガードバンカーに捕まり、設計者の意図を汲(く)んだゴルフが十分楽しめますから。

 散々飛距離の話を煽(あお)ってから言うのもなんですが、飛距離の煩悩に打ち勝ってから、ゴルフは上達する。特にアベレージアマチュアはね。そう信じている、今日この頃です。

【プロフィール】
■木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa